旅路
2024-05-01 | 詩
酔っぱらってグラスを割る夢を見た
赤いワインが大量出血した血液の様に赤い溜まりを作った
僕はそんな光景を何の感情もなく眺めている
そんな夢だ
君と旅に出た汽車の中で
僕等は緑の瓶のハートランドビールを飲んだ
駅の売店で購入したシュウマイをつまみにして
他愛の無い戯言で笑った
全席禁煙なのを知ってたかい?
10年前に禁煙した君が皮肉に微笑んだ
そのくらいの情報は知っているよ。
なら禁煙すれば?
紙煙草が駄目なら葉巻を燻らせることにするよ。
僕の返事に呆れて君はビールを飲み干した
汽車は何度か停車し沢山の人々が乗り降りした
ぼんやりとそんな後継を眺めていた
何時かは何時かにしか訪れない
過去は美化されやがて痛みが増えたり消えたりする
ただこの瞬間だけが世界だった
容赦の無い世界だった
宙空の中に満開の桜を見た
ごらん、世界はこんなにも美しいんだよ。
一瞬、黒猫の言葉が聴こえた様な気がした
僕は昔の様にグラスを路上に叩きつけるのだろうか?
酔っ払った足取りで舞台に向かい
おぼつかない手つきでギターを弾くのだろうか?
あの頃
近くの山から見える街の夜景が好きだった
あの沢山の灯りのひとつひとつに
それぞれの暮らしがあり人生がある
そんな風に想うと頑張れそうな気がした
いなくなった友人たちを想った
草原の中で
何度も彼等彼女等の名前を呼んでいた
けれども返事は無かった
やがて僕は彼等彼女等の名前を忘れた
ただ呼び続けることだけが残った
それが人生の大半になった
ビールを飲み干してシュウマイを食べ終わると
終点で僕等は汽車を降りた
喫煙室を見つけて急いで煙草に灯を点けた
僕等は駅からそう遠くない宿に辿り着いた
温泉に入り
それからビールを飲み続けた
君が酔っぱらって
ジャニス・ジョップリンの歌を口笛で吹いた
あの頃の僕等はただ楽しくて
終わりが来るなんて誰も信じない
いつかまた
グラスを路上に叩きつけて粉々に割るのだろうか?
もう会えない君との旅の夢を見たんだ
元気そうで良かったよ
昼頃目覚めると
不思議と泣いていた
不思議と嗚咽が止まらなかった
赤いワインが大量出血した血液の様に赤い溜まりを作った
僕はそんな光景を何の感情もなく眺めている
そんな夢だ
君と旅に出た汽車の中で
僕等は緑の瓶のハートランドビールを飲んだ
駅の売店で購入したシュウマイをつまみにして
他愛の無い戯言で笑った
全席禁煙なのを知ってたかい?
10年前に禁煙した君が皮肉に微笑んだ
そのくらいの情報は知っているよ。
なら禁煙すれば?
紙煙草が駄目なら葉巻を燻らせることにするよ。
僕の返事に呆れて君はビールを飲み干した
汽車は何度か停車し沢山の人々が乗り降りした
ぼんやりとそんな後継を眺めていた
何時かは何時かにしか訪れない
過去は美化されやがて痛みが増えたり消えたりする
ただこの瞬間だけが世界だった
容赦の無い世界だった
宙空の中に満開の桜を見た
ごらん、世界はこんなにも美しいんだよ。
一瞬、黒猫の言葉が聴こえた様な気がした
僕は昔の様にグラスを路上に叩きつけるのだろうか?
酔っ払った足取りで舞台に向かい
おぼつかない手つきでギターを弾くのだろうか?
あの頃
近くの山から見える街の夜景が好きだった
あの沢山の灯りのひとつひとつに
それぞれの暮らしがあり人生がある
そんな風に想うと頑張れそうな気がした
いなくなった友人たちを想った
草原の中で
何度も彼等彼女等の名前を呼んでいた
けれども返事は無かった
やがて僕は彼等彼女等の名前を忘れた
ただ呼び続けることだけが残った
それが人生の大半になった
ビールを飲み干してシュウマイを食べ終わると
終点で僕等は汽車を降りた
喫煙室を見つけて急いで煙草に灯を点けた
僕等は駅からそう遠くない宿に辿り着いた
温泉に入り
それからビールを飲み続けた
君が酔っぱらって
ジャニス・ジョップリンの歌を口笛で吹いた
あの頃の僕等はただ楽しくて
終わりが来るなんて誰も信じない
いつかまた
グラスを路上に叩きつけて粉々に割るのだろうか?
もう会えない君との旅の夢を見たんだ
元気そうで良かったよ
昼頃目覚めると
不思議と泣いていた
不思議と嗚咽が止まらなかった