A whiSper Of memOrieS

☬Murmure de mémoire☬

Urayasu-377

2020-04-07 | Urayasu
<唾液の微粒子を可視化できるメガネが世に出たら>:A「そんなメガネが開発されたら、お互いに唾の飛沫を浴びるのを避けようとして、人と人の物理的距離が遠くなるよ。ソーシャルディスタンスが根本的に覆されて、人間関係も、社会も大混乱する。浮遊微粒子が見えちゃうから、電車の中とか公共空間では会話禁止になるぞ。あらゆる対面の商売も絶滅に瀕する。あと風邪を引いたら咳やくしゃみを恐れて、外に出られなくなる。花粉症もや。ありえんばい。」 B「でも、いまだって緊急事態宣言とか出て自宅待機が長期化しているわけで、ソーシャルディスタンスは開いてるじゃん。今後は、スマホが次第にあらゆる世代や人種に定着していったようにテレワークも常態化して、人間が全体的に非接触化の方向へ進んでいくんじゃないかな?ウイルスにやられて死ぬよりはマシでしょ。とにかく、飛沫は見えないよりは見えたほうが僕はいいな。安全だから。」 A「でもじゃあ、スポーツとかどうすんの?全員メガネ掛けて、無言でやるのか。サッカーもラグビーも相撲も!例えば、野球はひとりひとりが2メートル間隔を保つために、ベンチをものすごく広くしないとダメになるし、バッターとキャッチャーと主審も離れなくちゃあかん。野球のルールが変わってしまうやん。かといって、集団スポーツがみなバーチャルになってしまうのも味気ないしな。」 B「でも、ウイルスが見えないまんまでいいの?身体接触型のスポーツや団体スポーツの競技人口は減少し、その道のプロは命懸けでやるから、死と隣り合わせの闘牛士のような、勇者的存在になっていくんだよ。団体競技人口が減るかわりに、非接触型の個人競技の人口が増えるんだ。スキーのジャンプとか重量挙げとか、円盤投げとか、アーチェリーとかさ。あと、マスク必須の卓球シングルスとか。ダブルスはダメだけど。」 A「卓球はともかく、ずいぶんマイナーなスポーツばかり挙げるね。競技人口もともと少ないわ。」B「いや、だから、マイナー競技も注目されて、競技人口が増えるってこと。リレーは別として、陸上競技は安全なものが多いから人気がでるんじゃないかな。」 A「…あれこれと想像しているうちに、怖なってきたわ。」 B「ポスト・コロナはスポーツに限らず、いろいろな分野でいままでの常識が通用しなくなり、世界が激変する。今後も毎年、コロナあるいはその他のウイルスが世界的規模で流行するかもしれないのに、来年オリンピックを完全な形で開催だなんて、あまりにみやす暢気だよね。」 A「まじめな顔してサンドネタかよ。俺も初期のサンドは好きやけど。スペイン風邪のように、これが終息したら、あと100年は来ないでほしいわ。」 B「ウイルス流行は人類史にとっては未曾有の経験ではない。宇宙人に地球侵略されるよりはましと思って、乗り切ろう。」 A「随分ぶっ飛んだ楽観の仕方だな。SARSもここまで猛威を振るわなかったんだから、「未知との遭遇」と言っていいレベルだよね。」/BGB:①「感情のある風景」『男たちの風景』(諸星大二郎著、小学館、2013年)➣本作の初掲載は1981年。 ②「サリンジャーと朝鮮人」『月の光 現代中国SFアンソロジー』(韓松著、ケン・リュウ編、早川書房、2019年)➣名作『石の花』を著わした坂口尚のいくつかの短編を連想した。
コメント    この記事についてブログを書く
« Urayasu-376 | トップ | Urayasu-378 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。