「志が低く、責任感がない。自分たちの問題であるにもかかわらず、他人事のようなことばかり言う。普段は威張っているのに、困難に遭うと我が身かわいさからすぐ逃げる。これが日本の中枢にいる「リーダーたち」だ。政治、行政、銀行、大企業、大学、どこにいる「リーダー」も同じである。日本人は全体としては優れているが、大局観をもって「身を賭しても」という真のリーダーがいない。国民にとってなんと不幸なことか。」『規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす』(黒川清著、講談社、2016年)より。||リーダー論については、全面的に賛成だし、「(この本が出版された)4年前も今も全く変わっていない」と膝を打つのだが、「日本人は全体としては優れているが」というくだりには違和感を覚える。/本当にリーダーだけが悪いのか。こんなモンスター政権を中心に据える政党を、長年のさばらせてきた私たちは「全体的に優れて」なんかいない。自民党支持層、野党支持層、無投票者の別を問わず、みんなでこの政党、政権の存在を受け入れ、甲斐甲斐しく納税し、長年、支え続けてきてしまった。だからこそ戦後最長政権なのだ。/そしてまさに、「日本人はなんだかんだ言って優れている。(それに比べ、多くの国々は日本より遅れている)」とか「そんなに日本が気に食わないなら(日本人、外国人問わず)日本から出ていけ」などという思考のクセに対するツケを、いま私たちは払わされている。こうしたお気楽な自己肯定感こそが、戦後最長政権と自民の「一党独裁」の下地になっている。/コロナのパンデミックが世界各国にかなり「平等に」訪れたことで、図らずも感染症対策について国家間の対比が可能になった。国ごとの「政権の危機対応能力の差」、「医療福祉体制の差」、ひいては「国力の差」、「民度の差」も見えてきた。とりわけ、日本の現政権がドイツやフランスや韓国と違い、「国民の生命や安全を最優先に考えて、政治をおこなっている」わけではないということがはっきりした。人命を最大限守るという普遍的な倫理の前では、「島国だからこそ可能な隠し立て」も「日本独特の複雑な事情」などという言い訳は通用しない。直近では、後出しじゃんけんよろしく重い腰を上げ、金額を一転二転させるだけでなく、対象者に細かい制限を設けて、嫌々、渋々、ケチケチ、現金給付をしようとしているプロセスを見るだけでも明らか。/日本は政治も経済も、もはや世界に誇れる先進国などではなく、明らかに三流国家であるという厳しい現実をいよいよ直視しなければならなくなった。私たち有権者がこれまで同様、「臭いものに蓋」「知らぬが仏」を決め込むなら、コロナ終息以降も希望のある時代なんてやってこない。/なお、これは門外漢の想像にすぎないが、コロナウイルスはインフルエンザウイルスに比べ、ずっとクレバーで強靭である。中国の事例を見ても明らかなように、コロナは再発、再流行する。先読みよりも、現状こそが憂慮されるが、仮に今回のコロナが一旦沈静化しても、ワクチンがすでに開発されているインフルエンザのように、毎年流行するのだとすれば、気が遠くなる。人間と新型ウイルスの長い闘いの幕が切って落とされたと観念し、覚悟を決めるしかない。
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