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素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

毎日新聞『時代の風』

2024年12月17日 | 日記
 毎日新聞で毎週日曜日に掲載される『時代の風』は、各界の文化人がそれぞれの視点で混迷する時代を読み解いていて面白い。7人の方が執筆されている中でも、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんは待ち遠しい。だいたい1~2ヶ月に1回である。

 前回は、10月27日(日)。《投票日の朝に 「取られ放題」でいいの?』》というタイトルのコラムは
『 今日は、衆院選の投票日だ。

  だが、結果がどう出て、明日から政治がどうなっていくのか、今の筆者には見当もつかない。去る自民党総裁選でも、党員投票と決選投票の結果を、セットで当てた人は少なかっただろう。

 「一寸先は闇」なのは、来月の米大統領選も同じだ。「自分の1票なんて無力」と自虐する無党派層がキャスチングボートを握っている。』
という書き出しだった。それから1ヶ月余りの間にあった米大統領選、兵庫県知事選と世間の関心が集まった選挙の結果を見て、藻谷さんはどう論評するだろうか?と思ってきた。

 今月の15日(日)の「時代の風」に、やっと藻谷さんが登場した。舞台なら「待ってました!」と声を掛けるところだ。期待通り、兵庫県知事選、米大統領選の結果から考えたことを書かれていた。その中で
 
 「人間は生物の中で唯一、言語を通じて集団で虚構(=ものの見方)を共有する能力を有している」というヘブライ大学教授のユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書の冒頭部分で述べたテーゼを紹介し、人は「皆が口にしていることを自分も信じる」という習性を、本来的に持っている。という指摘には共感した。

 「前世紀前半には、大音量で大人数に呼びかけるラジオの登場が、集団による虚構の共有に前代未聞の性能を発揮し、第二次大戦における国民総動員を可能にした。テレビの時代を経て、21世紀にその神通力を受け継いだのがネットだ。行き交うコメントの嵐の中で形成された相場観は、真偽を問わず、驚くべき速度で莫大な数の人々に信じ込まれる。
 そんな中で米国ではトランプ氏、日本でも都知事選の石丸伸二氏や今回の立花氏が「数人に1人の信じやすい人を選挙に動員するのに、ネットほど有用な手段はない」ということを証明してしまった。自己顕示欲と扇動を生きがいとするタイプの人物にとっては胸躍る時代だが、その他大勢にとっては、とんと先行きが暗くなった感がある。」


 そのことを踏まえた上で藻谷氏は、「正解」とされるものの丸暗記をやめ、「正解のない問い」に対し、少しでも蓋然性の高い解答を推論する練習をしなくてはいけない。と指摘する。肝に銘じておきたい。

 「時代の風」に寄稿した2016年5月8日から2024年6月2日までの67回分をまとめた著書『誰も言わない日本の「実力」』(毎日新聞出版)はひと通り読み終わったので、年末年始には「宙わたる教室」(伊予原新著・文藝春秋)に加えて今日届いた藻谷さんと養老孟司さんの対談本を読むことにした。
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