名古屋駅から金山方面に向かう列車(東海道本線・中央線・新幹線・名鉄)に乗ると、発車して程なく左手(東側)に中世ヨーロッパの城を思わせるクラッシクな2対4基の尖塔が見えてきます。
この4基の塔は中川運河と堀川をつなぐ水門の役割を果たしている松重閘門の塔で、昭和5年(1930)に竣工しました。この閘門で中川運河と堀川の水位差を調整し、船を航行させる役割を長年果たして来ましたが、輸送手段が水運から自動車輸送に移行し、昭和51年その役目を終えました。
その後は取り壊される予定でしたが、地元住民の反対で保存されることになり、現在は名古屋市の都市景観重要建築物に指定され、周囲は「松重閘門公園」として整備されています。
水運に取って代わったモータリゼーションの象徴である高速道路が、4基の塔を分断し当時の景観を損なうことになったのは残念ですが、都市の歴史を語るランドマークとして、このままいつまでも変わらずにいて欲しい昭和の風景です。
◆中川運河松重閘門・ポンプ室/名古屋市中川区山王1丁目~松重町
竣工:昭和5年(1930)
設計:市建築課(藤井信武)
構造:RC造
・名古屋市都市景観重要建築物
松重閘門・松重ポンプ所全景(中川運河側)2007/10/07
堀川運河側尖塔~奥には高速道路で分断されたの2基の塔が(2010/05/05)
2基の塔には門の鉄扉を上下させるための錘を収納(2010/03/14)
クラッシクな塔を当時流行の表現主義風にアレンジしたデザイン~最上階は展望室(2010/03/14)
中川運河側尖塔~最近お色直しをされたようで外壁はピカピカです(2010/03/14)
塔の下は公園になっています(2010/03/14)
松重ポンプ所玄関(2010/03/14)
中川運河・西日置橋から望む(2007/10/07)