善光寺周辺で見つけた戦前築?と思われる洋風建築ですが、文献等未掲載のため竣工年など詳細はまったく不明です(戦前築というのはあくまでわたしの推測です)
■フォトスタジオアオキ~仁王門の東側にある旧理髪店
■信州里の菓工房長野仲見世店~戦前築の洋風建築の転用と思われます
■唐辛子で有名な八幡屋礒五郎本店の煉瓦蔵~奥に八幡屋礒五郎横町カフェの入り口があります
イギリス積みの赤煉瓦や金属製の扉はかなりの年代物(明治~大正期)とお見受けします
善光寺の参道から続く中央通りの西側の通り、西町交差点を南に入ったすぐのところに、なかなか良さげな洋風建築を偶然見つけました。通りに面したファサードだけが洋風の造りになった、いわゆる「看板建築」風の建物で、以前は商店として使われていたようです。2階部分の三連アーチ窓や、当時のままの木製玄関扉や窓枠、その上の狛犬の装飾など細部の見どころがいっぱいです。
善光寺界隈が近代化した大正末~昭和初頃に建てられた商店建築のひとつではないかと思われますが、観光客でにぎわう参道から一本入った裏通りで、ひっそりとたたずむその姿は誠に愛らしく、これからもずっとこのままで時を刻んでほしいものです。
■小さな商店建築ですが、細部意匠にこだわった造りは見どころ満載!
■木製のドア、ショーウィンドー、窓枠、照明など当時のままの姿なのが嬉しいところです
■縦長の窓の上部のアーチ部分はドイツ壁風
■玄関上部の木製の狛犬は見事な細工が施されています
信州大学長野キャンパスの向かい、406号線信大前交差点すぐに小さな煉瓦造の教会が建っています。建物は明治31年竣工の赤煉瓦造で、現在も美しいイギリス積みの外壁を見ることができます。尖頭アーチの玄関の上には大きな薔薇窓が設けられ、側壁と隅部にはバットレスをつけ、明治期によく建てらた西洋中世風のゴシック教会建築の様式を今もとどめています。
■長野聖救主教会/長野県長野市西長野6
竣工:明治31年(1898)
設計:J.G.ウォーラー
施工:不詳
構造:煉瓦造平屋建、鉄板葺
撮影:2017/11/26
※国登録有形文化財
藤屋旅館と同じく、善光寺前中央通りの拡幅に際して建設された建物。北西面の角を隅切りとしたファサードの上部をアーチ型に盛り上げ、当時流行のセセッション風の装飾を施しているのは、いかにも大正モダンなデザインです。
同時期に建てられた藤屋旅館と同様「鉄網コンクリート」構造の木造2階建で、外壁は洗出仕上げにして各所に幾何学模様の装飾を配しています。
■大正モダンなセセッションの流れを汲む細部意匠が見どころ
■中澤時計本店/長野県長野市大門町48-1
竣工:大正13年(1924)
設計:本田政蔵/長野市嘱託建築技師
施工:池田市郎/大工棟梁
構造:木造2階建
撮影:2017/11/26
※国登録有形文化財
大門交差点の角に建つ八十二銀行大門町支店は、戦前の近代建築と思いきや、大正時代に建てられた旧建物の外観をイメージ保存した現代建築です。善光寺参道の歴史的景観に配慮して、旧建物の外観を継承しつつ平成9年に建て替えられました。塔屋やセセッション風の装飾も忠実に再現されていて、他の近代建築とともに善光寺参道の景観保存に大きな役割を果たしています。
■八十二銀行大門町支店/長野県長野市大門町63-1
竣工:平成9年(1997)/旧建物(大正13年築)のイメージ保存
設計:清水建設/高橋俊太郎
施工:清水建設/清水組
撮影:2017/11/26
作家の池波正太郎が長野の定宿として愛した老舗旅館「五明館」の旧館の一部が、善光寺郵便局として保存活用されています。五明館は江戸時代から脇本陣を務めていた老舗で、1986年旅館休業後はレストランとして営業していました。そのレストランも2011年に閉店、残念ながら現在は善光寺郵便局の建物だけが、当時の面影を残すのみとなってしまいました。
■楽茶れんが館(旧信濃中牛馬合資会社社屋)の向かいにある、善光寺郵便局(旧五明館)の建物
■善光寺郵便局(旧五明館)/長野県長野市大門町515
竣工:昭和7年(1932)昭和62年改修、転用
構造:木造2階建
撮影:2017/11/26
旧藤屋旅館の並びに建つ小さな煉瓦造2階建の建物。もともとは明治末期に建てられた運送会社の社屋で、現在は喫茶・レストラン「楽茶れんが館」として再活用されています。切妻造の屋根にはドーマー窓がのり、ファサードの赤煉瓦に配した白い花崗岩が絶妙なアクセントになっています。
■歴史を刻んだ本物の近代建築で味わう珈琲は、一段と美味しく感じられそうです
■玄関脇には「登録有形文化財」のプレートがさりげなく貼られています
■楽茶れんが館(旧信濃中牛馬合資会社社屋)/長野県長野市大門町67-1
竣工:明治45年(1912)
設計:中沢与左衛門
施工:不詳
構造:煉瓦造2階一部平屋建
撮影:2017/11/26
※国登録有形文化財
善光寺参道の歴史的建造物のなかでも、ひときわ目を引く堂々たる西洋館があります。旧藤屋旅館の建物で、前身は北国街道の善光寺宿の本陣として300年の歴史を誇る老舗旅館でした。現存する建物は大正12年の道路拡幅に合わせて、アールデコ風の洋風建築に建て替えられたもの。外観は鉄筋コンクリート造にタイルを貼ったように見えますが、実際は木造モルタル部分をコンクリートにした「鉄網コンクリート」という大正期固有の技法を使っています。
現在は旅館業を休業、平成18年からレストラン・ウェディング業に特化した「THE FUJIYA GOHONJIN」に業態転換し、大正13年築の登録有形文化財の建物を活かして営業を続けています。
■アールデコ調の洋風ファサードの西洋館は、善光寺参道のランドマークとして抜群の存在感を誇ります
■THE FUJIYA GOHONJIN(藤屋後本陣)旧藤屋旅館/長野県長野市大門町82
竣工:大正13年(1924)
設計:藤井平五郎(自家)
施工:師田庄左衛門
構造:木造3階建
撮影:2017/11/26
※国登録有形文化財
久しぶりに長野の旧友を訪ねたついでに、善光寺にお詣りしました。参道には多くの商店や土産物屋が軒を連ねていますが、再生活用されたレトロな外観の戦前の近代建築がいたるところに残っていて、建築ファンの目を楽しませてくれます。
参道の善光寺交差点から大門の交差点までの短い間をちょっと歩いただけで、数件の洋館造りの近代建築を見つけることができました。
■善光寺参道~奥に仁王門があります(右手の大きな洋館は旧藤屋旅館)
■善光寺の信号の角にあるレトロな外観のワイン屋さん。
もとは大正12年築の洋品店ですが、木造ながら本格的な洋館造りの建物です。
大正期に流行ったセセッション風の外観がとても雰囲気があり、参道の伝統的景観に一役買っています。
■ファサード上部のレリーフが大正モダンな雰囲気を醸し出しています
■サンクゼールワイナリー門前店(旧深沢洋品店)/長野県長野市大門町84
竣工:大正12年(1923)
設計:店主
施工:神田政治(大工)
構造:木造3階建
撮影:2017/11/26