9月4、5日に八ヶ岳の赤岳(標高2899m、日本百名山)に行ってきました。
一昨年は雪のため、昨年は雨で撤退したので、3年越しのチャレンジとなりました。とても楽しく、和やかな山登りでした。
(お花の写真は最後にまとめて載せていますので、よろしくお願いします。)
自宅を3日の夜に出発し、山梨県の道の駅はくしゅうで朝を迎えました。目覚めると甲斐駒ヶ岳が目の前にドーン。一方、八ヶ岳方面は霧に覆われていました。
地元のスーパーが開くのを待って、パンなどの食料を買い、登山口の美濃戸口に向かいます。
八ヶ岳を隠していた霧は陽が差すと消え、晴れてきました。しかし、山の天気は気まぐれです。
11時に美濃戸口にある八ヶ岳山荘で仲間と待ち合わせですが、1時間前に到着し、早めの昼食を摂りました。
今回の仲間は、私の山の師匠のS氏と彼の奥さま。師匠は大学山岳部出身、ヒマラヤ未踏峰も経験したクライマーで、かつての私の仕事仲間。奥さまも学生時代からの山ガール。私とは旧知の仲です。
2人が30分遅れで到着し、私の荷物を少し分担してもらい、12時に出発。S氏は昼食を摂っていなかったので、私と奥さまが先に歩き出し、S氏には後から追いかけてもらうことにしました。
歩き出して30分ほどで雨が降り出しました。サッとレインウエアを着用し、静かな森の道を歩きます。幸い雨はずっと小雨のままで、小鳥の鳴き声も聞こえます。
12時55分に美濃戸山荘(コロナ禍のため休業中)に到着。ここでS氏を待ちます。ありがたいことに雨が上がりました。
20分ほど待ってS氏が到着。私を先頭に、この日宿泊する行者小屋(テント泊)を目指して、南沢を歩きます。
(雨でカメラのレンズが汚れたまま、写真を撮ってしまいました。)
この道は昨年も歩いたので、覚えていたつもりですが、かなりきつかったです。美濃戸口からの標高差は850m、主に沢沿いの道ですが、途中何度が沢を離れて斜面を登ったり、沢では大きな岩が散在する河原を歩きます。後半、傾斜が緩くなった辺りの、苔むしたシラビソの森は絶景です。
分担してもらい1kg減量したものの、それでも18kgのザックが応えて、休憩を予定より多く取り、行者小屋には当初予定より1時間余り遅れて到着しました。
早速テントを張り、食事を準備。この日の夕食は、つぶ貝のアヒージョをメインに、タイ式チキンカレー2種、フランスパン、マクワウリのピクルス、赤ワイン、デザートは白桃とネクタリン、コーヒー/紅茶。
赤岳に夕日が当たり赤く染まる光景は観られませんでしたが、静かなテント場でまったりした時間を過ごせました。
翌日は5時前に起床。5時12分、食事の準備が完了。メニューは五目ごはん、豆腐とわかめの味噌汁、ウズラの卵と豚の角煮、お漬物にお茶。
早朝のテント場は山陰になり陽が当たりませんが、阿弥陀岳の西に沈もうとする満月を眺めながらの朝食でした。
赤岳から北に続く稜線上に雲はありません。絶好の登山日和です。この天候が一日持ってくれることを祈りますが、天気予報では午後3時からは雨になっており、早めの出発を目指します。
ちなみに上の写真の赤と緑のテントはよそ様のものです。私たちのテントは下の青い2張り。今回は2張りを私が担いできました(帰りはS氏が半分持ってくれました)。
そのテントはそのままにして、最少限の荷物だけをサブザックに詰めて赤岳へ向かいました。
さて、いよいよ赤岳登山の開始です。6時18分、テント場を出発します。
地蔵尾根の取りつきはシラビソの森をしばらく歩きます。森を抜けると石段や階段が続きます。
S氏は淡々と坂を登っていきます。前方に階段が見えます。
標高を上げていくと森を抜け、下の風景が見えてきます。茅野市の街並みや御嶽山、乗鞍岳、穂高連峰、槍ヶ岳などの山々が一望できます。
眼を右に向けると、剱岳、立山の立山連峰、白馬岳を始めとする後立山連峰もよく見えます。
御嶽山のアップです。山頂の左に見えるのは噴煙のようです。
こちらは乗鞍岳のアップです。
こちらは穂高連峰、槍ヶ岳のアップです。
崩れやすい岩なので、慎重に登っていきます。ここを下りに使うのはちょっと嫌ですね。
岩場を登っていくと、お地蔵さんが現れました。とてもにこやかなお顔をされています。
岩場を登っていくS氏の奥さま。
やがて赤岳が見えてきました。山頂に続く道がはっきり見えます。
そして稜線まであと僅かです。稜線の向こうから太陽の光が差し込みます(カメラの性能の問題で、ゴーストが出ています)。
着きました。地蔵の頭(標高2720m)です。行者小屋からのんびり登ってきて、1時間10分かかりました。
左に写っているピークは、横岳に続くピークの一つで、二十三夜峰だと思います。この不思議な名前の由来は月齢に由来していて、月待信仰の信者が、二十三夜塔・石碑(月待塔)をここに建立したようです。
さて、地蔵の頭からは富士山の全景がきれいに見えました。しかし、5分ほど先の赤岳展望荘まで行ったら、すっかり雲に隠れて見えなくなっていました。山の天気は変わり易いものです。
赤岳山頂にも雲がかかり出しました。何とか登頂するまで、お天気が持ってくれるといいのですが。
赤岳展望荘に着きました。直前にコマクサとウメバチソウが咲いていました。チングルマは綿毛でした。
ここからの眺めは絶景です。左の阿弥陀岳から右の横岳まで、八ヶ岳の核心部が一望できます。
展望荘から観た赤岳です。これから主稜線を登っていきます。ガレ場には鎖が付いていますが。下りの登山者に譲り、極力使わずに登りました。
振り返って見る展望荘と主稜線の岩稜です。東側はすっかりガスに覆われました。
山頂直下から下界を眺めます。先ほどまで霧がかかっていた諏訪湖もはっきり見えるようになりました。
8時30分、赤岳登頂です。
ここから先、あまりの感動に写真を撮り忘れました(お花の写真だけは、しっかり撮っています。)
赤岳から西に向かって急な岩場を下ります。核心部を過ぎてから撮った写真がこちらです。正面に阿弥陀岳が写っています。
ガレた道が続きますが、文三郎尾根に入ると歩きやすくなりました。
登山道脇にトウヤクリンドウがたくさん咲いていました。お花の写真を撮りながら、ゆっくり下山します。
10時30分、無事に行者小屋に着くと、先に下りたS氏がテント2張りを撤収してくれていました。
ここからしばらく、写真がありません。
お昼ご飯をしっかり食べて、11時30分に行者小屋を後にしました。
帰路は赤岳鉱泉を通って、北沢から美濃戸小屋へ向かいます。途中で12時50分ごろに激しい雷雨に遭いました。雨が降り出す前に休憩地で撮ったのがこの1枚。これが最後の写真です。
雨が降り出した際、二人がレインウエアを着る素早さには驚きました。流石ベテランです。
雨中の長い道を歩き、美濃戸山荘に13時20分に到着、雨が上がったのでレインウエアを脱ぎ20分休憩し、再び歩いて14時30分に美濃戸口(八ヶ岳山荘)に到着しました。
かなり歩き応えがある2日間でしたが、とても楽しい山行になりました。
さて、お待ちかねのお花の写真です。
■ トリカブト(キンポウゲ科の多年草)の仲間。
トリカブトの仲間は、標高1500~2300mの広い範囲で観られました。この写真は北沢上部の標高2200m付近で撮りました。
八ヶ岳ではホソバトリカブトが多いようですが、キタザワブシとの雑種も観られるようです。
■ コマクサ(ケシ科コマクサ属)。
標高2700mの赤岳展望荘近くのガレ場で観ました。
■ ウメバチソウ(ニシキギ科ウメバチソウ属)。
標高2700mの赤岳展望荘近くのガレ場で、コマクサと並んで咲いていました。
■ イワベンケイ(ベンケイソウ科イワベンケイ属)。
赤岳山頂で観ました。花序が色づいてとてもきれいでした。
■ ミネウスユキソウ(キク科ウスユキソウ属)。
赤岳から西へ少し下りた岩場で観ました。
■ ミヤマツメクサ(ナデシコ科タカネツメクサ属)。
赤岳から西へ少し下りた岩場で観ました。花期は7~8月で、既にお花は終わりかけでした。
■ チシマギキョウ(キキョウ科ホタルブクロ属)。
赤岳から西へ少し下りた岩場で観ました。
■ イワウメ(イワウメ科イワウメ属)の蒴果。
既に花が終わり子房が膨らんできています。密集した小さな葉に特徴があります。
モウズイカさんに教えていただきました。
■ トウヤクリンドウ(リンドウ科リンドウ属)。
文三郎尾根でたくさん観ました。開いていた花は僅かでした。
■ シラネニンジン(セリ科シラネニンジン属)。
赤岳鉱泉付近(標高2350m)で観ました。
■ オンタデ(タデ科オンタデ属)。
赤岳鉱泉付近(標高2300m)に群生していました。
■ アザミ(キク科アザミ属)の仲間。
下を向いて花をつけるアザミです。赤岳鉱泉付近(標高2300m)に群生していました。
八ヶ岳にはヤツタカネアザミという固有種があります。写真では葉(別の写真)や花がよく似て見えます。
■ アキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)。
標高1500m付近、八ヶ岳山荘の近くで観ました。
■ キオン(キク科キオン属)。
標高1500m付近、八ヶ岳山荘の近くで観ました。
写真はこれでお仕舞いです。
八ヶ岳山荘でコーヒーを飲んで、近くのもみの湯に浸かり帰宅しました。
中央高速で激しい雷雨に遭い、ノロノロ運転を余儀なくされましたが、その後は渋滞もなく無事に帰宅しました。
今回も、無事に楽しく遊ばせていただき、感謝しています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。