一昨日のブログで紹介した静岡県による麻しん(はしか)のQ&Aが昨日、県のホームページに掲載された。
問題があると指摘したにもかかわらず、既に決裁が終わったので修正不可とされたものである。組織改正で2室にまたがる調整という小回りの利かないシステムになった弊害が出た事例と言っても良い。
そこで、この場を使って、県に指摘した主要な問題点二つを紹介する。
一つ目は卵アレルギーについてである。
【県のQ&A】では、
「麻しんワクチンの製造にはニワトリ胚細胞を使っているため、卵アレルギーをはじめアレルギー体質の方は事前に医師と十分相談してください」
と記述され、あたかもインフルエンザの予防接種と同じように卵アレルギーとの関係があるかのようである。
一方、【国のQ&A】では、
「麻しんワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています」
と、あえて卵アレルギーとの関係を否定している。
まさにこれは、誤解によって接種の機会を喪失しないための配慮といえるだろう。
実際、インフルエンザワクチンは、ウイルスの増殖に孵化鶏卵を用いるため、ワクチン内に微量ではあるが卵蛋白が含まれていることから、厚生労働省の「インフルエンザ予防接種ガイドライン」で「卵アレルギーが明確な人(食べるとひどい蕁麻疹や発疹が出たり、口腔内がしびれる者)に対しては接種を避ける」と明記されているが、一方の麻しんワクチンについては、現行の麻しん及びおたふくかぜワクチンは「卵アレルギー児でも安全に接種できている」との見解が予防接種ガイドライン等検討委員会で示されている。さらには、米国の例として重度の卵アレルギーを有する小児でも事前の皮膚テストなしに接種できるほどであることも紹介されている。
加えて、「わかりやすい予防接種 改定第3版」(診断と治療社)においても、107ページで卵アレルギーとの関係なしと明記され、次ページには誤解がないようにと「麻疹ワクチン、麻疹風疹混合ワクチン、おたふくかぜワクチンは鶏胚から採取された初代迫{細胞が使われます。これは鶏卵とはほとんど別物といってよいくらいかけ離れたものです。」と記述されているのである。
県のQ&Aを見て接種を必要以上に自制して何かあったらどうするのだろう。
大いに疑問な県のQ&Aだ。
(ただし、国のQ&Aにもあるが、卵にかかわらず重度のアレルギー(アナフィラキシー反応既往)のある人は要相談、すなわち皮膚テストを行わなければ接種すべきではないので注意されたい。)
もう1点は妊娠している人・しそうな人への注意が県のQ&Aには一切ないことだ。
【国のQ&A】では、
「妊娠中に麻しんに罹ると流産や早産を起こす可能性があります…(中略)…などの注意が必要です。」
と、一般的注意がある上に、先天性風しん症候群との関連から、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の接種上の注意として、
「ただし、MRワクチンは、風しんのワクチンも含まれていることから、妊娠している方は接種を避けることはもちろんのこと、妊娠されていない方は、接種後2か月程度の避妊が必要です。おなかの赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。また、麻しんの単独ワクチンの接種に当たっても、妊娠している方は接種を避けるなど同様の注意が必要です。」
と、実に親切だ。
要するに、決して県の見解だけに頼ってはいけないのである。
役所だからという理由だけで信用するという時代は終わっている。
自ら情報を集め判断するのが賢明だ。
【なお、県のQ&Aの筆頭責任部署は厚生部管理局企画監(企画・広報)054-221-2302である】
問題があると指摘したにもかかわらず、既に決裁が終わったので修正不可とされたものである。組織改正で2室にまたがる調整という小回りの利かないシステムになった弊害が出た事例と言っても良い。
そこで、この場を使って、県に指摘した主要な問題点二つを紹介する。
一つ目は卵アレルギーについてである。
【県のQ&A】では、
「麻しんワクチンの製造にはニワトリ胚細胞を使っているため、卵アレルギーをはじめアレルギー体質の方は事前に医師と十分相談してください」
と記述され、あたかもインフルエンザの予防接種と同じように卵アレルギーとの関係があるかのようである。
一方、【国のQ&A】では、
「麻しんワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています」
と、あえて卵アレルギーとの関係を否定している。
まさにこれは、誤解によって接種の機会を喪失しないための配慮といえるだろう。
実際、インフルエンザワクチンは、ウイルスの増殖に孵化鶏卵を用いるため、ワクチン内に微量ではあるが卵蛋白が含まれていることから、厚生労働省の「インフルエンザ予防接種ガイドライン」で「卵アレルギーが明確な人(食べるとひどい蕁麻疹や発疹が出たり、口腔内がしびれる者)に対しては接種を避ける」と明記されているが、一方の麻しんワクチンについては、現行の麻しん及びおたふくかぜワクチンは「卵アレルギー児でも安全に接種できている」との見解が予防接種ガイドライン等検討委員会で示されている。さらには、米国の例として重度の卵アレルギーを有する小児でも事前の皮膚テストなしに接種できるほどであることも紹介されている。
加えて、「わかりやすい予防接種 改定第3版」(診断と治療社)においても、107ページで卵アレルギーとの関係なしと明記され、次ページには誤解がないようにと「麻疹ワクチン、麻疹風疹混合ワクチン、おたふくかぜワクチンは鶏胚から採取された初代迫{細胞が使われます。これは鶏卵とはほとんど別物といってよいくらいかけ離れたものです。」と記述されているのである。
県のQ&Aを見て接種を必要以上に自制して何かあったらどうするのだろう。
大いに疑問な県のQ&Aだ。
(ただし、国のQ&Aにもあるが、卵にかかわらず重度のアレルギー(アナフィラキシー反応既往)のある人は要相談、すなわち皮膚テストを行わなければ接種すべきではないので注意されたい。)
もう1点は妊娠している人・しそうな人への注意が県のQ&Aには一切ないことだ。
【国のQ&A】では、
「妊娠中に麻しんに罹ると流産や早産を起こす可能性があります…(中略)…などの注意が必要です。」
と、一般的注意がある上に、先天性風しん症候群との関連から、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)の接種上の注意として、
「ただし、MRワクチンは、風しんのワクチンも含まれていることから、妊娠している方は接種を避けることはもちろんのこと、妊娠されていない方は、接種後2か月程度の避妊が必要です。おなかの赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。また、麻しんの単独ワクチンの接種に当たっても、妊娠している方は接種を避けるなど同様の注意が必要です。」
と、実に親切だ。
要するに、決して県の見解だけに頼ってはいけないのである。
役所だからという理由だけで信用するという時代は終わっている。
自ら情報を集め判断するのが賢明だ。
【なお、県のQ&Aの筆頭責任部署は厚生部管理局企画監(企画・広報)054-221-2302である】