眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

らんぷ

2009-01-04 | 日記
「何がほしいの?」
尋ねられると突然、答えに困って苦笑いでやりすごす。

ずうっと昔、夢と現実の境目がなかった地平で、僕はいろいろなものを欲した。
もしも又、サンタクロースを信じることができたなら、僕は枕元の靴下を用意して何を願うのだろう?

僕は君に会いたい、とココロからそう想う。君に会えない時を持て余している。
そうして、そのうち君が誰なのかさえ分からなくなってしまう。

君は学校の夕映えのグランドだろうか?いつか見た街角のらんぷだろうか?魚の化石の影、想いをはせていた声、しぐさ、優しさ。もちろんヒステリックなざわめき、真夏の暑い昼下がり、クーラーの利きすぎた狭い部屋でくるまる白いシーツの哀しみも。

ただ、ときどき想うんだ。
絶望的な郷愁のなかであの日に帰りたいと。みんな同じだ、同じように考える。

酒を飲む。そうして想う。君に会いたいと。古い無声映画の白黒のフィルムの雰囲気に似て。
みんな懐かしい記憶だ。
それを押し殺して暮らしている。日々は流れやがて記憶は薄れてゆく。想いを込めて作ったはずの曲ももうとっくに忘れてしまった。

子猫の鳴き声、なじみの店、いつか離れてしまった仲間、雨のなかの三本足の野良犬。
いつまでも夢を見ている。
君は街角の地面にしゃがみこんでいっしょに吸った煙草を憶えているのかな?

君は何処かの街で暮らし、あるとき祈りの言葉を捧げるだろう。銃声のなかでまどろんでいるだろう。瓦礫のなかで助けを呼ぶ。戦闘機の爆音の下で、聞こえもしない詩を口ずさむ。
情報の波にのまれ、静かな音にきずけない。戦う勇気が君を現実のオトナにした。

どうか許してほしい。僕がこうなったのを。
僕は僕の路を歩く、ゆっくりと。
そんな夜道は寒くてやりきれなかったよ。ただ君の思い出が、暖かならんぷの灯りのようで嬉しかったんだ。

  君に会いたい


コメント (2)
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