獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(9)

2023-11-22 01:48:56 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
■第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第3章 芸能界への扉
□ロンドンブーツ田村淳との蜜月
□田村淳にプレゼントした三菱自動車のデリカスターワゴン
□「GaGa JAPAN」の近岡健司
□伊藤英明、長瀬智也、堂本光一、ISSA、加藤晴彦、金子賢
□エイベックス松浦勝人
□関東連合がベンツでさらったロンブー田村淳
□吉田里深、安西ひろこ、松田純との王様ゲーム
□品川祐とガーシーの乱闘事件
■島田紳助さんとの出会い
■品川祐との15年越しの和解
■忖度と恩義は違う

 


島田紳助さんとの出会い

モデルやグラビアアイドルと毎日王様ゲームをしていたころ、俺の家にはシュンスケ以外に唐渡亮さんという俳優も住み着いていた。この唐渡さんから
「明日紳助さん ちに遊びに行くんだけど、一緒に行こうよ」と言われたのが俺の人生の転機や。
「ASAYAN」のオーディション企画で生まれたアイドルユニットのYURI、唐渡さん、俺の3人で、大阪府能勢町にあった紳助さんの家に遊びに行った。これが紳助さんとの初対面や。山でイノシシに罠を仕掛けたりひとしきり遊んだあと、紳助さん自らお好み焼きを作って食べさせてくれた。あれはホンマに忘れられん楽しい1日やった。
そのときは連絡先は交換せず「またどっかで会ったらな」と言われてお別れした。 それから3~4カ月経ったころ、大阪にいた先輩が「『クイズ!紳助くん』の番組の 収録に行くねんけど。お前、紳助さんと会ったことある言うてたやろ。一緒に行かへんか?」と言う。
収録現場の楽屋に挨拶しに出かけると、紳助さんは俺のことをめっちゃ覚えててくれはった。
「おお、久しぶり。唐渡には会ってる?」
「唐渡君、喉の調子が悪くなってそれ以来会ってないんですよ」
そんな話をしたあと、収録終わりの紳助さんに飲みに連れて行っていただいた。すると俺の先輩が
「コイツね、メチャクチャ女の子の知り合いがいるんすよ」と言うんや。
「コイツヤバイんですよ。何時だろうがどんな夜中であろうが、めっちゃ女の子呼ぶんですよ」。そのときすでに夜中の2時や。
「まあでも、大阪でこんな真夜中に、そんなかわいい子おらんやろ」と紳助さんが言う。
「じゃあヒガシ、呼んだりや」
「呼んでいいんすか?」というやり取りを先輩としたあと、俺はめっちゃかわいい子を速攻で呼んだ。すると紳助さんは目を丸くしてビックリしたもんや。
「こんなかわいい子、大阪のどこにおんねん! いっつも俺がコイツらに『女の子呼んで』とゆうても、高校サッカーか実業団の選手か、みたいな女の子しか呼ばへんねん。ヒガシ、お前が呼ぶ子はセリエAやないか!」
その日を境に、紳助さんとの関係性がガラッと変わった。「メール交換しよ」と言われて紳助さんとメールアドレスを交換し、直接連絡を取り合うようになった。
「明日『クイズ!紳助くん』の収録やから、現場に来いや」と言われて、毎週のように大阪で紳助さんと会った。収録終わりの夜の街で、俺がかわいい女の子を呼んで遊ぶ流れが習慣づいた。
紳助さんは「クイズ!ヘキサゴン」やったり「開運!なんでも鑑定団」やったり、東京のテレビ局でもレギュラー番組がめっちゃある。何かにつけて紳助さんに呼ばれ、めっちゃかわいがってもらった。紳助さんとの出会いによってアテンダーとしての俺の人脈が開花し、芸能人がひしめく夜の街に、ブワーッと名前が浸透していった。

 


品川祐との15年越しの和解

品川祐とのケンカから10年くらい経ったあとのことや。あるとき俺は「クイズ!ヘキサゴン」の収録現場に出かけ、番組終わりに赤坂の「のろ」というお好み焼き店にみんなでメシを食べに行った。その場に品川庄司のコンビが2人とも来ていた。品川祐が俺に対してヨソヨソしい変な態度を取ってることに、紳助さんはすぐさま気づいた。
「ヒガシ、お前品川となんかあったんか?」
「たいしたことではないので、紳助さんにはあらためて説明しますよ」
こういうやり取りをしてその場は終わった。このときの出会いでも、品川祐と仲直りすることはなかった。
それからさらに5年ほど経ったころのことや。淳が大阪で番組をやることになり、この番組にレギュラーで品川庄司が出ていた。番組の収録終わりに淳から電話がかかってきて「今からヒガシさんのお店に行っていい?」と言う。
「いいよ」
「品川が一緒なんだけど、行っていいかな。品川がヒガシさんに謝りたいって言ってるんだよ」
淳に連れられてやってきた品川は、こう言って頭を下げた。
「あの当時、俺が尖って生意気なこと言ってすみませんでした。堪忍してください」
「ええよ。そんなこと気にすんなよ。これから仲良うしようや」
15年越しではあったが、やっと品川祐と和解して連絡先を交換した。ここからは今に至るまで、普通に仲良くしている。たとえ失礼なしくじりがあったとしても、誠実に頭を下げ、仁義さえきちんと切ってくれれば俺はネチネチ根にもたん。綾野剛やマッケンは、裏で俺をコケにするからアカンのや。
忖度と恩義は違う

 

忖度と恩義は違う

カタギの世界には、貸し借りや恩義をおろそかにする者が多すぎる。しかしヤクザの世界も芸能の世界も貸し借りや恩義は何よりも大切や。
仕事はどこまで行っても人間と人間がやることや。貸し借りや恩義の感覚がわからん人間はまともに相手にされへん。都合のいいときだけ人を利用して、その人から何か頼まれたときにお返しをしてやらん。誰かから世話になった恩義をコロッと忘れて、自分のことだけ考えて生きる。こういう真心がない人間は最低や。
切った張ったの芸能の世界では貸し借りや恩義がきっちりしてないヤツは相手にされへんし、それ相応の報いを受ける。「メンツをつぶした」と見られるわけや。長年おつきあいする中で、紳助さんからこういった人間として大切な流儀を教えていただいた。
「忖度」と「恩義」は違う。どうもパッとしない若手芸人は、レギュラー番組がほし い。レギュラーという利益がほしいから、プロデューサーに必要以上に気を遣う。 心がなく我慢と不満がベースにあるのが「忖度」や。こういう人間関係は弱い。「忖度」とは対照的に、「恩義」に基づく人間関係は強い。恩には恩で返す。利害で結びついた人間関係やないから利益を得られようが得られまいが、関係性は変わらない。それどころか、こちらにデメリットがあっても、恩をくれた人に対しては徹底的に恩返しをする。これが「恩義」の強さや。真心がベースにあるんや。
俺のオヤジは、ギャンブルで首が回らんようになって自殺してもうた。オヤジが亡くなったとき、ムチャクチャ忙しい紳助さんがわざわざ線香を上げに駆けつけてくださった。東京でも大阪でもたくさんレギュラー番組があるのに、俺なんかのために足を運んでくださったんや。ここに損得なんて一切あらへん。後年、俺はこんなことを口走った。
「あのときの恩義は一生忘れません。紳助さんがもし何かの間違いで逮捕されるよう なことがあったら、俺が身代わりで出頭しますから。俺がやったと言って貫き通しますから」
「アホ! そんなんせんでええわ! なんで俺が逮捕されんねん! アホ!」
なぜ俺が綾野剛やマッケンのことを YouTube で執拗にめくっているかって? あいつらが恩知らずやからや。真心がないからや。
俺からかわいい女の子をたくさん紹介してもらい、俺をさんざん利用しまくってきたくせして、自分の立場にとってまずいと思った瞬間手のひらを返す。損得だけで人間を見とる。そういう恩知らずはアカンねん。
でも芸能界はそんな卑怯なヤツらばかりちゃう。紳助さん、ロンブーの田村淳、山田孝之、 UVERworld の TAKUYA∞ など、 俺とのつきあい方が今でも変わらん人は大勢おる。
紳助さんには
「お前がどんな状況に陥ろうが、俺は周りの人間にお前のことを友だちやと言う。芸能界にいた人間として、今俺がお前に会うわけにはいけへん。お前が今の自分の仕事をやりきって、次の身の振り方に転換することになったら、あらためて連絡してこいや」と言っていただいた。
「あんなヤバイヤツとはつきあうな」と注意されたところで、「昔からの友だちですから」と意に介さない。そういう人とのつきあいは一生モンや。
俺が暴露ネタを投稿すると、その後に信じられん数のタレコミが届く人間がいる。 それも側近や友人からや。そういった人間は、普段周りが忖度しているだけで、メチャクチャ嫌われてるのや。
カネと権力があるからといって周りをゴミのように扱う。そこに本当の人間関係がないから、いざという時に裏切られるんや。
仮に恩がある人のまずい秘密を俺が握っていたとしても、綾野剛やマッケンのように YouTube で暴露することなんて100%ない。俺は正義ヅラした週刊誌やない。忖度と恩義は違う。どんな大物であっても忖度しないで暴露する。その代わり恩義は一生忘れないんや。

 

 

 

 

 


解説
島田紳助とは、元・漫才師で漫才コンビ「島田紳助・松本竜介」として活躍。1985年の解散後は数多くの番組で総合司会、プロデューサーとして活躍した。2011年8月23日に暴力団関係者との交際の発覚を理由に芸能界を引退した。
(Wikipediaより)
島田紳助は、引退前にも2004年朝日放送の社内で『クイズ!紳助くん』の収録前、吉本興業女性社員に対して暴行事件を起こし、全治1週間の頸椎捻挫を負わせたとう傷害事件を起こしています。


また、枕営業強要疑惑というのもありました。

2021年4月13日、モデル・タレントのマリエがインスタライブにて、18歳のとき番組打ち上げの席で紳助から何度も枕営業の誘いがあったこと、出川哲朗が誘いに乗るよう煽ったこと、誘いを断ったことで、出演していたレギュラー番組を降板させられたことを告発したが、両者とも否定をした。
その後しばらくして、紳助と親交のある東谷義和(ガーシー)が「その現場に居た。両者とも枕営業の誘いは冗談で言っただけで、マリエが過剰に言っている」と両者を擁護した。だが、両者とも枕営業の誘いについて言っていないと否定していたため、見解の異なる主張にネットでは批判が起こった。
(Wikipediaより)

思わぬところで、ガーシーの暴露が島田紳助を追い詰めていますね。


カタギの世界には、貸し借りや恩義をおろそかにする者が多すぎる。しかしヤクザの世界も芸能の世界も貸し借りや恩義は何よりも大切や。
仕事はどこまで行っても人間と人間がやることや。貸し借りや恩義の感覚がわからん人間はまともに相手にされへん。都合のいいときだけ人を利用して、その人から何か頼まれたときにお返しをしてやらん。誰かから世話になった恩義をコロッと忘れて、自分のことだけ考えて生きる。こういう真心がない人間は最低や。
切った張ったの芸能の世界では貸し借りや恩義がきっちりしてないヤツは相手にされへんし、それ相応の報いを受ける。「メンツをつぶした」と見られるわけや。長年おつきあいする中で、紳助さんからこういった人間として大切な流儀を教えていただいた。


なぜ俺が綾野剛やマッケンのことを YouTube で執拗にめくっているかって? あいつらが恩知らずやからや。真心がないからや。
俺からかわいい女の子をたくさん紹介してもらい、俺をさんざん利用しまくってきたくせして、自分の立場にとってまずいと思った瞬間手のひらを返す。損得だけで人間を見とる。そういう恩知らずはアカンねん。
でも芸能界はそんな卑怯なヤツらばかりちゃう。紳助さん、ロンブーの田村淳、山田孝之、 UVERworld の TAKUYA∞ など、 俺とのつきあい方が今でも変わらん人は大勢おる。


なるほど、ガーシーが秘密を暴露するかしないかの基準は、「貸し借りや恩義をおろそかにする」かしないか、なのですね。
形だけでも、ガーシーからの恩に感謝する態度を維持した「友人」については、その「友人」が何をやっていたかには関係なく、義理を守り通し、暴露を控えるのですね。

そういう考え方は、紳助さんから教わったとガーシーは言っています。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(8)

2023-11-21 01:23:37 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
■第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第3章 芸能界への扉
□ロンドンブーツ田村淳との蜜月
□田村淳にプレゼントした三菱自動車のデリカスターワゴン
□「GaGa JAPAN」の近岡健司
□伊藤英明、長瀬智也、堂本光一、ISSA、加藤晴彦、金子賢
□エイベックス松浦勝人
■関東連合がベンツでさらったロンブー田村淳
■吉田里深、安西ひろこ、松田純との王様ゲーム
■品川祐とガーシーの乱闘事件
□島田紳助さんとの出会い
□品川祐との15年越しの和解
□忖度と恩義は違う

 


関東連合がベンツでさらったロンブー田村淳

警察当局が半グレを片っ端から逮捕しまくっているため、最近では夜の街で関東連合に遭遇することもなくなった。彼らがバリバリ幅を利かせていたころは、東京もずいぶん物騒やったもんや。
田村淳が関東連合にさらわれたと聞いたときは、俺もさすがに肝を冷やした。1000人斬りで女の子とヤリまくっていた淳は、あるとき関東連合の息がかかったオネエチャンにも手を出してしまったらしい。そうとは知らぬ淳は、井の頭通りでセビルに悠然と乗っておった。
するとヤクザ映画さながら、スーッと滑るように横にベンツがくっついたそうや。 淳は一人で車を運転していたため、マネージャーも帯同していない。
窓ガラスをコンコンと叩かれたので窓を開けると、襟首と背中をグッとつかまれて窓からあっという間に引っ張り出され、そのまま関東連合のベンツでさらわれた。淳のセビルはそのまま井の頭通りに置き去りや。
「お前がヤッた女、誰の女かわかってる? タダで済むわけないよな。お前、いくらカネもってんの?」
ガン詰めされた淳は、関東連合から示談金を要求された。
「貯金は15万円くらいしかありません」
「ウソつくな! テメエめっちゃテレビ出てるだろが!」
「いや、借金がめっちゃあって、必死で返しているところです。だから本当にオカネがないんです」
「じゃあ吉本に今すぐ電話しろ!」
敦はテレビに出まくっていたが本当にカネはもっていなかった。売れ始めの芸人なんてだいたいそんなもんや。関東連合は淳に命令して、マネージャーに電話をかけさせた。吉本興業がケツを拭いて、100万円だかまとまったカネを示談金として支払ったと聞く。
「もう二度とこんなことをするな。相手が誰だかわからないんだから」
吉本興業の稼ぎ頭だった淳は、マネージャーから叱られながら穏便に事を収めてもらった。
若い売れっ子芸能人なんて、みんな生意気だし尖っている。関東連合にさらわれてガン詰めされたにもかかわらず、淳は相変わらず女遊びに忙しかった。
だが信じられないことに、あいつは再び関東連合のオネエチャンに手を出してもうた。すこしは反省せえ。
ブチギレた関東連合の集団は、「ロンドンハーツ」のロケ中に乱入して「おい、カメラ止めろ」と撮影を強制終了させ、淳をさらってガン詰めした。このとき取られた示談金は、100万円どころではないと聞く。
夜の街には、意図的に男をハメてカネをむしり取ろうとする美人局(つつもたせ)もいる。ヤクザや半グレの妻や愛人だっている。だから闇雲に遊んじゃアカン。俺みたいなアテンダーを通して女の子を紹介してもらえば、一発ヤッて地雷を踏むことはないわけや。


吉田里深、安西ひろこ、松田純との王様ゲーム

俺が初めて東京に出てきた当時、淳は中野坂上のマンションに住んでいた。そのマンションに出入りしていたのが、当時まだ若手芸人だった品川庄司の品川祐やダイノジの大地洋輔や。淳の家に入り浸る若手芸人と一緒に、俺はいつも女の子と遊んどった。
淳の家にいつまでも居候するわけにもいかん。桜新町にあるマンションの部屋を借りた。桜新町は六本木や西麻布、銀座からだとちょっと距離が遠い。夜遅くまで遊んだあと、タクシーで桜新町まで帰るのは面倒くさいしカネもかかる。そこで表参道で一軒家を借りた。
この表参道の一軒家が、芸能人の溜まり場になってもうたんや。「FRIDAY」や「GORO」みたいな写真週刊誌や男性誌に、表参道にあった俺の家の写真がしょっちゅう載った。
そこに芸能人や女の子が夜な夜な出入りしてるもんやから、記者に張りこみされて写真を撮られる。よく「乱交パーティ」なんて書かれた。
乱交パーティというところまでムチャクチャではなかったものの、グラビアアイドルやモデルの女の子を集めて、王様ゲームを毎日やっとった。あのころ羽賀研二や山田まりやが司会をやっていた「BiKiNi」(テレビ東京)という深夜番組があった。吉田里深、安西ひろこ、松田純など、当時売れてたグラビアアイドルが50人くらい競い合うように出演してたもんや。
前出の「シュンスケ」が、俺の家に出入りしていたグラビアアイドルのほとんどを喰ってもうた。その事実を知った芸能関係者に深夜呼び出されて、シュンスケはブチギレられた。

 

品川祐とガーシーの乱闘事件

俺と芸能界のもともとのきっかけは、ロンブーの田村淳や。芸人の世界の上下関係のすさまじさを、淳の家で目の当たりにしたことがある。
淳と一緒に jealkb でロックバンドをやっている桑折貴之がいる。バンドでは「dunch」というアーティストネームや。桑折は昔、植村朋弘と一緒に「じゃぴょん」というお笑いコンビを結成して人気やった。淳、俺、桑折、Bコースのハブ、それに品川祐の5人が集まり、部屋に女の子を呼んでよく遊んだ。
淳は、いつも俺に気を遣ってくれた。淳は自分が気に入った女の子と2人で部屋に消えていく。
「そこの部屋はヒガシさんが使っていいよ」と言う。淳が女の子とヤッてる間、俺もヤッてていいよという意味や。その日の俺はもう十分楽しんだし、そんなにがっついて女の子とヤリたい気分でもなかった。
すると品川祐が「俺、この子とヤッていいですか?」と言ってきたんや。「いいよ。行ってきぃや」と言って品川に女の子を譲ってあげたら、その子が品川とヤるのをめっちゃ嫌がった。すると品川がブチギレて「お前ふざけんな」と女の子を押してしま ったんや。
「品川、それはまずいで。ここは淳の家やし、淳の知り合いの女の子やん。お前がそんなんしたら、淳の顔つぶすことになるで」
俺は品川を諌めた。品川は酔っていたので、「そもそもテメエ、なんだよ!」と言ってからんでくる。最初は俺も我慢してたんだが、そのうち「お前誰にモノ言うてんねん」と言い返すようになった。すると桑折貴之やBコースのハブも俺の側に立って助太刀してくれる。
「品川、ヒガシさんって淳さんにとって大切な友だちなんだぞ。誰にケンカ売ってるかわかってんのか?」
「いや、関係ないっすよ。俺は淳さんのためだったらケンカしますから」
「あ? 俺とケンカするのは淳のためか? コイツらが言ってるとおり、俺は淳のダチやぞ」
我慢の限界に達した俺は、ムカついて品川を殴ってもうた。すると騒ぎを聞きつけた淳が部屋から出てきた。ケンカの経緯を桑折が説明すると、淳がブチギレて馬乗りになり、品川をシメた。
「お前、何ヒガシさんにケンカ売ってんだよ。誰の友だちだかわかってんのか!」
淳にキレられた品川は泣きベソをかき始めた。
「俺は淳さんのために……」
「俺のためじゃねえだろ。お前のためだろ。もう帰れ!」
泣きじゃくる品川を、Bコースのハブが駅まで送っていった。
淳は「ヒガシさんゴメンね」と謝る。
「いや、全然大丈夫。気にしてへんから」
それっきり、品川祐と和解することもなく何年も時を経ることになったんや。

 

 


解説
今は結婚してすっかり品行方正になったロンブー田村淳ですが、かつては遊びまくっていたようですね。

夜の街には、意図的に男をハメてカネをむしり取ろうとする美人局(つつもたせ)もいる。ヤクザや半グレの妻や愛人だっている。だから闇雲に遊んじゃアカン。俺みたいなアテンダーを通して女の子を紹介してもらえば、一発ヤッて地雷を踏むことはないわけや。

ガーシーは、このように自分の仕事(アテンダー)を正当化しています。
しかし、アテンダーというのは、まっとうな職業なのでしょうか。
仕事の報酬と見返りはなかったと彼は言いますが、にわかに信じることはできません。
ガーシーは芸能人や有名人に女の子を紹介することで、大きな貸しを作っていたのではないでしょうか。
いつかその貸しを回収することも考えていたのでしょう。
単なる友情で、そこまでしていたとは到底思えないのです。


品川祐と女の子のことで殴り合いのケンカをするところは面白いですね。
ガーシーにあっては、品川祐も形無しですね。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(7)

2023-11-20 01:10:40 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
■第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第3章 芸能界への扉
■ロンドンブーツ田村淳との蜜月
■田村淳にプレゼントした三菱自動車のデリカスターワゴン
■「GaGa JAPAN」の近岡健司
□伊藤英明、長瀬智也、堂本光一、ISSA、加藤晴彦、金子賢
□エイベックス松浦勝人
□関東連合がベンツでさらったロンブー田村淳
□吉田里深、安西ひろこ、松田純との王様ゲーム
□品川祐とガーシーの乱闘事件
□島田紳助さんとの出会い
□品川祐との15年越しの和解
□忖度と恩義は違う


ロンドンブーツ田村淳との蜜月

芸能界は遠く離れた雲の上の世界、自分なんて一生縁がない。そんなふうに思っている読者もおるかもわからん。
けど、芸能人も一般人も同じ血が通った人間や。ストレスが溜まればイライラして、パーッと発散したくなる。いつも笑顔を振りまいてばかりもいられん。スポットライトが当たらない場所では、芸能人かてみんなと同じ生身の人間や。
走り屋をやってたころの俺も、芸能界なんて自分とは縁遠い世界だと思っとった。 それがひょんな縁から、ロンドンブーツ1号2号の田村淳と仲良うなった。すると、あっという間に芸能界とのパイプが貫通した。
芸能界は雲の上の世界なんかやない。芸能界も世間も地続き、ひとつながりの同じ地平やったんや。
学生時代から20代初めにかけて、俺はナンパ目的のサークル活動を5年もやっとった。携帯電話に登録されてる女の子の電話番号は、ハンパない蓄積や。淳が大阪に仕事に来ると、番組の収録が終わったあと「ヒガシさん、今日大阪に来てるんだけど遊 ぼうよ」と誘われる。
ロンブーの淳と一緒に飲めるとなれば、ミーハーな女の子なんていくらでも集まる。みんなキャーキャー大騒ぎや。女の子を大勢呼んで、シャンパンをポンポン開けてハメを外す。気に入った子とエエ雰囲気になったら、お持ち帰りしてワンナイトラブを楽しめばいい。淳が気晴らしできるよう、女の子を紹介するようになったのがアテンダーの仕事の始まりや。
1990年代当時、俺の携帯電話には7000~8000人の電話番号が登録されていた。今と違って番号ポータビリティ制度がなかったから、機種変すると電話番号が変わってまう。
だから連絡先が途中でわからなくなる子もおった。新しい女の子の連絡先は随時追加していたから、新陳代謝はうまいこといってたと思う。
俺はマメやから女の子の連絡先はグループ分けして検索しやすいようにしておった。東京の子は「TK」、大阪の子は「OS」とタグ付けしておく。
「淳と飲むんだけど、今日××に来れる?」と一斉に連絡を送る。100~150人 に一斉に連絡すれば、即レスが返ってくるのはだいたい1割や。15人から返信が飛んできて、そのうちの3分の1、5人が実際に飲み屋の個室に来てくれれば御の字や。
こんな作業は一瞬でできる。LINEができてからは、女の子と連絡を取るのはもっと簡単になった。
1998年から1999年にかけて、淳は大阪の毎日放送で「暴ロンブー」というレギュラー番組をもっとった。あのころはしょっちゅう大阪で収録があったから、淳が大阪に来るたびに遊んだもんや。
淳というと、芸能界きってのモテ男で有名や。「1000人斬り」と言われるが、そのうちの相当数は俺が紹介した女の子やと思う。
淳は1973年生まれ、俺は1971年生まれやから2歳違いや。女の子を紹介する見返りに俺がいちいち小遣いをせびるでもないし、口もめっちゃ堅い。だから俺のことを信用して、兄貴分みたいに慕ってくれたんやろな。

 

田村淳にプレゼントした三菱自動車のデリカスターワゴン

若手時代の田村淳は、「CADILLAC SEVILLE」(キャデラック セビル)というセダンに乗っとった。車を自分好みにカスタマイズしたいと言うから「それならウチで全部やってあげるよ」と引き受けた。当時、俺は大阪で自動車販売業を営んでいた。板金工場を別にもっていたから、車のカスタマイズなんてお手の物や。わざわざ東京まで車を取りに行って、大阪の工場へ運んでカスタマイズする。実費だけもろうて、淳好みにカスタマイズして納車したらえらく喜ばれた。
淳の活動は多彩や。2005年には 「jealkb」(ジュアルケービー)というヴィジュアル系ロックバンドを結成し、「haderu」名義でヴォーカルを務めていた。本業のお笑い以外に、バンド活動もやってみたいという願望は早くから温めてた。
音楽以外に、自主制作映画を撮る活動にもハマってた。映像制作のために、機材車がほしいと淳が言う。そこで俺が三菱自動車のデリカスターワゴンをプレゼントしてあげたことがある。
「カネはええよ。オークション会場でタダ同然で買ってきた車を改造しただけやから」
淳はお笑い芸人の枠に収まる器やない。音楽だろうが映像制作だろうが、お笑い以外に何をやっても成功するという確信があった。
「あれもやってみたい」「これもやってみたい」と貪欲な淳の活動を、陰で応援してあげたかったんや。
淳がビッグスクーターが好きやと言うから、ホンダ・フュージョンをカッコ良くアレンジしてあげたこともある。車やバイクが好きな淳のために、かゆいところに手が届くサービスをしているうちに、芸能界の客をチョコチョコ紹介してもらえるようになった。
ウチは独自の仕入れルートをもっとるし、自前の板金工場もある。ほかよりも安く車やバイクを買えたし、わがままな注文にもきめ細かく対応できた。せやから車好きの芸人やタレントから「車やバイクならヒガシさんのところで買うといいよ」と口コミで噂が広がっていったんや。
そんなこんなで仲良うつきあっとるうちに、淳から「ヒガシさん、東京出てこない? しゃべりうまいし、サービス精神旺盛だし、ヒガシさんは絶対東京のほうが向いてるよ」と誘われた。
昔から「一事が万事」と言うとおり、小さな仕事を馬鹿にしない。たいして儲かりもせん細かい仕事でも、相手の気持ちを想像しながら丁寧にこなす。
どうやったら目の前の相手が喜んでくれるか。どんな仕事だろうとサービス精神が基本や。そうやって生真面目にコツコツ仕事をしていけば、カネでは買えん信用が生まれる。
一度作り上げた信用は一朝一夕では壊れへん。一生モンや。俺はいきなり成り上がったわけやない。みんなが知らんところで、人知れず汗をかいて苦労しながら芸能界で信用を勝ち取っていったんや。


「GaGa JAPAN」の近岡健司

淳の誘いで東京に出てくると、人から人を紹介されるうちに、セレブと次々に知り合った。ピンク・レディーを育てた飯田久彦さん(テイチクエンタテインメントの元会長)の甥っ子、元ジャニーズのリョウ、パチンコ店の息子のナオキといった連中と、いつも仲良くつるんでいた。
GaGa JAPAN のケンジとも仲良しやった。イタリアの「GaGa MILANO」という時計ブランドを扱う日本の法人の社長や。ケンジはサッカーの中田英寿とベッタリ仲が良くて、中田にくっついてイタリアに繰り出した。するとセリエAペルージャのルチアーノ・ガウチ会長に気に入られた。そのおかげで「GaGa MILANO」を日本で販売できる手はずが整った。
やがてサッカー選手としての中田のピークが過ぎると、次なるスーパースターとして本田圭佑が脚光を浴びた。するとケンジは、本田とスポンサー契約を結んで両腕に「GaGa MILANO」をつけてもらう。そのおかげで「GaGa MILANO」がバズって、日本で時計がムチャクチャ売れた。
何億円、何十億円のビジネスゆうても、機械的な書類のやり取りで決まるもんやあらへん。
結局のところ、人間と人間のつながりがモノを言う。「この人からのお願いだったらやろう」と思われるかどうかが大事や。彼らの仕事の進め方を近くで見ていると、いろんなビジネスを手がける俺にとって全部勉強になった。

 

 


解説
淳というと、芸能界きってのモテ男で有名や。「1000人斬り」と言われるが、そのうちの相当数は俺が紹介した女の子やと思う。
淳は1973年生まれ、俺は1971年生まれやから2歳違いや。女の子を紹介する見返りに俺がいちいち小遣いをせびるでもないし、口もめっちゃ堅い。だから俺のことを信用して、兄貴分みたいに慕ってくれたんやろな。

今は結婚してすっかり品行方正になったロンブー田村淳ですが、かつては遊びまくっていたようですね。
しかも「1000人斬り」の相当数が、ガーシーから紹介された女の子だったとは。


小さな仕事を馬鹿にしない。たいして儲かりもせん細かい仕事でも、相手の気持ちを想像しながら丁寧にこなす。
どうやったら目の前の相手が喜んでくれるか。どんな仕事だろうとサービス精神が基本や。そうやって生真面目にコツコツ仕事をしていけば、カネでは買えん信用が生まれる。
一度作り上げた信用は一朝一夕では壊れへん。一生モンや。俺はいきなり成り上がったわけやない。みんなが知らんところで、人知れず汗をかいて苦労しながら芸能界で信用を勝ち取っていったんや。

なんだか営業マンの鑑のような話ですね。
問題は、こうやって勝ち取った信用をもとに、ガーシーが何をしようとしたかではないでしょうか。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(6)

2023-11-19 01:57:40 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
■第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第2章 しゃべりだけで成り上がる
□朝鮮学校の在日コリアンと襲撃合戦・リアル『パッチギ!』ワールド
□走り屋をやっていたリアル『ナニワトモアレ』
□イベントサークルで入学したての女子大生とヤリまくる
□入社3日目に車を3台売ったらブチギレた上司
□中古車のブローカーとイベント業・二足のわらじで独立
□阪神・淡路大震災によって到来した中古車市場バブル
□中古車販売で儲けたカネを裏カジノで2億円熔かす
□十三の「ヌッキーマウス」から
□西淀川警察署での手打ち式
■ヤクザになるかアナウンサーになるか
■ロンブー田村淳との初めての出会い

 


ヤクザになるかアナウンサーになるか

女の子を口説く才能は、天性のもんやと自分でも思う。そのへんを歩いてる女子大生であろうが風俗嬢であろうが、俺ならしゃべりだけで心をつかめる。今会ったばかりなのに、ホテルに行っていきなりセックスさせてくれる女の子はいくらでもおった。 高校生のころから「お前はしゃべりがうまいなあ」といろんな人から言われたもんや。高校の先生からはよく「お前、アナウンサーになったらどうだ」と言われた。
「お前の声は通るんや。みんながしゃべってても、お前の声だけわかんねん。これっ て才能やで。アナウンサーみたいに声を使った仕事をしたら、きっと成功する」
後年、紳助さんからもよく「お前、なんで芸人にならへんねん。どう考えても芸人向いてるやろ」と言われたもんや。
さっきも思い出話を紹介したとおり、たとえヤクザ者が相手でも俺の口は滑らかや。 誰とやり取りしようが、口ゲンカでは絶対誰にも負けん自信がある。ここはコテコテの関西弁の強みや。関西弁でブワーッとまくしたてたら、大抵の相手は引きよる。 「おい、ひょっとしてお前、どっかの組に入っとるんか? お前カタギやないやろ」 ヤクザ者は、別の組のヤクザと揉めたがらん。こっちがカタギだと思って喰ってかかってきたら、全然ビビることなく言い返す。するとヤクザが不安になるんや。あんまり俺の威勢がいいから、10代のころ「ウチの組に来ないか」と誘われたことがある。
ヤクザになんてなったところで、いいことなんか全然ない。ヤクザ映画は大好きやからよく観てたが、ボコボコにされるとか小指詰めるとか、あんな理不尽な世界には絶対入りたくない。むしろヤクザは嫌いやった。
地元の同級生の中には、ヤクザになった者もチラホラいる。俺はそっちの道にはまったく興味がなかった。それで正解やったんや。

 


ロンブー田村淳との初めての出会い

ロンドンブーツ1号2号の田村淳と初めて会ったのは、1994年やったと記憶している。あのころ俺は、中古車販売業、板金工場、イベント企画の仕事をこなしていた。さっき話した景気の良かった時代や。
ミナミ(大阪)に、芸能人がよく来るバーがあった。友だちと一緒にその店にいたら、ロンブーの田村淳と田村亮が俺の知り合いの女の子と飲んでいた。俺と一緒にいた友だちが「なんやあいつら。ヒガシの女に手を出しよって。からみに行くわ」と怒り出した。
いきり立ってからみ酒をしに行きかけたら、店のオーナーが血相を変えて「芸能人やからやめてほしい。勘弁したってください」と必死に止める。淳は未だによく「あのときはヒガシさんたちに殺されそうになった」と苦笑いする。ミナミでの一触即発が、淳とのファーストコンタクトや。
淳と再会する機会はじきに訪れた。ガンバ大阪の廣長優志というサッカー選手がいる。のちにU-23日本代表として、アトランタオリンピックで活躍したスターや。廣長が俺に連絡してきて「芸能人の友だちが東京から大阪へ来るから、一緒に飲まない か」と言う。
大阪市福島区にある「HIMAWARI」というイタリアンバルに呼び出されて出かけたら、そこに淳がいた。あの夜以来の再会や。廣長と一緒に会ってみたらめっちゃいいヤツやったから、すぐに仲良くなった。淳とのこの出会いが俺にとっての芸能界への扉やったんや。
あるとき淳がこう言った。
「ねえ、ヒガシさん東京出てこない? こんだけしゃべりがうまくて、女の子に人脈がある人はどこにもいないよ。大阪よりも東京のほうが絶対向いてるよ」
俺の携帯電話に入っていた数千人の電話番号の中には、関西の女子大を卒業して就職が決まり、東京に引っ越した子も大勢いる。十三へ出禁になってしまったりと、大阪ではスネにいくつも傷を作った。なるほど、淳が言うように大坂から江戸へ河岸を変えるのもええかもしれんな。
こうして1995年、俺は淳のススメにしたがって東京に出てくることになったんや。

 

 


解説】】
今は結婚してすっかり品行方正になったロンブー田村淳ですが、かつては遊びまくっていたようですね。

あるとき淳がこう言った。
「ねえ、ヒガシさん東京出てこない? こんだけしゃべりがうまくて、女の子に人脈がある人はどこにもいないよ。大阪よりも東京のほうが絶対向いてるよ」
(中略)
こうして1995年、俺は淳のススメにしたがって東京に出てくることになったんや。

淳は自分たちが遊ぶのに、ガーシーの存在が便利だから利用したということでしょうか。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(5)

2023-11-18 01:07:09 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
■第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
□第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第2章 しゃべりだけで成り上がる
□朝鮮学校の在日コリアンと襲撃合戦・リアル『パッチギ!』ワールド
□走り屋をやっていたリアル『ナニワトモアレ』
□イベントサークルで入学したての女子大生とヤリまくる
□入社3日目に車を3台売ったらブチギレた上司
□中古車のブローカーとイベント業・二足のわらじで独立
□阪神・淡路大震災によって到来した中古車市場バブル
■中古車販売で儲けたカネを裏カジノで2億円熔かす
■十三の「ヌッキーマウス」から
■西淀川警察署での手打ち式
□ヤクザになるかアナウンサーになるか
□ロンブー田村淳との初めての出会い


中古車販売で儲けたカネを
裏カジノで2億円熔かす

阪神・淡路大震災によって復興特需が起きると、自動車販売のビジネスでめっちゃ儲かった。仲間と2人で始めたビジネスやのに、1カ月の純利益が3000万~4000万円も上がったんや。23歳の若造が1カ月3000万~4000万円なんて大金を手にしてもうたら、使い方なんてようわからん。若気の至りや。見事にキャバクラ にハマってもうた。
当時、大阪の梅田東通りに「キングスナイト」というキャバクラがあった。このキャバクラにハマってもうて、従業員を連れてアホみたいにカネをバラまいた。俺は酒が飲めん体質やから、酒好きな従業員に代わりにメチャクチャ飲んでもらうわけや。サラリーマンなんて辞めて良かったわ。自分の得意なことを生かすのがやっぱ一番大切やで。
湯水のようにカネを使っとると、悪い人間が近寄ってくるもんや。キャバクラへ通っているうちに、ある人間からカジノを教えられた。もちろん違法賭博、裏カジノや。
バカラだの賭け麻雀だので、最終的に勝ち抜けるギャンブラーなんておらん。博打は胴元が必ず勝つに決まっとる。もちろん大勝ちする日もあるが、それ以上に大負けする日のほうが多い。
現金はいつも金庫に満載してあった。負けが込むと、従業員に電話をかけて「今すぐカネもってきてくれるか」と頼む。100万円、200万円ともってこさせても、そんなカネはすぐになくなってまう。せっかく大勝ちしたのに、結局1~2年でカネが全部吹き飛んでもうた。あのときだけで2億円はきれいに負けてるんちゃうかな。もっと負けとるかもしらんけど。

 

十三の「ヌッキーマウス」から
風俗嬢を20人引き抜いた

あれもこれも手を出したがる俺は、たくさんの仕事を同時にやっとった。女の子に声をかけて口説くのが得意やったから、20代前半のころはスカウトをやってた時期も ある。友だちが経営してたソープランドやファッションヘルスに人を送りこみ、報酬 をもらうわけや。
あの当時、十三(大阪市淀川区)の繁華街はめっちゃ治安が悪かった。
十三に「ヌッキーマウス」というふざけきった名前の有名な風俗店があったので、友だちと一緒に繰り出してナニを抜きつつ、女の子そのものを店から引き抜きにかかった。その店でナンバー1の子を指名して、仲良うなったら電話番号を交換する。
1時間で数万円も売り上げたとしても、風俗嬢に払われるギャラはたかが知れている。体を売ってキツイ仕事をしてるのに、彼女らだってアホらしゅうなる。俺から小遣いもらったほうが、風俗の仕事やるより儲かるわけや。「俺の彼女にならんか」と誘ってセックスをかましながら「もっと儲かる店の仕事紹介したるで」ともちかけた。
するとその子が「ほかの子も私にみんなついてくると思う」と言うわけや。1人か2人ついてくるのかと思ったら、なんと「ヌッキーマウス」のお嬢が20人もついてきよった。店に残ったのはナンバー2の女の子だけや。
ここまで派手にオネエチャンを引き抜いたら、「ヌッキーマウス」のオーナーだって黙っとるわけあらへん。あるとき女の子の一人から「ご飯食べよう」と誘われたので車で迎えに行ったら、ベンツ3台に囲まれて「おい、お前降りてこいや」と言われた。女の子にハメられたんや。
こういうときは、ちょっとでも弱気を見せたらやられてまう。車を降りて「お前らなんやねん」と言い返したった。周りに人だかりがめっちゃできとるから、いきなりドツかれたり刺されたりすることもあらへん。
「とりあえず事務所来いや」
「ああっ!? お前、どう見たってどこかのカタギちゃうやんけ。なんでお前のワケわ からん事務所までいきなり行かなアカンねん。ナメとんか。明日でええやろ。俺と一 緒にネエチャン引き抜いたダチも一緒に連れてったるから、とりあえず場所言えや」 「ざけんな。今から来いや」
「今から俺用事あるんじゃ。信用できん言うなら、この車のカギ渡したるわ。この車、人質で取っとけ。明日行くから待っとけ」
こんなやり取りをしたら、ひとまずその日はさらわれることなく終わった。


西淀川警察署での手打ち式
「金融モノ」「事件モノ」って聞いたことあるか? ワケありの車や。街金や闇金からカネを借りるとき担保につけたせいで、差し押さえられる車がある。人を轢き殺し たあとの事故車なんかも、普通の人は気味悪がって乗りたがらない。そういうワケあ りの車が、前の所有者の名義のまま闇市場に流れてくることがあるんや。
前の所有者の名義のまま、俺の名前に名義変更してないのやから、そのまま乗り捨てたところでかまわへん。どうせ俺の名義ちゃうし。あんな車要らんわ。ヤクザの事務所でシバかれてもオモロないし、このまま放っとこう。そうやって無視しとったら、 下4ケタ「1234」の西淀川警察署から電話がかかってきた。
「東谷だな。警察のモンや。今から出頭しろ」
「なんでですか?」
「ええから。すぐ出頭せんかったら逮捕状出すぞ」
しゃあないので出頭して取調室に入ったら、刑事とあのときのヤクザが一緒に座って俺をにらんどる。
「ここでお前ら2人で話し合いしろ。ちゃんと平和的に解決せぇよ」
刑事から命令されたので、仕方なくヤクザと話し合いを始めた。
「ホンマやったらお前のことカタぁハメたろうと思ったけど、警察にも話してもうたからそんなことできひんのやわ。とりあえずお前がさらってったウチの子を全部戻せ。女の子を全部戻したら、明日『申し訳なかった』という示談書を作って、十三の喫茶店にもってこい。お前と一緒に女の子をスカウトしたヤツも連れてくるんやぞ」
翌日、俺と友だちの2人で十三の指定された喫茶店に出かけた。するとそこにヤクザだの風俗店のマネージャーだの、7~8人の人間が集合しとる。店の前を通りかかった人間も何事かと驚いた顔をしとる。当時は携帯電話なんてない時代やから、みんな「写ルンです」で俺ら2人のガンクビをバシバシ撮影しまくる。
「おい、なんでコイツら勝手に写真撮んねん」
「十三のキャバクラ、飲み屋、風俗、全部にお前らの写真貼っとくわ。お前らもう出 禁や。二度と十三の街に出入りすんなよ」
結局女の子を全員戻したあと、損害賠償金を払うこともなく騒動は終わった。今から考えると、「ヌッキーマウス」から急に女の子が20人もいなくなったことを知って、西淀川警察署が先回りして手を打ってくれたんやろな。警察が手を打ってくれへんかったら、俺のガラはどうなってたかわからんわ。

読者のみんなも、俺みたいに怖い思いをすることが一生に一度はあるかもしれん。 ヤクザ者や怖い兄ちゃんにからまれたときは、ひるんだらアカン。怯えた顔を見せた
瞬間、向こうのいいようにやられてまう。
「お前、ここで帰りたきゃ帰ってもええぞ。その代わり、お前の家族がどうなるかわ からんからな」
こういう定番の脅し文句がある。「子どもを歩けへんようにしたるぞ」とか「女房を手ごめにされてもええのか」なんて言われても、ヤクザ者はまず手を出してはこない。
カタギに手なんて出したら、マル暴(ヤクザ担当の刑事)が黙っとらん。何かの手違いでカタギを再起不能にしたり殺したりしたもんなら、本人は死刑か無期懲役刑が確定、親分や主だった幹部は殺人教唆で根こそぎ引っ張られて、組はつぶされてまう。
ボッタクリに引っかかって脅されたり、自分に非がないと思ったりするのであれば、強気で行って問題ない。
自分に非があると思うのなら、素直に「ごめんなさい」すりゃええ。相手に迷惑をかけたという自覚があるのなら、迷惑料を払って示談すればええだけの話や。相手によって態度を変えたらアカン。自分の筋を通すことが大切や。腹をくくったときの気合は相手に伝わる。こういう処世術も、頭の片隅に置いておくとええ。

 


解説

湯水のようにカネを使っとると、悪い人間が近寄ってくるもんや。キャバクラへ通っているうちに、ある人間からカジノを教えられた。もちろん違法賭博、裏カジノや。
バカラだの賭け麻雀だので、最終的に勝ち抜けるギャンブラーなんておらん。博打は胴元が必ず勝つに決まっとる。もちろん大勝ちする日もあるが、それ以上に大負けする日のほうが多い。
現金はいつも金庫に満載してあった。負けが込むと、従業員に電話をかけて「今すぐカネもってきてくれるか」と頼む。100万円、200万円ともってこさせても、そんなカネはすぐになくなってまう。せっかく大勝ちしたのに、結局1~2年でカネが全部吹き飛んでもうた。あのときだけで2億円はきれいに負けてるんちゃうかな。もっと負けとるかもしらんけど。

この時からギャンブルにはまっていったのですね。

今現在、ガーシーは大金を支払って保釈されているようです。

その際、「反省」を口にしたようですが、反省するなら、少なくともこの時点からの自分をよく見つめて、しっかりギャンブル依存症を克服してほしいと思います。

 

獅子風蓮