A whiSper Of memOrieS

☬Murmure de mémoire☬

Odaiba-22

2019-12-05 | Tokyo
嘘、隠蔽、誤魔化しが束になった底なしの負のループと、それに伴う論理の破綻を日々、見せつけられてきた。そのことに疲れた脳は、勢い物語的発想へと向かう。/「いま世間では多くの人々の口元から、静かな怒りの唸り声が漏れ出し、それらがまるで地響きのように拡大し始めている。テレビの前で、電車の中でスマホを見ながら、バイト先で、職場の片隅で……、多くの人が言葉にならない低い唸り声や呻き声を発している。」/日本社会にこれほど多くの禍をもたらし、傷跡を残しておきながら、「無視してスルーしておけば、大衆は移り気だから、そのうち忘れるだろう」と高を括っているようだが、そうはならない。/今回の件を通して、「公務を、私利私欲を最大化するための道具として使い」、「心身ともに超人的に打たれ強く」、「息をするように嘘を付くことを長年の習慣としてきた」という人物像がよく見えた。そして多くの取り巻きたちが運命共同体、一蓮托生とばかりに、命を削ってそんな人間に付き従っているということもよくわかった。//「乗組員たちは、船底のあちこちに穴が開き、そこかしこから船内に浸水が起きていることで、船体傾斜が始まっていることには目もくれない。船長はいつもと変わらぬ誇らしげな笑みを浮かべながら、乗組員らを叱咤激励する。乗組員たちも、自分の乗っているその船が「不沈母艦」であると信じて疑わない。その船にしがみ付いてさえいれば、自分たちは必ずや「美しい国へ」とたどり着けると思っている。目指しているその国が、いまや「美しい国」はおろか、世界でも稀にみる「醜い国へ」と変わり果てているという認識の欠片もなく。」//市井の人々の憤怒、憎悪が怨念化し、いずれ呪詛になるなどと空想するうちに、夢枕獏氏の作品のいくつかを、無性に再読したくなってきた。
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