机の上に1冊の冊子があります。既に廃版となった古い本です。
表題は『尾瀬の草花』。副題には「尾瀬への誘い ポケット図鑑」とあります。
監修は伊東良朗さん。小冊子には伊東さんの略歴がなく、どのような方なのか分かりません。
1999年4月1日発行で、スズキ教育ソフト株式会社が発行しています。
今回は、この冊子に記載の順に、私が観た草花をご覧いただきたいと思います。
なお小冊子には草本以外の花(ミネザクラなど)も載っていますが、このブログ記事では草本のみを記載します。
■ フキ(キク科フキ属の多年草)
何故だか分かりませんが、『尾瀬の草花』で真っ先に登場するのはフキです。
写真は見晴のテント場で撮影しました。見晴は標高が1415m(見晴十字路)で、テント場はそれより5mほど高いところにあります。
我が家の庭で3月下旬に観られるフキの花が、尾瀬ではこの時期に咲きます。
■ ニリンソウ(キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
見晴から元湯山荘、温泉小屋へ向かう途中で見かけました。
今回ニリンソウを観たのはここだけでした。
『尾瀬の草花』には、山ノ鼻、三平下、御池の名前があります。
■ リュウキンカ(キンポウゲ科リュウキンカ属の多年草)
リュウキンカは、ミズバショウと共に、この時期の尾瀬を代表する花です。尾瀬ヶ原の各地で観られました。
この花やミズバショウは、流水の栄養分の多いところに生育するようです。
■ ミズバショウ(サトイモ科ミズバショウ属の多年草)
ご存知のお花です。
尾瀬では栄養分のある川沿いや流水のあるところでのみ生育しています。高層湿原の中では生育できません。
ここで高層湿原についておさらいしておきましょう。
高層湿原とは、気温が低く微生物によるミズゴケなどの分解が制限され、生じた泥炭が多量に蓄積されて、周囲よりも高くなった湿原をいいます。
周囲より高いため、地下水では涵養されず、雨水のみで維持されている貧栄養な湿原です(水は流れ出る一方で、入っては来ない)。
この湿原は、1年間に1mm弱しか堆積しないそうです。もし人が靴で踏みつけて2cmへこむと、回復するまでに20年以上かかるということです。
尾瀬ではかつてアヤメ平が人に踏みつけられて破壊されました。そのようなことが再びないように、木道が整備されています。
■ ショウジョウバカマ(シュロウソウ科ショウジョウバカマ属の多年草)
尾瀬ヶ原の各地で観られました。
まだ他の植物が芽吹いていない枯草の中から、ピンクの花がすくっと出ているので、遠くからでもよく目立ちました。
また、今回観た花はピンク色が多く、下の写真のような紅紫色の花は少数でした。
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オオタチツボスミレ オオバタチツボスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)
写真を拡大して観たところ、側弁に小さな毛があることからオオバタチツボスミレのようです。
上の写真は見晴で、下の写真は鳩待峠から山ノ鼻に向かう途中で撮りました。
■ ワタスゲ(カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草)
ワタスゲの白い果穂はご存知でも、花はご存知ない方が多いようです。『尾瀬の草花』でも綿毛の写真だけが載っています。
目立たない花ですが、木道沿いにたくさん咲いていました。『尾瀬の草花』でも尾瀬のいたるところの湿原で観られると書いています。
ご存知の果穂はこちらです(2018/07/19尾瀬沼で撮影)。
■ オオバキスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)
この花も『尾瀬の草花』に載っていた写真と撮影場所が近いところで観たので、名前を記載しました。
側弁の内側に毛があるそうですが、そこまで観察しませんでした。
山ノ鼻から川上川沿いに鳩待峠へ向かう、木道脇で見かけました。
■ コミヤマカタバミ(カタバミ科カタバミ属の多年草)
まだ花が開いていませんが、葉の形と花の色、大きさからコミヤマカタバミとしました。
葉は睡眠運動をし、夜は小葉が閉じるそうです。
鳩待峠と山ノ鼻の間の、木道脇で見かけました。
■ ヒメイチゲ(キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
この花は『尾瀬の草花』には載っていません。
ニリンソウ同様、見晴から元湯山荘、温泉小屋へ向かう途中で見かけました。
これでこの時期に尾瀬ヶ原で観た草花のご報告は終わりです。
もう2週間もすると、お花の種類がかなり増えると思います。
その頃に、三条の滝へ再挑戦したいと思いますので、お花についてもご報告したいと思います。
ご覧いただき、ありがとうございました。