「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ作を読みました。この本は本屋大賞2019ノンフィクション本大賞を受賞しています。ブレイディみかこさんの本を読んだのは初めてです。英国ブライトン在住で旦那様はアイルランドの方で息子さんが1人おられます。その息子さんは底辺託児所で幼児期を過ごし、カトリックの小学校に進学、その後また元底辺中学校に進学しました。英国は移民問題やEU離脱問題、格差社会などいろいろな問題を抱えています。息子さんケンを育てながら、英国の抱えている問題を具体例を示し、わかりやすく教えてもらえるような本でした。ヤマザキマリさんの息子さんデルスと気が合うのではないかと思うほど、2人の息子さんは多様性の中で育ちました。宗教も違う、人種も違う、LGBTQ、経済格差もある、とにかくいろいろな人が暮らすところで育ったのでした。お2人の息子さんの大らかさ、優しさ、思慮深さに感心します。もちろん、ご両親がしっかりされているから、良い子に育ったのでしょうが、多様性の中で育つ、他者をそのまま受け入れることがどんなに重要かと気づかされました。最後の解説に
「2019年に刊行された本書は、プレイディさんの、当時中学生だった息子とのふれあいを通じて、『地べた』の英国を一緒に見つめていく物語だ。世界の縮図と言われる所以としての、英国の貧困、差別、分断は様々な形となって、ブライトンでつつましく暮らす親子の身近にも忍び寄る」
と書いてありました。世の中は否応なしに変わっていきます。どうか後退するのではなく、少しずつでも明るい未来に向かってでありますようにと祈ります。
2025-2-1(土) 図書館資料 請求番号:376.3/B/ブ