「私たちが花のたたずまいに心を惹かれたり、香りに魅了されたりしますと、
花の「実存」のようなものが私たちの心の内部にまで入り込んで、そこで
花は私たちの心の一部分と化してしまうでしょう。このとき花と私たちの
心は、つながっています。主体と客体として、分離などされていないのです。
ですから「私は花を見る」という事態は、同時に「花が私を見る」という
事態でもあるのではないでしょうか。そのとき、花と私たちの間には、
ひとつの「場」が出来上がっている、と言えます。」中沢新一
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