眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

縁側

2006-09-26 | 
ある夏の日の午後
 お寺で住職と煙草を吸った
  手土産に持っていった
   基地で買った珈琲をとても気に入ってくれた

 時間がたつのは
  はやいもんです

   住職は呟き赤ラークに火を点けた
    蝉の鳴き声が止まない
     その声は
    渡った魂たちを祝福しているのだろうか?

  僕も煙草を取り出し
   境内の景色に眼を細めた

 世界は美しい と想うんです
  たとえ哀しいことが多いにしても

   そうですか
    私は子供のしつけによく気を配ります
     父親ですからね
      毎日お風呂に入れるときなんかまるで
       戦争ですよ

    紫の煙が日差しに透けてとても綺麗だ

   僕は宗教を持たないんです
  住職は微笑んだ
 それで
それで何か不都合がおありでしょうか?

  僕は答えにつまって珈琲を飲んだ

  時と場合によりけりですかね
   多分その程度のもんです

   紫の煙が宙空を舞う

   お暇な時間が取れたら座禅でもどうでしょう?
    是非 遊びにいらっしゃい

    帰り際
     住職が僕を呼び止めた
         さんお酒飲めますか?
     まあ人並みには飲みます

   お酒持って行きませんか?
  檀家の方がくだすったんですけど
 一升瓶二十本も贈ってくれてね
途方に暮れてるんですよ

  それで僕はお寺で日本酒を二本頂戴したのだった

   ありがたく少しずつ頂きます

   そう云うと住職はこう云った

  日本酒は開けたら早いうちに飲まないと駄目になりますよ
   そのうちバーベキュー予定してますから
    時間がとれたら是非ご一緒に

   家に帰った僕は早速一升瓶を開けた
  仏壇にも一杯お供えして
 線香を焚いて縁側で酔いどれた
世界が回る
 普段気にも留めない庭の草花に目をやった

  それは哀しくて優しいいつかの記憶


コメント
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