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一時期は、あっちこっちのの蛍スポットをめぐった。
ネットで、今日は、出る!みたいな予想を見たりして。
でも、いつもなんだか肩透かし。
期待が大きすぎるのかなあ。
で、ここ何年かは、蛍を追うのをやめてしまっていた。
今日、仕事から帰宅して、スーパーに行った帰りに、我が家の近くの神社の前を通ったら、奥に見える社の気配がただならなかった。
うーむ。
お参りするか。
と、思ったけど、もう暗くなるので臆された。
そこで、末っ子を誘ってみた。
神社の脇の湧水に蛍がいるかもしれないから、見にいこうよ。
と。
そしたら、末っ子は、宿題や明日の支度を終えた夕飯の後なら、と、一緒に来てくれた。
もう8時をまわっているので、暗い。
夜の神社にあんまり来たらいけないのかも、すみません。
と、いう気持ちになりながら、神様に手を合わせて、湧水のほうへ行ってみた。
そしたら、先客に小さな女の子と男の子とおばあさんがいた。
男の子がチカチカ懐中電灯をつけたり消したりするので、嫌だなあ、なんて思っていたら、
女の子が、あのう、すみません、手を出してください。
と言って、わたしの手に蛍を乗せてくれた。
わあ。
と、思って見上げると、あちらにもこちらにも蛍の光が点滅している。
なんにも下調べなしで来て、こんなにたくさんの蛍!!
おばあさんと男の子女の子としばらく蛍を見た。
おばあさんがもう帰るよ、と言うと、
男の子が蛍飼いたい。捕まえて帰りたい。
と、ただをこねだした。
おばあさんは、静かに強く、
ダメだよ。神様のものだから、連れては帰れないよ。
と、言った。
それで男の子は、納得したのが、蛍たちにバイバイと言ってるつもりみたいに懐中電灯をチカチカさせながら帰っていった。
後には、わたしと末っ子、二人。
静かで静かで、揺れる蛍の光が、ねっとりした6月の夜の闇を余計に濃くした。
ああ!人間以外のものがいっぱいいる!
神様のものだから、連れては帰れない、
けれど、闇の奥の生命の息、みたいなものをわたしたちも吸った。
都会の静電気の中で身を置いていると知らない間にかすれて弱ってしまう。
なにかを充電したような感じがした、夜の散歩である。