獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(14)

2023-11-27 01:26:04 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
■第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第4章 アテンダーという裏稼業
□アテンダーは黒子に徹しろ
□山下智久と亀梨和也はハメられた
□女性タレント9人の中絶もアテンド
□芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
□週刊誌記者から守るアテンド術
□アテンダーになる方法
□人のためにキレられるか
□努力しない女は港区から去れ
□バーで夢を売る技法
□すすきののホステス嬢を87人喰った
□みかじめ料とすすきの
□大阪・北新地のケツモチヤクザ
□豪快だった大物演歌歌手
■賭博ゲーム大国・沖縄の自由度
■関東連合60人が店にやってきた
■ウーロン茶5杯で10万円 ・関東連合から渡されたピン札
■プロ野球選手とJリーガー
■小出恵介をハメた美人局の正体

 


賭博ゲーム大国・沖縄の自由度

MACCAは六本木、すすきの、大阪に続き、沖縄にも支店を出した。1990年代に一世を風靡した JUDY AND MARY ってバンド知ってるやろか。あのバンドでギター弾いてたTAKUYAが、趣味で沖縄にダーツバーをもっとった。そのTAKUYAからこう誘われたんや。
「ヒガシ君、このダーツバー儲からへんから、MACCAに名前変えて一緒にやろうや」
そこで店をリニューアルして、MACCAに看板をすげ替えて営業を始めた。沖縄はオモロイ土地や。本土では考えられへんけど、バーでも居酒屋でも蕎麦屋でも、そこらじゅうにコインゲームが置いてある。カネを賭けられる賭博ゲーム機や。どう考えても違法やのに、沖縄ではこのゲーム機が普通にあちこちに置いてある。
MACCA沖縄店にも、怪しい営業マンがゲーム機を置きに来た。「これは沖縄の警察も認めてますから、心配しないでください」と言って、収益の何%かをマージンとして回してくれはるんや。
賭博ゲーム機のビジネスを仕切ってる大浜さんというオッチャンのフトコロには、作曲家の印税長者みたいに売り上げがドンドコ入ってきよる。そのカネを元手に、大浜さんは沖縄に村を作ってもうた。 Airbnb(エアビーアンドビー)を使って観光客を 呼びこみ、村の宿を貸し出して儲けてはる。大浜さんはこう言っとった。
「このビジネスを東京にもっていったことがあるんだけど、すぐに警察につぶされた。沖縄は自由にできるからええよな。沖縄は売春もユルユルやし、本土とは警察の仕組みが別々なのかもしれんね」

 

関東連合60人が店にやってきた

六本木にあったMACCAは、関東連合が来ないことで有名な店やった。せやから、MACCAは芸能人が「ここなら自由に遊べる」と安心して、めっちゃ溜まっていた。
常連だったAさんなんて、バーなのに毎月100万円近くカネを使ってくれはる。ありがたい客やったから、Aさんの支払いは月掛けのツケにしとった。そのAさんが、関東連合の連中を怒らせてしもうたんや。
MACCAの下の階には Cafe La Boheme(カフェ ラ・ボエム)というおいしいイタリアンレストランがあった。そこから取ったパスタを俺がMACCAのカウンターで食ってたら、めっちゃガラが悪そうな連中が店に入ってきた。
「なんやコイツら? 面倒くせえなあ」と思いながら引き続きパスタを頬張っとった ら、リーダー格の不良が「おい、ここの社長呼べよ」と言いよる。ん? 社長は俺やで。目の前に店長がいたから首を2~3ミリだけ振って「言うなよ」と目で合図した ら、そいつは「今日は来てないです」とトボけてくれた。
「ちょっと呼んでくれよ、話あんだよな」
(マジかよ……)
トイレに行くフリをして厨房に隠れて「どうしようかな……」と困ってたら、外が騒がしくなってきて、警察官がドヤドヤ入ってきてこう言うんや。
「おい、外にいる何十人もの若いヤツらは誰だ?」
MACCAの店内にはガラの悪いヤツらが15人くらいおる。さらに残りの連中が外で待っていて、総勢60人が集合しておったんや。
「おい、この店の社長呼べ!」
刑事が怒鳴る。しゃあないからおずおずと手を挙げた。
「何だよ! さっきから社長はいねえとかスットボケといて、ここにいるじゃねえか!」
「いや、ちょっと怖かったんで……。えらいすんまへん」


ウーロン茶5杯で10万円 
関東連合から渡されたピン札

俺はそのままパトカーに乗せられて麻布警察署に連れて行かれた。
「おい、あいつら誰かわかってるか?」
「いや、わかんないです。不良っぽく見えましたけど」
「あいつら関東連合っていって、俺たちもマークしてるヤツらなんだ。お前、何かやったのか?」
「いや、俺じゃないです」
「じゃあなんであいつらが大勢で来てんだよ?」
「いや、わかんないです。 本当に俺も全然わからないんですよ」
「ここに電話したら、5分以内に警察が来るから。何かあったらここにすぐ電話しろ。今この場で携帯に登録しとけ。俺らもとりあえずあいつらをどんどん逮捕したいんだよ。協力しろよ」
「はい、わかりました」
緊急の電話番号を渡されてMACCAに戻ったら、まだ関東連合の連中が5人残っている。
「今日は社長をさらいに来たんじゃねえから」
「はあ。それで、今日はどんなご用件なんですか」
「Aって客わかる?」
「はい、わかります。 ウチの常連さんです」
「ちょっとここに呼んでよ」
「なんでですか?」
「そいつ出会い系サイトをやってて、ウチの名簿をパクったんだよ。だから詰めなきゃいけねえんだわ。今あいつの家の前に、ウチの若いのが4人行ってんだよ。そいつが普段飲みに行ってる場所にも、全部ウチの若いモンが行って張ってんだ。社長、頼むわ」
「じゃあ、今連絡してみますね」
Aさんに電話をかけてみたものの、もちろん出るわけがない。
「出ないですよ」
「そうか。じゃあ信じるわ。もしそいつから連絡が来たら、絶対俺に連絡くれよな」
そう言って名刺を渡された。
「これ、今日の飲み代だ」と言って、10万円のピン札を渡そうとする。5人がウーロン茶を1杯ずつ飲んだだけやのに。
「いやいや、困りますよ。こういうのは、ちょっと受け取れないです」
「社長、俺に恥かかすの?」
しょうがないから、10万円のお代は騒ぎを起こした迷惑料として受け取っておいた。
「でも、ここイイ店だね。 また来させてもらっていい?」
「いや、ちょっとアレですねえ……」
「お前さ、そんなに露骨に嫌そうな顔すんなよ」
それからは関東連合の連中が六本木のMACCAに来たことはない。しくじりを犯したAさんが関東連合とどんな手打ちをしたかは、俺もよう知らんわ。

 


プロ野球選手とJリーガー

アテンダーとしてタレントの女の子を紹介しながらバーも全国に展開していった。俺はアテンド自体でおカネを稼いでいるわけやない。基本は友だちや。せやから、俺がアテンドすることで友だちの人生がマイナスになるようなことはしないようにしていた。
「女の子を紹介してくれ」と言ってくる客は、タレントばかりではない。経営者にアスリートと職業は多彩や。
その中でアスリートについては、意識的になるべくからまんようにしてきた。
芸人や俳優、アーティストは、女遊びをやればやっただけ芸の肥やしになる。色気も出てくる。きれいな女の子にキャーキャー言われることがモチベーションになり、ますます仕事をがんばる人間が多い。けどアスリートだけは、アテンダーが女の子を紹介するとダメになってまうケースが多い。
大宮アルディージャの氏家英行は、トルシエ監督の時代に日本代表選手に選ばれるほど活躍した。ものすごい才能やったけど俺が女の子を紹介してあげたら、女遊びにハマってどんどんダメになっていったように見えた。名前は忘れてもうたが、横浜マリノスにいたサッカー選手も、俺が女の子を紹介した瞬間にホンマに見事にダメになった。
「しまった。アスリートに女を当てがうのは絶対アカンな。俺がアテンダーをやるせいで、あいつらのアスリート人生が終わってまう」
そう気づいてからは、アスリートから頼まれてもなんやかや言うてはぐらかし、女の子は紹介せんようになった。
アスリートは総じて性欲がムチャクチャ強い。性欲の塊、男根が服を着て歩いてると言ってもええくらいや。そのくらい肉体的に強いから一流になるわけや。よっぽど意思が強くストイックでなければ、あいつらは女性への性欲には勝てん。性欲に呑まれて、アスリートとしての本業の仕事がおろそかになってまう。
プロ野球は毎日のように試合があるから、シーズン中はムチャクチャハードや。試合がない日は地方への移動日やったりするし、遊びたくてもそんなには遊べない。
Jリーグは試合間隔がプロ野球ほどハードやないから、試合と試合の合間にインターバルが空く。ピッチを90分間走りまわった体を休め、メンテナンスするべき休暇日に女遊びしまくっとったら、サッカーがダメになっていくのは当然や。
若いうちから海外リーグに移籍したほうがいいのは、サッカーだけに集中できるというのも大きいんやろうな。

 


小出恵介をハメた美人局の正体

アミューズが所属タレントの危機管理に力を入れ始めたころ、アドバイザーとして非公式に協力を求められたことがある。「大阪の××とは関わったら絶対アカン」「東京の要注意人物はコイツとコイツや」と危ないアテンダーの固有名詞をコソッと全部教えた。ヤバイ人間が出入りするバーの名前も全部教えたもんや。
当時の人気俳優・小出恵介がハメられ、芸能界から何年も追放されたことがある。17歳の女子校生と酒を飲んでセックスしたことが、2017年に「FRIDAY」に暴かれてしもたんや。CMは打ち切り、出演ドラマや映画は何本も撮り直しやお蔵入りになった。違約金が何千万円にのぼったのかは想像もつかん。
小出君をハメた人間が誰かを俺は知っとる。
その不良は、イベントに参加しとったかわいい女子高生を未成年と知りながら小出君に紹介した。小出君が見事にハマってくれたのを見届けて、このネタで脅してカネにしようと考えた。巧妙に仕組まれた美人局や。
世の中には、何歳になっても20歳に見える童顔の女性もおる。反対に、ちょっと年上に見える女の子だっておる。身分証明書でも提示してもらわん限り、女の子の実年齢なんて誰にも正確には当てられん。飲みの席で「免許証か保険証を見せてくれる?」なんて尋ねるのは野暮の極みや。「20歳で~す」「21歳で~す」と自己紹介されたら、疑うことなく普通に飲むのが当たり前や。
相手が未成年の女子校生だとわかっとったら、人気芸能人が酒を飲んだりホテルに行ったりせんだろう。20歳以上だと信じてたのにハメられたんやから、小出君はむしろ被害者や。なのに淫行犯罪者のようによってたかって非難して、芸能界の第一線から引きずり下ろす。いくらなんでもあんまりや。
筋の悪いアテンダーに引っかかったら最後、芸能人の人生が一発で終わってまう。自分の顔と名前が売れてると自覚がある人は、遊び方にはくれぐれも気ぃつけてくれよ。

 

 


解説

ガーシーの語る裏社会の話は、聞いている分には面白いですが、あまり近づきたくないですね。

ガーシーを英雄視する若者も、ヤケドをするので、決してマネをしてはいけません。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(13)

2023-11-26 01:57:24 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
■第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第4章 アテンダーという裏稼業
□アテンダーは黒子に徹しろ
□山下智久と亀梨和也はハメられた
□女性タレント9人の中絶もアテンド
□芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
□週刊誌記者から守るアテンド術
□アテンダーになる方法
□人のためにキレられるか
□努力しない女は港区から去れ
□バーで夢を売る技法
■すすきののホステス嬢を87人喰った
■みかじめ料とすすきの
■大阪・北新地のケツモチヤクザ
■豪快だった大物演歌歌手
□賭博ゲーム大国・沖縄の自由度
□関東連合60人が店にやってきた
□ウーロン茶5杯で10万円 ・関東連合から渡されたピン札
□プロ野球選手とJリーガー
□小出恵介をハメた美人局の正体

 


すすきののホステス嬢を87人喰った
六本木のMACCAが軌道に乗ると、札幌のすすきのに進出してMACCAの支店を出した。もともと俺はすすきのが大好きやったし、東京の次はすすきのに進出したかったんや。
MACCAすすきの店はサパー (supper=男性スタッフが接客するナイトクラブ) や。ここは女の子やなく、男が客を盛り上げる店やった。せやから、店にカネを落としてくれる客(女の子)を力ずくで集めてこなアカンかった。
アメリカザリガニ(お笑いコンビ)の平井善之の後輩に、芸人を辞めて暇そうにしているヤツがおった。のちに三浦翔平の取り巻きとなった一人や。そいつを店長にして、芸人上がりをもう一人投入し、イケメンの元ホストもいっぱい従業員として雇って店を作った。俺はそいつらに猛烈な営業をけしかけた。
「お前ら、とりあえずすすきのじゅうの女を喰いまくれ。枕営業しまくってかまへん。ガンガン女を喰って、ガンガン店に女を呼ぶんや」
そうけしかけて猛烈に営業をかけさせたら、MACCA すすきの店がメチャクチャはやった。夜の繁華街には、風俗嬢やホステスの顔写真やプロフィール、店の名前が紹介してあるフリーマガジンが必ず置いてある。ネット時代の今は「ホスラブ」という掲示板サイトがあるけど、昔はホストやホステスは紙媒体で宣伝し、店に呼びこんでいたわけや。
夜の街のフリーマガジンには、かわいい子が大勢載っとる。その子らの店に次々と突撃した。俺自身、1年間ですすきののホステス嬢を87人喰った。その子らと仲良く なって、MACCAすすきの店の客として呼びこんだんや。
「東京から来た関西弁のヤクザが、すすきのの女を喰いまくってるぞ」
すすきのの風俗店やキャバクラの間で、たちまちMACCAすすきの店の悪評が響き渡った。


みかじめ料とすすきの
もしかしたら今も変わってへんかもしれんけど、当時のすすきのはヤクザにみかじめ料を払わなければ店なんてやれんかった。みかじめ料を払わなければ、腕に入れ墨をした怖いお兄さんが毎日店にやってくる。客は怖がって帰ってまう。月々のみかじめ料さえ払えば、そない嫌がらせはピタッと止まる。
俺が店を出すより先に、友だちがすすきのでニュークラブ(札幌ではキャバクラのことを「ニュークラブ」と呼ぶ)をオープンしておった。その友だちに地回りのヤクザを紹介してもらい、みかじめ料を払って店のケツモチをしてもらっとったんや。
「それみろ。ガーシーは反社やないか」なんて脊髄反射せんといてくれ。ヤクザ者にみかじめ料を払わなければ、店なんてやれん時代がついこの間まであったんや。「暴力団を街から追放せよ!」なんてきれいごとは、PTAのオバハンに任せとけばええ。ケツモチがいなけりゃ、夜の街で経済活動ができんのやからしゃあない。
ちなみに、当時のみかじめ料は1軒あたり毎月3万円や。そのほかに、盆暮れ正月のつきあいごともある。夏場は甲子園の野球大会があるから、野球賭博に参加してケツモチに現金を落とすつきあいごとが習わしや。
「今日はオヤジ(組長)の誕生日や」と言われたら1万円を渡す。正月には「門松代 です。新年からも引き続きよろしくお願いします」と言って3万円のご祝儀を渡す。それをすすきのじゅうの店が全部やってるわけやから、ヤクザが得る毎月の収益はものすごい。こんなものに領収書なんて発生せえへんから、全部無税の収入や。
あのころの札幌は、ヤクザのほうが警察より力が強かった。ヤクザが乗っている車のナンバープレートを、警察は全部控えている。違法駐車していようが、事件が起き検問があろうが、警察はナンバープレートを見てヤクザの車だけには手出ししない。袖の下を渡して、ヤクザと警察が結託しとったんやろうな。
みかじめ料を払わず抵抗する飲み屋があると、ヤクザが客として嫌がらせに来る。泥酔したフリをして難癖をつけて、店の中で暴れることもある。店長がたまらず110番通報しても、警察はすぐには来てくれへん。
「民事不介入」と言って、明らかな暴力を振るわれるまでは警察は動いてくれん。 「お前らがみかじめ料を払わんからアカンのや」と言わんばかりや。すすきのはそれ くらいムチャクチャな街やった。
東京はだいぶ前から、ヤクザより警察のほうが力が強い。ヤクザ者との揉め事が起きたら、普通に110番通報すればいいだけの話や。夜の街の住人たちは「横浜とすすきのだけは、ヤクザのほうが警察より強いわ。ポリの連中、なかなか動いてくれへん」言うてた。今はどうか知らんけどな。


大阪・北新地のケツモチヤクザ
ヤクザと夜の街の関わりは、地方によってだいぶ異なる。大阪やと北新地のキャバクラは、ヤクザのケツモチがついてるとトラブルに巻きこまれん。ケツモチがついてないバーやと、ヤクザが普通に客としてやってくることがある。
ちょっと反社っぽい人がいるだけで、ほかの客が嫌がる。せやから俺は店長に「ちょっとでも変なことがあったら、すぐ警察呼べ」と言い聞かせてた。
あるとき大阪で店を任せてた店長から、あわてた様子で電話がかかってきた。
「ヒガシさん、ウチの店の者がさらわれちゃいました!! どうしましょう」
「アホ! 俺に電話する前に、まず警察に電話せえ!」
そのとき俺は東京にいたから、大阪に駆けつけようにも時間がかかりすぎる。警察からその従業員に電話してもらったら、そいつは無事やった。その従業員は、たまたま店にやってきたヤクザの後輩やったらしい。
「すみません。さらわれたわけじゃないんですよ。違う店に飲みに行こやと誘われて、今は別の店で飲んでます。大丈夫なので安心してください」
「お前、心配するやろ」
そんなやり取りをしてホッと一安心やった。
「ウチの店の敷居はヤクザにはまたがせない」というルールを徹底させないと、要らんトラブルの火種になる。ヤクザを嫌がる店は多いから、連中は息抜きする場所がない。「自分らもここで酒飲んで大丈夫なんや」と一人に思われたら、どんどん別のヤ クザが店に来よる。せやから、ヤクザがやってきたときにはビビらず対応するほかな い。
「お客さんすみません。ほかの者が怖がりよるんで、今日のところは引き取ってもら えませんか」
そう丁重にお願いして、出禁リストに入れる。キッパリと対応すれば、ヤクザもわかってくれる。


豪快だった大物演歌歌手
すすきので店をやっていた当時、俺の兄貴分やった人から細川たかしさんを紹介してもらった。細川さんは北海道出身やから、すすきのでパーッと遊ぶのが大好きやった。昔の演歌歌手はムチャクチャ羽振りが良かったから、細川さんがMACCAに来てくれたときは昭和の日活スターみたくドンチャン騒ぎや。なにしろ一晩で200万円も使ってくれはった。あの人は俺のことを「マッカ」と呼んどったな。
細川さんは、開けっぴろげで豪快なスターやった。
「マッカ、お前どこにケツもってもらってんだ?」
「××です」
「お前、そこじゃダメだろ。俺が紹介してやっから。これを拡大コピーして、額に入れて飾っとけ。そうすりゃ誰もお前の店に口出しできないぞ」
細川さんが俺に渡したのは、某大手組織の名刺や。
「いやいや、こんなすごい人がケツモチだなんて言ったら、逮捕されるんで無理です。勘弁してください」
「なんだお前、一番強いぞこの名刺」
「そういう問題じゃないです」
丁重にお断りして、名刺はお返しした。その当時、俺がケツモチを頼んでいたのはその傘下にある組やった。その人にみかじめ料を払い、盆暮れ正月のおつきあいも欠かさなかったから、MACCAすすきの店はややこしい揉め事になんて一切巻きこまれんかった。「お前の店にはヤクザは行かさないからな」と言われ、ヤクザなんて誰も店に来たことはない。

 

 


解説
ヤクザ者にみかじめ料を払わなければ、店なんてやれん時代がついこの間まであったんや。「暴力団を街から追放せよ!」なんてきれいごとは、PTAのオバハンに任せとけばええ。ケツモチがいなけりゃ、夜の街で経済活動ができんのやからしゃあない。

芸能人とのコネを当てにして、風俗業に進出したガーシーは、ケツモチヤクザとも仲良くやっていた、ということです。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(12)

2023-11-25 01:48:20 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
■第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第4章 アテンダーという裏稼業
□アテンダーは黒子に徹しろ
□山下智久と亀梨和也はハメられた
□女性タレント9人の中絶もアテンド
□芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
□週刊誌記者から守るアテンド術
□アテンダーになる方法
■人のためにキレられるか
■努力しない女は港区から去れ
■バーで夢を売る技法
□すすきののホステス嬢を87人喰った
□みかじめ料とすすきの
□大阪・北新地のケツモチヤクザ
□豪快だった大物演歌歌手
□賭博ゲーム大国・沖縄の自由度
□関東連合60人が店にやってきた
□ウーロン茶5杯で10万円 ・関東連合から渡されたピン札
□プロ野球選手とJリーガー
□小出恵介をハメた美人局の正体

 


人のためにキレられるか
紳助さんや淳と出会って以来、俺はアテンダーとして常に「目の前にいるこの人を自分が守らなアカン」という意識を強くもって過ごしてきた。有名人の代わりにキレることができるってのも大切なことや。
何百万人、何千万人の視線にさらされる芸能人は、特殊な職業や。彼らは人の目線の動き、ちょっとした表情の変化を動物的勘で敏感に察知する。常に緊張状態で神経過敏な人たちだから、失礼な態度や言動をぶつける者がおればイラッとする。オーダーしたお酒や料理がなかなか出てこなければ、どうしたんだと首を傾げる。「タレントさんがキレそうやな」と思ったら、アテンダーである俺が真っ先にキレるようにしてきた。飲み屋でもメシ屋でも、関西弁で瞬間湯沸かし器や。
誰が悪者になるべきか。みんなを喜ばせるべき女の子が悪者になるのはアカン。女の子がチョンボをやらかしたときには、みんなにバレないように別室や外に連れ出して叱責する。タレントが公衆の面前でキレたらすぐにネタにされる。人気商売で食ってるその人のイメージは丸つぶれやし、座が白けてみんながつまらない思いをする。
何か問題が起きたときには、アテンダーが汚れ役を引き受けてキレればええ。キレるのは悪いことやない。女の子を叱り、対応がまずい店員を叱る。キレることによってすぐに問題解決さえできれば、あとはニコニコしとればええ。
「お前、どないなってんねん!」とブチギレたとき、タレントは俺の意図をよく理解 してくれる。
「ヒガシさん、さっきは俺たちのために怒ってくれたんでしょ?」
そうやってコソッと声をかけてくれる。
「気にせんといてください」
それで終わりや。
紳助さんや ONE OK ROCK の Taka、 UVERworld の TAKUYA∞なんかは、みんな俺の瞬間湯沸かし器ぶりを知っとる。キレたときにバッと前に出る俺の性格を見て、みんなからよくこう言われたわ。
「あんまりキレると、自分が損しすぎるからキレすぎんほうがいいよ」
いやいや、なんも。場の空気を乱す人間が一人でもいたときには、秩序を元に戻すためにササッと軌道修正する。だから俺は飲食店の最近入ったバイトの子の名前や仕事ぶりまで全部頭に入れておく。ちょっとアカンなと思ったら注意する。
タレントが気持ち良く過ごせるよう環境を整えるのもアテンダーの大切な仕事なんや。


努力しない女は港区から去れ
男には社会的ステイタス、しゃべりの能力、カネといったように、顔以外にもモテる要素がたくさんある。努力でモテるようになるんや。けど、こんなん言うたら悪いけど、女の子のモテ要素のうち、見てくれが一番大事なのは明らかや。
昔から俺は「自分はブスアレルギーや。ブサイクな女の子とはしゃべらん」と公言してきた。もちろんそのうえで、生まれもった造作を全否定するわけやない。なぜなら女の子は努力すれば一定以上にはかわいく見えるからや。
ガバガバ酒を飲みくさって、出された料理を豚のように食い散らかしてたら、誰だって太る。暴飲暴食するなら、あとでスポーツジムでカロリーを消費するなり、ダイエットサプリを飲むなり調整すりゃええんや。
痩せてかわいい服を着れば、女の子は誰だってそれなりにかわいくなる。メイクを工夫すれば女の子は別人のように化ける。今の時代、整形だって悪いことではない。
男は顔以外にいくらでもモテる要素があるから整形なんてせんでええ。でも女の子は やっぱり顔や。誰がなんといってもこれが真実や。だから整形したって全然ええ。 ポテッと太ったまま適当な生き方をしている。それじゃモテんのは当たり前や。
アテンダーとして新規の女の子を呼ぶときは、必ず候補者の写真を事前に送ってもらう。その写真を見ただけで「アウト」と判定される子もおる。 連れてきてみたら、アプリで写真に修正をかけすぎていて別人だったりもする。待ち合わせ場所についても本人だと気づかないときすらある。
そんなとき、俺は女の子をめっちゃ叱る。
「なんで俺が怒るかわかるか? タレントは俺よりよっぽどシビアやで。ブサイクが来たら、あの人らはホンマ何もしゃべらんから。そしたらお前だって傷つくやろ」
夜の街でカネを稼ぎたいのなら、血のにじむような努力によって、すこしはかわいくなってから来い。死ぬ気で努力せい。俺はずっとそう思ってきたし、女の子にも厳しい言葉をぶつけてきた。それが嫌なら港区に来なければええねん。
芸能界で生きている連中は、すさまじい競争の嵐にさらされている。ひな壇芸人なんて、自分よりオモロイ若手が現れたらたちまちイスを奪われる。いつクビになるかわからん日雇い労働者と同じや。
俳優は、映画やドラマのオーディションを何十本も受けながら必死で仕事を勝ち取っとる。オーディション会場に行けば、ベテランだろうが若手だろうが関係あらへん。消費の速い世界やから、ベテランはたちまち無名の新人に上書きされてまう。
そんな人たちを喜ばせたいのなら女の子も必死で努力せい。港区の厳しい現実を突きつけながら、俺はアテンダーとして女の子を厳しく鍛えていった。


バーで夢を売る技法
根っから女好きの俺は、学生時代からイベントサークルで女遊びをしまくっていた。女の子に声をかけてナンパするのは全然苦じゃあらへんし、「今日飲みに行かない?」と人集めをするのも朝飯前や。根っからアテンダーが向いてたんやろう。紳助さんや淳と知り合ってからは、自然な成り行きで芸能人に女の子を紹介する役回りを引き受けるようになった。
六本木にMACCA (マッカ)という飲み屋をオープンすると、この店にみんながタレントを連れてくるようになった。
ウチの店の従業員はみんなかわいいから、従業員とは別立てで女の子を呼ぶ必要もない。港区の普通のバーなのに、羽振りのいい客が足しげく通ってくれて1カ月1500万円も売り上げておった。
俺の営業スタンスはムチャクチャや。店が暇な日には、押し売りみたいなやり方で強引に酒を売りこんでまう。客のところにシャンパンをもっていって、本人の了解なしにボン!といきなり抜栓する。関西の商売人はとにかく押しが強い。
「1本くらいええやん。かわいい子らが飲みたい言うとるで」
そう言ってグラスにドボドボシャンパンを注ぎこんだら、男はみんな断れない。飲み始めたら気持ち良くなって、つい「もう1本」となる。ウチの従業員の女の子はみんな酒が強かったから、速攻で飲み終わって「もう1本」「もう1本」と調子に乗る。 ホンマにエゲツないやり方やったけど、こうして売り上げがどんどん積み上がっていった。
もちろんオカネをもってない人には、そんな押し売りまがいの営業なんてやらない。 強引なやり方をするときには、カネに困ってないバブル紳士だけをピンポイントで選ぶようにしておった。
MACCAに来る客は、とにかくかわいい子と仲良うなりたい。かわいい子と楽しくお酒を飲んで、あわよくばお持ち帰りしたい。カネは湯水のようにある。札束をバラまきながら、擬似恋愛を思いきり楽しみたい。俺はそんな客に夢を売っていたんや。

 


解説
ヤクザにはヤクザの道理、半グレには半グレの道理、アテンダーにはアテンダーの道理があるということでしょうか。
ここでもガーシーは、自分勝手な好き放題を言っていますね。

六本木にMACCA (マッカ)という飲み屋をオープンすると、この店にみんながタレントを連れてくるようになった。

これまで培ってきた信用を元手に、回収にかかってきたのでしょうか。


俺の営業スタンスはムチャクチャや。店が暇な日には、押し売りみたいなやり方で強引に酒を売りこんでまう。

自分で白状していますね。
これも自分勝手な言い分です。

 

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(11)

2023-11-24 01:13:22 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
■第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

 

第4章 アテンダーという裏稼業
□アテンダーは黒子に徹しろ
□山下智久と亀梨和也はハメられた
□女性タレント9人の中絶もアテンド
■芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
■週刊誌記者から守るアテンド術
■アテンダーになる方法
□人のためにキレられるか
□努力しない女は港区から去れ
□バーで夢を売る技法
□すすきののホステス嬢を87人喰った
□みかじめ料とすすきの
□大阪・北新地のケツモチヤクザ
□豪快だった大物演歌歌手
□賭博ゲーム大国・沖縄の自由度
□関東連合60人が店にやってきた
□ウーロン茶5杯で10万円 ・関東連合から渡されたピン札
□プロ野球選手とJリーガー
□小出恵介をハメた美人局の正体

 


芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
女の子の中には、芸能人やアスリートがリラックスして酔っぱらっている様子をコッソリ盗撮するアホもおる。その動画や写真をLINEで友だちに送って自慢したり、匿名アカウントのSNSに載せてフォロワーを増やそうとしたり、週刊誌に売りつけたりするんや。
一般人は有名人と会っただけで舞い上がってしまうもんや。こういった盗撮を未然に防ぐことも、アテンダーの大事な務めやと思ってる。
俺は情報漏洩に人一倍敏感やった。メールやLINEを見ているフリをして、手元でスマホをいじくっている女の子には要注意や。スマホの角度がちょっとでも上がった瞬間、俺は盗撮を疑う。
テーブルの上でスマホを裏返しにしている女の子も怪しい。ボイスメモ機能をオンにしておいて、飲み会の様子を丸々録音されたらかなわん。やたらと頻繁にトイレに立つ女の子も怪しい。トイレに立った隙に「今ONE OK ROCK のTaka が××ビルの7階に来て女の子と遊んでるよ」と情報を流し、週刊誌を呼んどるかもわからん。
ちょっとでも女の子が怪しい仕草を見せたら、俺はその子を「ちょっといいかな」と別室なり外なりに呼び出して問い詰める。
「違っとったら悪いけど、今スマホいじって何やっとった? 勘違いやったら謝るか
ら、写真の履歴とボイスメモを見せてくれるか」
もし盗撮や盗聴の痕跡が残っていれば、その場で全削除し、iCloudにもアクセスしてデータを消去する。
「お前、なんでこんなことさらしとんのや。俺が作ってきた信頼関係に泥塗るつもりかお前みたいな女にチョロチョロされとったら、夜の仕事が成り立たへんねん。ナメとんのか。説明してみいや」
もちろん手を出しはしないが、二度とくだらない真似ができないよう、泣くまでガン詰めする。反省してないようなら出禁にする。こういったことを裏でしっかりしてきたから、俺がアテンドする女の子は芸能人たちから信用されてきたんや。
スパイ行為を働くような一般人は、夜の街からスッパリ足を洗って、陽の当たる場所でOLでもやっとればええんや。


週刊誌記者から守るアテンド術
俺がアテンダーとして仕事をするときには、芸能人やタレントの動線にはめっちゃ気を遣う。店で有名人を女の子と引き合わせるときには、入りと出を別々にする。ほかの客の目につかんよう、奥まった場所にある個室を確保する。店の外に張りこみの車両やオートバイ、不審人物がおらんか目を光らせる。変な車が張りこんでるようなら、駐車違反で110番通報して追い払えばいい。
週刊誌のパパラッチは、芸能人やタレントが店やホテルに出入りする瞬間をバババッ! と写真に撮る。その瞬間を撮らせないための技術はいくらでもある。従業員用のエレベーターで地下駐車場まで降り、そこで車に乗りこんで外に脱出する。スタッフ用の勝手口にバンなりタクシーなりをピタッとくっつけて、さっと乗りこんでもらえば写真の撮りようがない。
タレントが女の子と帰るときには、わざと俺も加わり、親密そうな様子で振る舞うようにもしていた。仮に記者が張りこみしていたら、アテンダーの俺が女の子と一緒にいたら都合が悪い。ツーショットなら熱愛や密会と記事にできるが、そこに俺がいたら単なる飲み会や。写真の価値が落ちる。俺が弾よけになることによって、写真を撮りにくくするわけや。
口が軽い女の子から秘密が外部に漏れることもある。どんなにかわいくて、どんだけ簡単にセックスさせてくれると有名でも、口が軽いとわかったら絶対に呼ばんかった。週刊誌とつながりがあるという噂の女の子も出禁や。二重三重四重に網を張り、情報漏洩防止に努める。CIAよろしく、俺はいつも警戒心を怠らず芸能人を守ってきた。27年間、俺がアテンドして記事になったことは一度もない。これは俺の自慢や。


アテンダーになる方法
かれこれだいぶ前から、小学生の「将来なりたい職業ランキング」で YouTuber が上位に入るようになった。HIKAKINやはじめしゃちょーの成功によって、お笑い芸人やタレントよりも YouTuber のほうが人気商売としてのし上がったわけや。
俺の YouTube チャンネルが話題になったことによって、「アテンダーになりたい」という若者が増えているらしい。テレビになんて出なくても日本中の話題になることができるわけや。
国外に逃亡して、俺は妹から日本の様子を聞いた。妹によると、実家に「ガーシーさんのファンです」という中高生が訪ねて来るらしい。中には「ガーシーさんに弟子入りしたいです」とオカンに直訴する者もおるそうや。
「アホなこと言わんと、アンタら帰りなさい! ちゃんと就職し!!」
オカンがいつも怒って追い返すそうや。Twitter や InstagramのDMでも「弟子入りさせてください」というお願いが毎日バンバン届きよる。いくら落語家になりたいからゆうて、立川談志が誰でもかまわず受け入れたわけやない。弟子を取るいうことは、弟子の親になるわけやから、簡単な話やない。その代わりにこの本でアテンダーの心得を説明しているわけや。
俺みたいにアテンダーになりたい子は、東京都港区に出てこないとアカンやろうな。アテンドの本場はなんといっても港区や。
ただし港区は競争率が高い。よっぽど特別な人脈があるわけやないのなら、いきなり港区で名を売るのはハードルが高い。アテンダーのチャンピオンズリーグやからな。だからまずは地方や。地方予選を勝ち抜くんや。
全国各地の100万人都市で「大阪といえばコイツ、名古屋といえばコイツ、福岡といえばコイツ」と言われる存在になればええ。地方で名が売れれば、タレントや起業家が来るときにお呼びがかかる。絶対連絡してくる。そこで満足させることができたら噂は一気に広がる。みんな妻やカノジョの目が届かず週刊誌も追い回してこない地方で羽を伸ばしたいんや。
まずは地方の100万人都市で地歩を築き、そこから江戸で成り上がる下剋上がアテンダーとしての道や。
地方都市で一番かわいい子は、全員キャバクラにいる。突き抜けてとんでもなくかわいい子は、すでに東京に出てきてしまっとる。かわいい子をつかまえるには、夜の街でスカウト活動するのが一番や。夜の街で働くかわいい子と丁寧に信頼関係を築き、女の子データベースを作る。 そして遊びに来た芸能人や社長連中をアテンドする。
100万人も人口がおれば、1万人に一人の逸材が必ずキャバクラにおる。その子に目を光らせ、有名人との架け橋になるのが、アテンダーの第一歩ちゅうことや。

 

 


解説
ガーシーは、まるで正義の味方のようにアテンダーという仕事を誇らしげに語っています。
調子に乗って「アテンダーになる方法」なんて、項目を立てて書き連ねています。
しかし、アテンダーなんて、しょせん金持ちや有名人に女の子を差し出す女衒のような仕事です。
まともな青少年が真似をしないことを祈ります。

獅子風蓮


ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(10)

2023-11-23 01:12:38 | ガーシー

ガーシーには嫌悪感が先に立つほどだった私ですが、ガーシーのおかげで救われたという人もいたのですね。
また彼は家族思いで、母や妹には今でも慕われているようです。
ガーシーについて、好奇心がわきました。
ガーシーはどのように育ったのでしょうか。
彼なりの正義とはいったいどういうものなのでしょうか。

そこで、ガーシーの自伝的な本があるというので読んでみました。

ガーシー(東谷義和)『死なばもろとも』(幻冬舎、2022.07)

かいつまんで読んでみたいと思います。

(目次)
□序章 ジョーカー誕生
□第1章 逃亡者
□第2章 しゃべりだけで成り上がる
□第3章 芸能界への扉
■第4章 アテンダーという裏稼業
□第5章 酒と女とカネと反社
□第6章 死なばもろとも
□第7章 社会の不満が生んだ怪物

第4章 アテンダーという裏稼業
■アテンダーは黒子に徹しろ
■山下智久と亀梨和也はハメられた
■女性タレント9人の中絶もアテンド
□芸能人を盗撮・盗聴する女は許さない
□週刊誌記者から守るアテンド術
□アテンダーになる方法
□人のためにキレられるか
□努力しない女は港区から去れ
□バーで夢を売る技法
□すすきののホステス嬢を87人喰った
□みかじめ料とすすきの
□大阪・北新地のケツモチヤクザ
□豪快だった大物演歌歌手
□賭博ゲーム大国・沖縄の自由度
□関東連合60人が店にやってきた
□ウーロン茶5杯で10万円 ・関東連合から渡されたピン札
□プロ野球選手とJリーガー
□小出恵介をハメた美人局の正体


アテンダーは黒子に徹しろ

アテンダーという仕事は俺が出現する前は一般の人が知るようなものやなかった。 西麻布や六本木で遊び慣れていない読者は、初めて耳にするかもしれんな。「アテンド(接待、世話)する人」ゆうても、キャバクラやラウンジのマネージャーともちゃう。
ここからは、アテンダーという裏稼業について話していこうと思う。サービス精神がないとやれん仕事やから営業やサービス業などで働くみんなの役に立つかもわからん。
経営者や芸能人、アスリートは総じてみんな性欲が強い。生粋の女好きや。かわいい女の子に会いたくて会いたくてしゃあない。せやけど彼らは顔も名前も知られてるから、表のルートからは女の子を紹介してもらいづらかったりもする。
女の子の趣味は人によって細かい。かゆいところに手が届くように、彼らの需要に応えて女の子を紹介してあげる。トラブルが発生したときには、隠密裏に問題を解決する。汚れ仕事まできっちりこなすのが、アテンダーとしてのプロフェッショナルの流儀や。
アテンダーゆうても女街(ぜげん)とちゃうで。女衒なんかと一緒にされたら困る。貧しい家の女の子を、芸者や遊女、旅籠屋の女中として売り飛ばす。江戸時代に半ば人さらいのように女の子を人身売買し、売り上げを中抜きしてカネ儲けしてたのが女街や。
俺らアテンダーのことを女衒呼ばわりしたらアカン。顧客と女の子が揉めたとき、女衒はトラブル処理なんてやってくれへん。アテンダーはそこまできっちり面倒を見る職業なんや。
アテンダーの中には、女の子からも客からも信頼されてない不届き者がおる。例えば、マチャ。港区では有名なアテンダーや。
「ONE OK ROCK の Taka 、佐藤健、三浦翔平が今日遊びに来るで」と女の子を呼ぶ。 にもかかわらず、その日のメインゲストを立てない。
「お前さ、『かわいい子がいるから』って俺を呼んどいて、一番かわいい子を自分の横につけてんじゃねえの。それだったら俺のことここに呼ぶなよ」
あるとき、この3人はアテンダーの身勝手な態度に怒って帰ってしまった。こんなヤツが、トラブル処理までそつなくこなしてくれるとは思えん。アテンダーには免許も資格もない。だからエエカッコしいのアテンダーには要注意や。もちろん俺が芸能人のアテンドをするときには、連れてきた女の子は全員ゲストに差し出すで。俺がしゃしゃり出ることなんて絶対あらへん。当たり前や。


山下智久と亀梨和也はハメられた

悪いアテンダーには要注意や。
2020年8月、山PやKAT-TUNの亀梨和也が、コロナ禍の自粛モードを破って明け方まで飲み会をやってたことが「文春オンライン」でスッパ抜かれた。飲みの席には未成年の女子校生がいて、山Pがホテルに持ち帰りした様子も激写された。かわいそうに、山Pは芸能活動自粛、亀梨には厳重注意処分が下ったもんや。
緊急事態宣言やろうがマンボー(まん延防止等重点措置)やろうが、そんなもんは日本政府なり東京都なりからの「要請」(お願い)であって、罰則規定を伴った強制措置でも何でもあらへん。スーパースターがプライベートな時間に何をやろうが、外野からとやかく言われる筋合いやない。未成年者と酒飲んだり淫行したりするのはアカンけどな。
せやかて、山Pも亀梨も相手が未成年者やとは思っとらんかったはずや。未成年者とわかってたら、そんな子は飲みの席から帰らせるに決まっとる。
俺は、山Pや亀梨はアテンダーの古山にハメられたんやないかと思う。「文春オンライン」の張りこみぶりと画像の激写ぶりが、あまりにタイミングが良すぎたからや。
筋の悪いアテンダーは、ニコニコして芸能人に女の子を当てがいながら、陰では週刊誌とつながっとる。
「××が△△ホテルの1508号室で女と会ってますよ」と情報を流し、週刊誌の編集部から情報提供料をせしめるんや。
筋の悪いアテンダーと関わった社長さんは裏で脅されたりナンボでもつぶされたりしていく。身に覚えがある連中は、胸に手を当てて今後の身の振り方を考えといてくれや。


女性タレント9人の中絶もアテンド

アテンダーとして芸能人の飲みの席に女の子を連れて行くと、浴びるように酒を飲みまくることがよくある。杯が進めば誰だって酔っぱらってグダグダになる。
多くのアテンダーは、芸能人と一緒になって酔っぱらい、アフターケアに努めない。飲みの席で女の子に無理やりテキーラをガンガン一気飲みさせたら、あとでトイレで吐いてしまったり、翌日に嫌な思いをしたりすることになる。
女の子を放っといて昼過ぎまで寝たり、夕方になってから「昨日は無理やり飲ませすぎてゴメンな」と電話をかけたりするようでは、女の子との信頼関係なんて絶対に築けん。そういう小さな雑さが、後々の大きなトラブルの種になるんや。
酒が飲めない俺はいつもシラフやから一人だけ冷静や。ちょっと飲みすぎの子がいたら「フラフラしてない? 大丈夫?」と声をかけて水を勧める。その子のお酒はコッソリ薄めに作ってあげる。「酔っぱらいすぎて危ないな」と思ったら、Uber Taxi を 手配してタクシーに乗せ、自宅まで無事に送り届ける。
昼過ぎまでグーグー寝てることなんてない。ちょっと元気がなさそうな女の子はランチに連れて行き、ご馳走して相談に乗ってあげたりもする。そうやって女の子と信頼関係を結び、芸能人やタレントとつなげていったんや。女の子から信頼されていたら、タレントと女の子が揉めたときも穏便に済ませることができる。タレントのケアと同じように女の子のケアが大事なんや。
グラビアアイドルや女性タレントの中には、望まない妊娠によって子どもができてしまった子もおる。俺はこれまで、9人の女の子と一緒に産婦人科へ行き、中絶まできっちりつきあってきた。俺の子どもを9人堕ろさせたんちゃうで。赤ん坊の本当のお父さんの中には、産婦人科になんて顔を出せない、もしくは出す気もない有名人がゴロゴロおる。そのお父さんの代わりに、俺が保護者として産婦人科までアテンドしたんや。
身勝手なタレントの泥をきれいにかぶり、女の子のケアまでしっかりするのがアテンダーの仕事なんや。


解説
アテンダーゆうても女街(ぜげん)とちゃうで。女衒なんかと一緒にされたら困る。

ガーシーはそう言いますが、「女の子」を商品として見、一人ひとりの人格を尊重しないところは、女街と同じだと思います。
昔、小遣い稼ぎに社長に女の子を紹介していた時と、同じですね。

筋の悪いアテンダーは、ニコニコして芸能人に女の子を当てがいながら、陰では週刊誌とつながっとる。

今となっては、女の子を紹介していた「友人」の秘密を暴露してカネを稼いだガーシーがよく言うわ、という感じですね。

獅子風蓮