安楽な姿勢
2011-01-01 | 詩
安楽な姿勢でソファーに横たわり
暖かな陽光の中
ワインを舐めながら電波の具合を模索する
テレヴィジョンから
今日も不条理な世界が現れては消え
電源を落として空を眺め始めるのだ
きっと
電波の具合は不揃いで
いつの間にか消えてゆく人々を想わせる
決して失ってはいけなかった筈のあなた
いつしかどんな姿勢をとろうとも
電波は永遠に届かない
全体何処へ消えてしまったのだろう
あの界隈のあの静けさや匂いたち
芳香する残り香が
奇妙なくらいに切なかった
アクリル板に絵の具で落書きをした
「HELP ME」
かような現実が僕を追いかける
そうして電波は成層圏を抜け出せない
培養したプレパラートのカビの様に
顕微鏡を覗いたけれど
昼下がりの世界は更に微小で
全く倍率が足りなかったのだ
優秀な顕微鏡と天体望遠鏡は良く似ている
どちらも世界の情報を手に入れるのに手っ取り早い
ワインが零れた
僕は安楽な姿勢をかろうじて保つ
角度が微妙にずれると落ちてしまうのだ
緑色のソファーと呼ばれるこの世界から
落ちてしまえば何処かに辿り着くのだろうか?
失楽した魂の寝床はどこだろう?
たぶん其処でも君への電波は届かない
失われたのだ
永遠に
あの空の下の呼吸音と同じように
やがて季節が変わるだろう
見果てぬ夢を追い続ける君の横顔が美しくって
息を呑んだのだ
ねえ
苦しいよ
アクリル板の赤い絵の具の文字
「HELP ME。CAN YOU HEAR ME?」
降り出した雨が微笑する
暖かな陽光の中
ワインを舐めながら電波の具合を模索する
テレヴィジョンから
今日も不条理な世界が現れては消え
電源を落として空を眺め始めるのだ
きっと
電波の具合は不揃いで
いつの間にか消えてゆく人々を想わせる
決して失ってはいけなかった筈のあなた
いつしかどんな姿勢をとろうとも
電波は永遠に届かない
全体何処へ消えてしまったのだろう
あの界隈のあの静けさや匂いたち
芳香する残り香が
奇妙なくらいに切なかった
アクリル板に絵の具で落書きをした
「HELP ME」
かような現実が僕を追いかける
そうして電波は成層圏を抜け出せない
培養したプレパラートのカビの様に
顕微鏡を覗いたけれど
昼下がりの世界は更に微小で
全く倍率が足りなかったのだ
優秀な顕微鏡と天体望遠鏡は良く似ている
どちらも世界の情報を手に入れるのに手っ取り早い
ワインが零れた
僕は安楽な姿勢をかろうじて保つ
角度が微妙にずれると落ちてしまうのだ
緑色のソファーと呼ばれるこの世界から
落ちてしまえば何処かに辿り着くのだろうか?
失楽した魂の寝床はどこだろう?
たぶん其処でも君への電波は届かない
失われたのだ
永遠に
あの空の下の呼吸音と同じように
やがて季節が変わるだろう
見果てぬ夢を追い続ける君の横顔が美しくって
息を呑んだのだ
ねえ
苦しいよ
アクリル板の赤い絵の具の文字
「HELP ME。CAN YOU HEAR ME?」
降り出した雨が微笑する