四日市港の古い倉庫や工場が建ち並ぶ一角にひっそりと戦前のビルが建っています。
屋上のオーダーをあしらった塔屋は国会議事堂を思わせるデザインで、壁面の表現主義風の装飾がモダンな雰囲気を感じさせます。
大正~昭和の近代建築には、現代建築にはない時代の刻印(影)みたいなものが色濃く残っていて、それが醸し出す独特の妖しさがじんわりと見るものに迫ってきます。
このビルの建つ空間だけが、現代と切り離された違う時間が流れているようで、時代の雰囲気を残す建物です。
◆国際資源活用協会(旧熊沢ビル)/三重県四日市市末広町2-2
竣工:大正3年(1914)
構造:RC2階建
撮影:2013/05/04
■建物は三叉路の角に立地しており、玄関は東側の道路に面している
■西側道路に面した建物裏側
■三叉路の角にある塔屋~スリット状の柱と幾何学的な装飾が見るものに強い印象を与えます
ゴールデンウイークの港の倉庫街は静けさに包まれ、ゆっくりと時間が流れていました。
人通りのない港町の昼下がり、のんびりと自転車を漕いで再び四日市駅方面へ向かいました。