出世花の2巻目「蓮花の契り」です。江戸では大火や流行り病があり悲しい時が続いていました。そんな時、「一人静」という花の名前が登場します。いかにも品がありそうな名前なのでインターネットで検索して調べました。山野草で艶のある4枚の葉に白いブラシのような花です。次には「二人静」という花まで出てきました。調べると今度は4枚の葉ですが、艶なしでちょっと縮れた感じの葉で花は白くて2本咲きます。山野を歩いたときに見たいと思いました。また、「青葉風」という言葉が出てきました。ああ、今の季節にピッタリな素敵な言葉だと思って読み進めると
「青梅の芳香の混じった青葉風に乗って、一羽の燕が日本橋通りを北から南へ、一直線に飛んでいく。」
と書いてありました。
ちょうど私の散歩道の梅の実も熟してきて、青梅の芳香と青葉風を味わいました。主人公「正縁」の実母の嫁ぎ先「桜花堂」の桜最中を食べて亡くなるという事件がおきます。棗(なつめ)の葉を粉にして抹茶に混ぜて飲んだ後、甘い最中を食べると甘みが消えるというものです。棗は薬にもなりますが使い方を間違えば毒にもなります。事件の解決に正縁は大活躍します。次は「現の証拠ーゲンノショウコ」が出てきました。
この写真は2021-5-25に撮ったものです。可愛い花、これが「現の証拠ーゲンノショウコ」という薬草です。さっと煎じて飲むと下剤になり、じっくり煎じたものは下痢止めになると書いてありました。正縁は小さい時から青泉寺で薬草についても教わっていました。世の中の沢山の不幸を見た正縁ですが最後に悟ります。
「あの日、雪に埋もれていた青泉寺の庭に、柔らかな土壌が無数の小さな草花の芽を育んでいる。それらはやがて蕾を抱き、花を咲かせるだろう。絶えたはずの命、失われた命も、季節の巡りとともに新しい命となって、この庭に帰ってくる。静寂の中に、御仏の慈悲が満ちていた。」
2022-6-2(木) 図書館資料 請求番号:913/B/タカ