部屋の窓を開け放した
風が流れ意識の面影をそうっとなぞる
君は最近空の具合を眺めたことがあるかい?
老人が領事館を改装したレストランの階段で
振り向きざまに呟いた
空?
そう、空の話のことだよ
窓から世界を俯瞰し僕らは並んで煙草に火を点けた
いつかの君の少年時代には
流れる雲はゆっくりと動き始め
風の行方が微笑んだ
君は想ったはずだ
この空が何処か遠くの異国の街に繋がっていることを
君が描写した世界の切れ端で
黒猫が知らない街角を案内する
土地のひとしか知りえない迷路のように
錯綜した路地を抜け
あの鉄柵に封印された
公園の名残りを見たはずだ
公園の噴水には水が無かった
君は途方に暮れ
空を見上げたんだ
違うかい?
扉が開く
知覚の扉が開放された
世界がその存在をあらわにする
花びらが散った
美しい
完璧だった
哀しい事柄の多くは
封印されるんだよ
君は多くのものを忘れ記憶を磨耗してきた
全体、君の前世は何者だったのか憶えているのかい?
それとも君は
この現世で出会った人々が唯の偶然で出会ったのだと
本気で考えているのかい?
君らは約束をしたんだ
また会おうと
この空と一緒さ
何処かで繋がっているんだ
想い出すんだ
忘れちゃあいけないことがある
そうして君は知覚の扉を開くべきなんだ
老人は丁寧に灰皿で煙草を消した
ちょっと昔には
この建物には外国人が沢山存在した
領事館だったんだよ
でもその記憶は
薄れて薄明の中に消えたんだね?
僕は君のことを想い出していた
そうしてみんな何処に消えてしまったんだい?
あの記憶
空の話
世界の境界線について
僕らは傷つけあい
傷つけあったことすら忘れてゆく
かつて海があった国の話
窓の外を眺めている
風が流れ意識の面影をそうっとなぞる
君は最近空の具合を眺めたことがあるかい?
老人が領事館を改装したレストランの階段で
振り向きざまに呟いた
空?
そう、空の話のことだよ
窓から世界を俯瞰し僕らは並んで煙草に火を点けた
いつかの君の少年時代には
流れる雲はゆっくりと動き始め
風の行方が微笑んだ
君は想ったはずだ
この空が何処か遠くの異国の街に繋がっていることを
君が描写した世界の切れ端で
黒猫が知らない街角を案内する
土地のひとしか知りえない迷路のように
錯綜した路地を抜け
あの鉄柵に封印された
公園の名残りを見たはずだ
公園の噴水には水が無かった
君は途方に暮れ
空を見上げたんだ
違うかい?
扉が開く
知覚の扉が開放された
世界がその存在をあらわにする
花びらが散った
美しい
完璧だった
哀しい事柄の多くは
封印されるんだよ
君は多くのものを忘れ記憶を磨耗してきた
全体、君の前世は何者だったのか憶えているのかい?
それとも君は
この現世で出会った人々が唯の偶然で出会ったのだと
本気で考えているのかい?
君らは約束をしたんだ
また会おうと
この空と一緒さ
何処かで繋がっているんだ
想い出すんだ
忘れちゃあいけないことがある
そうして君は知覚の扉を開くべきなんだ
老人は丁寧に灰皿で煙草を消した
ちょっと昔には
この建物には外国人が沢山存在した
領事館だったんだよ
でもその記憶は
薄れて薄明の中に消えたんだね?
僕は君のことを想い出していた
そうしてみんな何処に消えてしまったんだい?
あの記憶
空の話
世界の境界線について
僕らは傷つけあい
傷つけあったことすら忘れてゆく
かつて海があった国の話
窓の外を眺めている