澄んだ空気は、今が朝だと教えてくれる。
まだ時間は早い。もうすぐ夏だというのに、まだお日様の出ていない空気はうっすらと冷たかった。
「sherbet、ちゃんと起きてる?」
「起きてるけど、すこし寒いんじゃないかな?」
僕がそういうと、少女は不機嫌そうに僕のあたまを、こつん、と叩いた。
「寒いなら煙草で暖まればいいじゃん。」
そういって、ハッカ入りの煙草を差し出した。僕はガスの少なくなったライターで煙草に火をつけた。少女は口にくわえた煙草に、マッチで丁寧に火をつけ深くすいこみながら草原を見渡す。
「ねえ、ほんとうに気球はくるのかい?」
彼女は黙って、昨日の新聞を僕の目の前にひろげた。
そこには、「熱気球大飛行大会」と書かれていた、気球のイラスト入りで。
「ね、ちゃあんとのってるでしょう?大気球大会。」
嬉しそうに云って、少女は僕の短くなった煙草を奪い取って携帯用の吸殻入れにいれた。
この草原がいちばん気球が見やすいんだから、と付け加えた。
「でも空は広いし・・・」
「うるさい、あなたいっつもそんなんだから人生間違うのよ。懐疑的な人生なんてだれも好きになんてならないんだから。」
それからバッグから地図を取り出し、飛行経路は調べておいたのよと自慢げだ。
すこしだけ日が射した、もうすぐ夜明けだ。
僕らは黙って静かに空を見渡した。
遠くの方からぽつり、ぽつりと点のようなものが見えた。
それはだんだんと大きくなった。熱気球の飛行隊だ。
「すごい!」おもわずつぶやくと、少女は勝ち誇ったように「早起きして正解だったでしょう」と嬉しそうに僕の顔を覗き込んだ。
気球はゆっくりとしたはやさで飛んでいる。
ゆっくり飛ぶところがだいごみなの、彼女はそう云った。
緩やかな飛行。
まだ時間は早い。もうすぐ夏だというのに、まだお日様の出ていない空気はうっすらと冷たかった。
「sherbet、ちゃんと起きてる?」
「起きてるけど、すこし寒いんじゃないかな?」
僕がそういうと、少女は不機嫌そうに僕のあたまを、こつん、と叩いた。
「寒いなら煙草で暖まればいいじゃん。」
そういって、ハッカ入りの煙草を差し出した。僕はガスの少なくなったライターで煙草に火をつけた。少女は口にくわえた煙草に、マッチで丁寧に火をつけ深くすいこみながら草原を見渡す。
「ねえ、ほんとうに気球はくるのかい?」
彼女は黙って、昨日の新聞を僕の目の前にひろげた。
そこには、「熱気球大飛行大会」と書かれていた、気球のイラスト入りで。
「ね、ちゃあんとのってるでしょう?大気球大会。」
嬉しそうに云って、少女は僕の短くなった煙草を奪い取って携帯用の吸殻入れにいれた。
この草原がいちばん気球が見やすいんだから、と付け加えた。
「でも空は広いし・・・」
「うるさい、あなたいっつもそんなんだから人生間違うのよ。懐疑的な人生なんてだれも好きになんてならないんだから。」
それからバッグから地図を取り出し、飛行経路は調べておいたのよと自慢げだ。
すこしだけ日が射した、もうすぐ夜明けだ。
僕らは黙って静かに空を見渡した。
遠くの方からぽつり、ぽつりと点のようなものが見えた。
それはだんだんと大きくなった。熱気球の飛行隊だ。
「すごい!」おもわずつぶやくと、少女は勝ち誇ったように「早起きして正解だったでしょう」と嬉しそうに僕の顔を覗き込んだ。
気球はゆっくりとしたはやさで飛んでいる。
ゆっくり飛ぶところがだいごみなの、彼女はそう云った。
緩やかな飛行。