shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑦(トムラウシ山南沼→トムラウシ温泉)

2024-07-31 05:00:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走の最終日はトムラウシ山南沼にあるキャンプ指定地からトムラウシ温泉までの10.8kmである。その間のほとんどが下りで、下りの累積標高差が1500mを越えた。登りより下りが苦手な身にとっては、きつい行程だった。

目覚めたときキャンプ場は一面にガスがかかっていた。晴れていれば暗いうちにご来光を観に山頂へ登ることもできたが、山頂は雲の中だった。
正直疲れていたので、登らなくても良かったのは正解だったかもしれない。

朝食・トイレ・撤収を済ませて、キャンプ場を5時13分に出発した。
 

南沼のキャンプ場からしばらくの間はだらだらとした下りが続いた。お花は既に見慣れたものばかりだった。

・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)の葉が鮮やかだった。


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)はここでも群落が観られた。


・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


この縦走で初めて観た綿毛のチングルマ。
 

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)とエゾコザクラ


・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)


お花の写真を撮っていたので、後から来た人に先に行ってもらった。この日は皆がザックにレインカバーをつけていた。


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


岩と池塘と残雪が入り交じった窪地が現れた。トムラウシ公園にさしかかったようだ。先ほどの黄色いレインカバーがもうあんな先へ行っていた。


・エゾノツガザクラ


・エゾコザクラ




・ウラジロナナカマド


・ミヤマバイケイソウ(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)の群落




大きな岩を過ぎたところに「トムラウシ公園」の標柱が立っていた。
 

公園内には奇岩が多い。
 

振り返って見たトムラウシ公園には、日本庭園的面影があった。


トムラウシ公園を過ぎるとかなりの登り返しとなった。そしてガスが晴れてきた。
 

・タカネオミナエシ(別名チシマキンレイカ;高嶺女郎花、Patrinia sibirica、スイカズラ科オミナエシ属の多年草)


・イワブクロ


歩きやすい道ばかりでなく、岩場も多かった。
 

そして岩ゴロゴロの道を下り終えるとトム平に着いた。




トム平付近ではこれまでと違う植物も観られた。

・チシマギキョウ(千島桔梗、Campanula chamissonis、キキョウ科ホタルブクロ属の多年草)




・エゾツツジ(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


標高1600m地点で大きな岩が連なる所をトラバースし、谷筋に出た。
 

そこを少し下った所に標柱があった。ここからは沢沿いに下っていく。雪渓を歩けるかと期待していたが、雪はほぼ解けていて歩ける状態ではなかった。
 

沢沿いに下っていくと、まもなくコマドリ沢分岐に着いた。沢を渡ったところに標柱があった。ここで水を補給した。
 

コマドリ沢分岐の手前で観たエゾコザクラが、今回の山行でのこの花の見納めとなった。


そしてここから先に観られた花は、高山帯で観られる花から亜高山帯そして山地帯で観られる花に、徐々に変わっていったのが寂しかった。

・オオバミゾホオズキ(大葉溝酸漿、Mimulus sessilifolius、ハエドクソウ科ミゾホオズキ属の多年草)
日本では本州の中部以北の日本海側、北海道に分布し、高山で沢沿いや湿地などの水気のある場所に群生する。


・カラマツソウ(落葉松草、唐松草、Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium、キンポウゲ科カラマツソウ属の多年草)


・オガラバナ(麻幹花、Acer ukurunduense、ムクロジ科カエデ属の落葉小高木)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・ミヤマリンドウ(深山竜胆、Gentiana nipponica、リンドウ科リンドウ属の多年草)


・ハナニガナ(花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)


・ハイオトギリ (這弟切、Hypericum kamtschaticum、オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草)
北海道、本州(中部地方以北)の亜高山帯から高山帯の岩礫地や草地などに生育する。


・ハクサンシャクナゲ(白山石楠花、Rhododendron brachycarpum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)


心配していた右足親指付け根の痛みが出てきた。カムイ天上に着いたら治療しようと頑張って歩いたが長かった。
9時43分にカムイ天上に着いた。靴を脱ぎ痛む部分に痛み止めのテープ(経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤)を貼った。それでも痛むので痛み止めの錠剤を飲んだ。


痛みが何とか治まったので、その後も長い道のりだったが普通に歩けた。10時50分にトムラウシ短縮コース登山口との分岐まで来た。残りは3.9kmで最後に急な傾斜があるが、それまでは緩やかな下りだ。


森の中の道は歩いていて気持ちが良かった。足の痛みもその後は治まってくれていた。


12時33分、無事にトムラウシ温泉登山口に下山した。


4日目に歩いた距離は10.8km、累積標高差は登りが219m・下りが1542mで、歩行時間は途中休憩(32分)を含めて7時間20分だった。
そして4日間を合計すると、歩いた距離は44.7km、累積標高差は登りが2516m・下りが3481mとなった。

憧れていた表大雪の縦走が果たせた。憧れが目標となり、それが果たせた喜びは大きい。今年はまだ行けるが来年は無理だろうと思っていた。しかし実際に歩いてみると、まだ数年は大丈夫なように思う。但し足の痛みはしっかりと治療しなければいけない。専門医に診てもらおうと思った。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 (完)
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)

2024-07-30 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


テントの設営を終え一休みした後、最少限の荷物を持ってトムラウシ山(標高2141m)の山頂に向かった。野営場から山頂まではコースタイムが30分の距離だ。
その間ずっと岩と砂礫の連続で、所々で岩陰や斜面にミヤマオグルマやチングルマが咲いていた。
 

山頂直下まで登っても山頂は見えない。最後は空が広がってきて、そこを登りきると山頂だった。
 

12時3分にトムラウシ山の山頂に立った。山頂はせいぜい六畳ほどの広さだが平らなところはなく、岩棚に数組のグループが分かれて座っていた。


山頂から四方の山々がよく見えた。
先ずは北の方角に目をやると、旭岳(標高2291m)、北鎮岳(同2244m)、白雲岳(同2230m)が見えた。


左の高い山が旭岳、右奥の尖った山が北鎮岳だ。北鎮岳は大雪山系で旭岳に次ぐ高さがある。


続いて南西に目をやると十勝岳連峰が見えた。


手前の富士山型の山がオプタテシケ山(標高2013m)、その左に見える2つの峰が(左から)十勝岳(同2077m)と美瑛岳(同2052m)だ。十勝岳には5年前に登頂した。


十勝岳連峰の南端に聳える円錐形の山は、下ホロカメットク山(標高1668m)だ。


山頂に15分ほどいて、最後にもう一度標柱を写して下山した。それにしても4日間の縦走の中でもっとも好天に恵まれたのがトムラウシ山とは、無上の幸運であった。


それでは南沼周辺で観たお花をご覧いただきたい。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)




・エゾヒメクワガタ(蝦夷姫鍬形、Veronica stelleri var. longistyla、クワガタソウ属の多年草)


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)


・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花、Ranunculus acris var. nipponicus、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)


・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)


・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)






・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
合弁花であるが、平開する花冠が直径1.5cmと小さい上に5中裂するため、花弁が5枚あるように見える。




・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)


・ミヤマバイケイソウ(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)


・コガネイチゴ(黄金苺、Rubus pedatus、バラ科キイチゴ属の落葉低木)
日本では、北海道、本州(東北地方、関東地方北部、中部地方中部以北)の各山地に分布する。亜高山帯から高山帯にかけてのハイマツなどの林下や林縁の半日陰地に生育する。


3日目に歩いた距離は6.4km、累積標高差は登りが608m・下りが332mで、歩行時間は途中休憩(1時間39分)を含めて7時間24分だった。

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑦(トムラウシ山南沼→トムラウシ温泉)に続く。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)

2024-07-29 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走3日目は、ヒサゴ沼避難小屋を出発し、トムラウシ山の北沼を経由し南沼に行き、そこにテントを張った後、最少限の荷物でトムラウシ山に登頂した。距離は6.4kmで、4日間の中で一番短かった。

今回の縦走では夕食にアルファ米のご飯とレトルト食品を中心としたおかず、朝食にはカップ麺を食べるのが日課だった。昼食はカップ麺とミックスナッツやドライフルーツ等の行動食で済ましていた。
アルコール類は一切摂らず、野菜が不足する分はビタミン剤を服用していた。4日間だけのことなので、栄養より重量を重視した。

朝食とトイレを済ませテントを撤収し、ヒサゴ沼避難小屋キャンプ指定地を後にしたのは5時43分だった。私より早く出発した何組かのパーティーは、トムラウシ山に登ってその日に下山するようだった。

ヒサゴ沼からトムラウシ山へ向かうには、先ず沼の北岸を西に進む。そして目の前の雪渓を登っていく。
 

沼の岸は雪渓から流れ出た水が作る湿地となっていて、たくさんの高山植物が咲いていた。

・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
サクラソウ属の花には通常、雌しべが長く雄しべが短いタイプと、その逆に雌しべが短く雄しべが長いタイプの2種類がある。そして同じタイプの花同士では受粉が成立しない仕組みになっている(異形花柱性)。この株は雌しべが長い。


一方、前日観た株は雄しべが長かった。


・エゾウサギギク(蝦夷兎菊、Arnica unalaschcensis var. unalaschcensis、キク科ウサギギク属の多年草)
北海道・本州(東北地方)、千島・アリューシャンに分布する。高山帯の草地や砂礫地などに生え、茎の高さは10~30cmで全体に白い軟毛がある。茎先に、直径4~5cmの黄色の頭花を1個つける。頭花の中心部は筒状花、周辺は舌状花となり筒状花の筒部には毛がない。






・イワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)
南千島と日本の北海道、本州の中部以北に分布し、多雪地の亜高山から高山にかけての湿原などに自生する。


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
葉はふつう4枚輪生し、羽状に裂ける。花は上部に数段つき、花冠が大きく曲がる。


雪渓はかなりの傾斜があったので、アイゼンを着用した。
 

雪渓を登っていくと眼下にヒサゴ沼が見えてきた。アイゼンのお陰で雪渓を自由に歩けたので、様々な角度からヒサゴ沼を観られた。


ヒサゴ沼は双子の沼で、その真ん中付近にキャンプ指定地が見えた。


雪渓が終わると少しの間草地となった。


そしてその後に大きな岩が重なっていた。重い荷物を担いで岩の上を歩くのは苦手である。慎重に歩いた。


岩場が終わった所で五色岳からの道と合流した。付近にツアーの団体が休んでいた(右の写真は反対方向から見ている)。
 

・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


ここから先は『日本庭園』と呼ばれるところへ入っていく。遠くに霧がかかっていて幻想的だった。










・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)
花のように見える白い部分は装飾花で、1個の花序が1つの花のように見える。花は小さく、20~30個が集まって4枚の総苞片の中央につく。


ヒサゴ沼を見下ろせる岩場でしばし休憩した。キャンプ指定地にテントがもう見えなくなっていた。


7時23分に天沼に到着した。ここの景色は本当に素晴しい。たくさん写真を撮った。
 

 

 

 





・イワイチョウ




天沼を過ぎたところで大きな岩の上で休憩した。その後はロックガーデンである。
 

そして2000m台地に向けて登っていく。
 

台地上から振り返って観た景色が素晴しかった。


そして台地の先にトムラウシ山と北沼が待っていた。




北沼から直接トムラウシ山へ登ることもできるが、当初の計画通り先ずは南沼まで行ってテントを張り、そこから最少限の荷物を持ってトムラウシ山を目指すことにした。
その前にここで水を2.5L補給した(結果的に南沼でもきれいな水が得られたので、ここで汲む必要はなかった)。


標柱から右に進み南沼へ向かった。


・エゾコザクラ


9時47分、南沼へ向かう途中で北沼の湖畔で休憩し昼食を摂った。カップ麺はスープも残さず食べて、さらにお湯を注いでそれも飲むので山には迷惑を掛けない。カロリーと水分を同時に取れる理想的な食事だ。


障害物(?)を除けてのショット。最高の天気に恵まれ空も雪も水もがまぶしかった。


そして、座っていた背後はお花畑だった。まさに天国での最高の昼食だった。


ゆっくり休み元気いっぱいになったところで南沼へ向かう。


南沼が見えてきた。途中にもお花がたくさん観られた。その中で面白い花を見つけた。


・コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜、Phyllodoce caerulea f. yezoensis、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
コエゾツガザクラはエゾノツガザクラとアオノツガザクラの雑種で、原種のエゾノツガザクラと比べると花色が薄く花の形は球形に近い。これまで観てきたエゾノツガザクラは、ほとんどが雑種(コエゾツガザクラ)のようだった。


・ニシキツガザクラ(錦栂桜、Phyllodoce caerulea f. marmorata、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
ニシキツガザクラはコエゾツガザクラとアオノツガザクラが交配したもので、花色は様々である。この個体は黄色である。


これまで雑種については記載せず、特徴が近い原種名を書いてきたが、南沼で雑種の特徴が色濃い花を観たのであえて記載した。
その他の植物については続報でご覧いただくことにしたい。

さて、南沼のキャンプ指定地に10時30分に到着した。途中で昼食を摂ったので計画より30分遅れた。それでもテント場は閑散としていて好きなところにテントを張れた(写真は設営途中に撮影)。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑥(トムラウシ山登頂と南沼の高山植物)に続く。
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)

2024-07-28 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


忠別岳(標高1963m)の山頂には4、5人が休んでいた。私もここでザックを下ろした。
山頂から南西の方向に化雲岳(標高1955m)を中心とした山並みが見えたが、トムラウシ山は見えなかった。東の方向には東大雪の石狩岳(標高1967m)らしい山が見えた。北側は霧に被われていた。

五色岳に向かって歩き出すとすぐに草原となり、チングルマなどの花々が咲き乱れていた。


キク科の特徴がある植物を観た。茎や葉に毛が生えていて、葉は葉柄がなく茎から直接出ている。葉の鋸歯は鋭い。これまで観たことがなかったので教えてgooに訊ねた。
・ミヤマオグルマ(深山小車、Tephroseris kawakamii、キク科オカオグルマ属の多年草)
日本では北海道の利尻山、ポロヌプリ山、斜里岳、大雪山、夕張岳、暑寒別岳、ホロホロ山に分布する。高山帯の砂礫地や草地などに生育する。


坂を下っていくと雪渓の左に三角屋根の忠別岳避難小屋が見えてきた。


さらに下ると忠別岳の雄姿を見返すことができた。


その先には、先ほど観たキク科の花(ミヤマオグルマ)が群生していた。


さらにその先で、座りやすそうな岩があったので、先ほど休んだばかりだが休憩した。そこから観た忠別岳も見事だった。
休んでいたら昨日一緒だった二人組が追いついてこられて、その先の化雲岳分岐まで一緒に歩いた。


・ミヤマリンドウ(深山竜胆、Gentiana nipponica、リンドウ科リンドウ属の多年草)
北海道、本州の中部以北に分布し、高山帯の湿原や湿り気のある場所に自生する。


忠別岳を下り終えると五色岳に向けての登りとなった。ゆっくりのペースで登った。

・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)
日本では北海道、本州、四国に分布し、亜高山の草地、半陰地、林縁に自生する。


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


12時47分に五色岳(標高1868m)に到着した。ここでも休憩した。計画より13分早いが、だいぶん時間差の余裕がなくなった。
五色岳山頂からトムラウシ山を見たところ、霧に被われていて見えなかった。しかし休憩している間に一瞬だけ霧が晴れてトムラウシ山を見ることができた。今回の山行で初めてトムラウシ山が見えた。


五色岳の山頂で道が二つに岐かれている。右へ進むとトムラウシ山へ、左は石狩岳だ。13時6分、トムラウシ山方面へ向かって出発した。


化雲岳分岐の手前で草原から湿原となり、いっきに草花の種類が増えてきた。

・ミヤマオグルマ


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)

・エゾヒメクワガタ(蝦夷姫鍬形、Veronica stelleri var. longistyla、クワガタソウ属の多年草)
日本では北海道のみに分布し、亜高山帯から高山帯の砂礫地や草地に生える。高さは15cmほど。花期は7~8月。1cmほどで青紫色の花冠が深く4裂した花を咲かせる。




・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
この花は雌性先熟で、中央の花が雄性期、右の花が雌性期のように見えた。


・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花、Ranunculus acris var. nipponicus、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草)


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)






・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)とエゾコザクラ


・ミヤマキンバイ(深山金梅、Potentilla matsumurae、バラ科キジムシロ属の多年草)








・ホソバウルップソウ(細葉得撫草、Lagotis yesoensis、オオバコ科ウルップソウ属の多年草)




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)


・ミヤマリンドウ


14時5分に化雲岳分岐に着いた。ここでヒサゴ沼へ直接向かう二人組と分かれて、化雲岳へ向かった。


化雲岳の東斜面にはチングルマの大群落が観られた。


もうすぐ山頂だが・・


左を向くとチングルマの大群落がまだ続いている。


ゆっくり登って14時27分に化雲岳(標高1955m)の山頂に着いた。化雲岳の山頂には数分いただけで宿泊地のヒサゴ沼へ向かった。
五色岳から直接来る道と合流すると、ヒサゴ沼へはしばらくの間木道を歩く。




快適な道のはずだが、途中で足の親指の付け根が痛くなり、靴を脱いで休んだ。


雪渓の先にヒサゴ沼が見えてきた。


この沼の東側に避難小屋とキャンプ指定地がある。


池を目の前にして、この日初めてパノラマ写真も撮ってみた。


足の痛みをこらえながら、15時37分に野営場に到着した。計画より53分早かった。
野営場に着くと、2日間一緒に歩くことが多かった二人組から声がかかった。「大変ですよ。テントを張る場所がないですよ!」

この日のヒサゴ沼避難小屋のキャンプ指定地は混雑していた。岩の上や笹原を除くと、ほとんどの場所がテントで埋まっていた。わずかに避難小屋の脇にスペースがあることを教えられ、運良くそこにテントを張れた。
私より後から到着したキャンパーは、ゴツゴツした岩の上や笹原の中にテントを張っていた。山は「早出早着」と言うけれど、なるほどこういうこともあるのだと思った。

2日目に歩いた距離は16.7km、累積標高差は登りが663m・下りが966mで、歩行時間は途中休憩(1時間18分)を含めて9時間41分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その⑤(ヒサゴ沼避難小屋→トムラウシ山南沼キャンプ指定地)に続く。
コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳)

2024-07-27 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


縦走2日目は白雲岳避難小屋を出発し、忠別岳(標高1963m)、五色岳(同1868m)、化雲岳(同1955m)に登頂し、ヒサゴ沼にある野営地まで行く16.7kmの行程だった。4日間の中で一番長かった。
白雲岳避難小屋キャンプ指定地を5時57分に出発した。


避難小屋の周辺で頻繁にヒグマが目撃されている。ハイカーは皆クマ鈴を鳴らして歩いている。
私はお花の写真を撮るため頻繁に立ち止まる。他のハイカーが近づいてくるのもクマ鈴で分かる。抜いてもらう場所を予め考えながら歩いていた。

お花はその日初めて観るものはたいがい撮影した。一度撮ったものは撮らないことが多かった。
この花は初めてのように思えて撮影した。名前が分からず教えてgooに頼ったが、エゾノタカネツメクサなのかエゾミヤマツメクサなのか判断がつかなかった。生育している数はエゾノタカネツメクサが圧倒的に多いらしい。

・エゾノタカネツメクサ(蝦夷の高嶺爪草、Minuartia arctica var. arctica、ナデシコ科タカネツメクサ属の多年草)
日本では北海道の利尻島、大雪山系、夕張山地、日高山地、知床山地に分布する。高山帯の岩場や砂礫地に生育する。
・エゾミヤマツメクサ(蝦夷深山爪草、Minuartia macrocarpa var. yezoalpina、ナデシコ科タカネツメクサ属の多年草)
北海道の大雪山系に分布する。


隣の植物はエゾハハコヨモギだと教えられた。
・エゾハハコヨモギ(蝦夷母子蓬、Artemisia glomerata、キク科ヨモギ属の多年草)
北海道大雪山の高山帯の岩礫地に見られる。高さ20cm程度。葉は2回掌状に分裂し、両面に絹毛が密にある。頭花は総状につく。夏に開花。


前夜の雨で草木は濡れていた。そのためレインウエアの上下を着用して歩いた。中の着衣を調整していて暑くはなかった。

・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


この日歩いた道は大部分が見通しの良い高原台地だったが、所々背丈を越える高さのハイマツやナナカマドの中を抜けた。

・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


また雪渓近くを歩く道では、お花畑が観られた。

・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)


・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)


・エゾノツガザクラ


ここは左側に雪渓が続いていた。その近くでチングルマの大群落を何度も見かけた。


雪解け水が流れる側に、エゾコザクラの群落が観られた。


こちらはエゾノツガザクラとアオノツガザクラの混群。


左側に雪渓が続いていて、ガスがかかっていた。手前にチングルマとアオノツガザクラの群落が観られた。


こちらも左側が雪渓で、手前にチングルマ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラの群落が観られた。


先へ進むと広い高原台地となった。地図を見ると高根ヶ原と書かれていた。礫地にコマクサ、タカネオミナエシ、エゾツツジなどが散らばって咲いていた。このような高原が長く続いた。


・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・タカネオミナエシ(別名チシマキンレイカ;千島金鈴花、Patrinia sibirica、スイカズラ科オミナエシ属の多年草)


・エゾツツジ(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)


・ホソバウルップソウ(細葉得撫草、Lagotis yesoensis、オオバコ科ウルップソウ属の多年草)
大雪山系に分布する。環境省により絶滅危惧IB類(EN)の指定を受けている。




・ムカゴトラノオ(零余子虎の尾、Bistorta vivipara、タデ科イブキトラノオ属の多年草)
日本では、北海道、本州中部地方以北に分布し、亜高山帯から高山帯の日当たりのよい草地や岩礫地に生育する。


7時ちょうどに三笠新道の分岐に着いた。ここでしばらく休憩した。
今回行動食に用意したのは主にミックスナッツだった。その中でも『ハニーバターアーモンド』という商品が食べやすかった。


三笠新道の分岐を過ぎた辺りでもホソバウルップソウの群落を観た。花はオオバコと同じく下から上に向かって順に咲くようだ。
この植物の葉を観ていても「細葉」には見えない。しかしウルップソウの幅広い葉と比べると「細葉」なのだろうと納得した。


・イワブクロ(別名タルマイソウ;岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)


コマクサがたくさん咲いていた。


こちらはエゾツツジ、タカネオミナエシの混群。


ガスはまだ晴れない。予報では9時頃に晴れるという。歩くには涼しくて良いものの、この高原台地全体を見晴らせたらどんなにか素晴しいだろうと思った。
視界が悪い中、コマクサの群落があちこちで観られた。




南へ進むとハイマツの中を抜ける道となった。


そしてその先に緑の湿原が広がっていた。チングルマやミヤマバイケイソウが美しい。


セリ科の花もたくさん咲いていた。ハクサンボウフウのようだった。


・ハクサンボウフウ(白山防風、Peucedanum multivittatum、セリ科カワラボウフウ属の多年草)
北海道、本州の中部地方以北に分布し、高山帯の草地に生育する。


タカネオミナエシもたくさん咲いていた。


ハイマツの間を抜ける道は昨夜の雨で泥濘んでいて、歩きにくかった。


木道は残骸であっても水たまりを避けるのに助かった。


ハイマツの陰にマイヅルソウやゴゼンタチバナが咲いていた。

・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)
北海道から九州の山地帯上部から亜高山帯の針葉樹林に多く群生する。


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


丸石を敷き詰めたような道。これも自然の状態だと思う。


石の隙間にきれいなコマクサが咲いていた。


草地にはタカネシオガマが観られた。
・タカネシオガマ(高嶺塩釜、Pedicularis verticillata、ハマウツボ科シオガマギク属一年草)
本州の中部地方から北海道の高山帯に分布し、砂礫地や草地に生える。高さは5~15cm。茎の上部に唇形の紅紫色の花をつける。
ミヤマシオガマやヨツバシオガマに似るが、ミヤマシオガマと比べ葉の切れ込みがそれほど細かくない点、ヨツバシオガマと比べ高さが低い点などで区別ができる。


この岩の向こうはどうなっているのだろう?


まだ高原台地が続いていた。


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)
北海道、東北の高山帯に自生し、主に岩礫地や湿地などに自生する。北海道の固有種という説もある。




緩やかに登ってきた台地だが、一転して勾配の急な下りになった。せっかく登ってきたのに下るのは残念に思えたが、その先にこの光景が待っていた。忠別沼である。


忠別沼は『山と高原地図』に水場の印があるところだが、まだ十分に水は足りていた。ちなみに大雪山系にある水場はすべて「要煮沸」である。今回は高性能フィルターを持参したので、それで濾過すれば煮沸しなくても飲用できた。

忠別沼の湖畔にたくさんのお花が咲いていた。
これからの写真が鮮明に見えるとしたら、それはガスが晴れてきたからだ。天気予報通り時刻はちょうど9時になっていた。

・エゾノツガザクラ


・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)


・リシリリンドウ(別名クモマリンソウ;利尻竜胆、Gentiana jamesii、リンドウ科リンドウ属の多年草)
北海道の利尻山、大雪山、夕張山系の高山の湿った草地や砂礫地に生える。茎は上部で枝分れする。葉には厚みと光沢があり、対生する。花冠は5つに裂け、細かい切れ込みのある副片が花の内部を覆い隠す。


忠別沼で10数分休憩して再びザックを担いだ。
反対方向から沼を見下ろした。


・リシリリンドウ


・タカネシオガマ


・エゾイソツツジ


・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)


・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idaea、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)
日本では北海道、本州、四国、九州に分布する。亜高山から高山のハイマツなどの針葉樹林下、岩礫地などに自生する。




忠別岳の最後の登りをゆっくりと登った。


10時ちょうどに忠別岳(標高1963m)の山頂に到着した。計画より50分早い到着だった。レインウエアをどこで脱いだのか覚えていないが、それは既にザックの中にあった。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その④(忠別岳→ヒサゴ沼避難小屋)に続く。
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋)

2024-07-25 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は、表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)の続きです。

7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


旭岳(標高2291m)は北海道の最高峰であり、当然今回の縦走路でも旭岳が最高峰で、旭岳からは下りとなった。
すぐに残雪が現れると思っていたが、しばらく砂礫の急坂が続いた。途中いくつかの樹木の花が観られた。

・キバナシャクナゲ(黄花石楠花、Rhododendron aureum、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑低木)
日本では北海道から中部地方までの高山帯から亜高山帯上部にかけて自生する。分布域がアズマシャクナゲやハクサンシャクナゲよりさらに高地であり、生息環境が厳しいため樹高は3~40cmにしかならない。


・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


砂礫の急坂を20分ほど下ると、ようやく雪が現れた。ここでアイゼンを着用した。砂礫より締まった雪の方がずっと歩きやすい。相変わらずガスが濃かったが、GPSがあるので道を見失う心配はなかった。
 

雪渓を抜けると平坦な砂礫の道となった。所々にお花畑があり、特にキバナシャクナゲの群落が見事だった。風雪が厳しい環境のため樹高は20cmほどしかない。
この先で前を歩いていた二人組に追いつき、白雲岳避難小屋まで一緒に歩いた。
 

・キバナシャクナゲ


ガスに加え風が出てきて、お花の撮影が難しくなってきた。それでも可愛いお花たちにカメラを向けてしまう。

・イワヒゲ(岩髭、Cassiope lycopodioides 、ツツジ科イワヒゲ属の常緑矮性小低木)
日本では、本州中部地方以北、北海道に分布し、高山帯の風当たりの強い岩場の裂け目などに張り付くように生える。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・アオノツガザクラ(青の栂桜、Phyllodoce aleutica、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)


・エゾタカネスミレ(蝦夷高嶺菫、Viola crassa subsp. borealis、スミレ科スミレ属)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山脈、羊蹄山に分布し、高山の礫地に生育する。


前を歩いている二人も風で歩きにくそうだった。


・イワウメ(岩梅、Diapensia lapponica L. var. obovata、イワウメ科イワウメ属の常緑の小低木)
日本では北海道から本州中部にかけての高山帯に分布し、岩礫地や岩壁に張り付くように生育する。


時折ガスの切れ間から噴火口跡の景色が見えた。


10時39分、間宮岳分岐に到着。ザックを下ろして空荷で間宮岳へ向かった。2分ほどで間宮岳に到着した。標柱がないとどこが山頂か分からない。


すると奇跡的に数分の間、御鉢平カルデラのガスが晴れて、黒岳(標高1984m)の雄姿を観ることができた。


間宮岳分岐にに戻り、荒井岳(標高2183m)、松田岳(同2136m)を通り、北海岳(同2149m)を目指す。


・クモマユキノシタ(別名ヒメヤマハナソウ、雲間雪の下、Saxifraga laciniata、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草)
北海道の大雪山、夕張山地、日高山地に分布し、高山の湿った礫地に生育する。


・イワヒゲ




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


・イワブクロ(別名タルマイソウ、岩袋、Pennellianthus frutescens、オオバコ科イワブクロ属の多年草)
北海道から東北地方の高山帯に分布する。火山系の山の岩場や砂礫地に多い。




北海岳に向かって、最後の登りを頑張る。嬉しいことにガスが晴れてきた。


11時36分、北海岳に到着し、ザックを下ろして昼食を摂った。白雲岳避難小屋までは3.5kmだ。
 

ガスが晴れてきたので、山々が見渡せた。
烏帽子岳(標高2072m)のようだ。


右が黒岳(標高1984m)、左が桂月岳(同1938m)のようだ。大雪山には2000m級の山が立ち並んでいる。


北海岳から白雲岳に向かう道はお花畑が続いていた。表大雪でも有数の規模のお花畑のようだ。




・イワブクロ


・イワヒゲ


・エゾツツジの蕾(蝦夷躑躅、Therorhodion camtschaticum、ツツジ科エゾツツジ属またはツツジ属の落葉低木)
日本では本州北部(早池峰山・岩手山・秋田駒ヶ岳)と北海道の高山に分布する。高山の過酷な環境のため、高さ10~30cm程度にしかならない。


・キバナシャクナゲ


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。


チングルマの群落が続いていた。


・ヒメイワタデ(姫岩蓼、Pleuropteropyrum ajanense、タデ科オンタデ属の多年草)


・キバナシオガマ( 黄花塩竃、Pedicularis oederi var. heteroglossa、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
日本では北海道の大雪山系と空知のみに分布する。高山の乾いた草地に生える。




・エゾオヤマノエンドウ(蝦夷御山の豌豆、Oxytropis japonica var. sericea、マメ科オヤマノエンドウ属の多年草)


・キタヨツバシオガマ(北四葉塩釜、Pediculais chamissonis var. hokkaidoensis、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草)
北海道と本州の飯豊山以北の東北地方に分布する。花序は長く、細毛を密生し、花は7~12段つく。花冠と萼との境で背軸側に曲がる。


晴れていたら白雲岳(標高2230m)に登頂するつもりだったが、厚い雲がかかっていたので避難小屋の方へ直接向かった。

途中に観たエゾノツガザクラの大群落も見事だった。


岩場にはキバナシャクナゲが群生していた。


・キバナシャクナゲ


・エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花、Anemone narcissiflora. var. sachalinensis、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草)
北海道から東北地方北部の高山帯に分布する。ハクサンイチゲとの違いは、葉の幅が広く先端がとがらない。




・ウコンウツギ(鬱金卯木・鬱金空木、Weigela middendorffiana、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
北海道から東北地方北部の亜高山帯に分布する高山植物。大雪山などでは登山道から大群落が見られる。


・チシマノキンバイソウ(千島の金梅草、Trollius riederianus、キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草)
北海道から中部地方以北の高山帯に生える高山植物。雪渓が溶けたあとの湿った草原に生える。






白雲岳避難小屋が見えてきた。あと少しの頑張りだ。


・ミヤマバイケイソウの蕾(深山梅蕙草、Veratrum alpestre、ユリ目シュロソウ科シュロソウ属の多年草)


もう少しで避難小屋に到着だ。


・トカチフウロ(十勝風露、 Geranium erianthum f. pallescens、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)
チシマフウロの1品種で、主として大雪山系および日高山脈に見られる。母種のチシマフウロとの相違点は花色が淡い点にあり、チシマフウロの淡紅紫色に対して、トカチフウロでは淡青紫色である。




・ミヤマアズマギク(深山東菊、 Erigeron thunbergii subsp. glabratus、キク科ムカシヨモギ属の多年草)
日本の北海道から中部地方以北に分布し、高山帯の乾いた礫地や草地に生える。


白雲岳避難小屋のキャンプ指定地に13時43分に到着した。テントを張り終わるとしばらくして雨が降り始めた。日が暮れてから雨が強くなり、嵐のようになった。
この日から4日間、天気予報では晴れだったので、軽量化のためテント(1.9kg)ではなくツェルト(0.8kg)にしようかとも思ったが、テントを持参して良かったと思った。
雨は翌朝に上がった。翌日雨の中を歩くことはなかったが、濡れたテントの所為で荷物がいっそう重くなったのは仕方ないことだった。

この日は避難小屋が満杯で、まるでイワシの缶詰のような状態だった。テント場も混雑していたが夕刻に到着した人でもテントを張れたようだった。

1日目に歩いた距離は10.7km、累積標高差は登りが1032m・下りが640mで、歩行時間は途中休憩(42分)を含めて6時間50分だった。
表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その③(白雲岳避難小屋→忠別岳) に続く。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その①(姿見駅→旭岳)

2024-07-24 05:30:00 | 山行・旅行
7月中旬に3泊4日の日程で、表大雪の旭岳からトムラウシ山までを縦走した。
(地図をクリックすると大きくなります。)


全行程は44.7km、累積標高差は登りが2526m・下りが3481mで、歩行時間は途中休憩を含めて31時間あまり(宿泊地到着後の時間は含まず)となった。全行程が単独でのテント泊のため荷物が重く、タフな山行だった。撮影した写真は、高山植物を中心に800枚あまりとなった。それらの中から選りすぐったものを、撮影順にご覧いただきたいと思う。

大雪山旭岳ロープウェイの姿見駅を6時48分に出発した。天候は曇りで駅を出ると正面に旭岳が望めた。窪地に雪が残っていた。
 

姿見駅を出るとすぐにお花畑が広がっているのが嬉しい。先ずは夫婦池を経由して、姿見の池に向かった。


・エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜、Phyllodoce caerulea、ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木)
日本では東北地方以北に分布し、高山帯の適度に湿り気のある岩場や草地に群生する。


・チングルマ(珍車・稚児車、Sieversia pentapetala、バラ科チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)の落葉小低木)


・ウラジロナナカマド(裏白七竃、Sorbus matsumurana、バラ科ナナカマド属の落葉低木)


・エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅・蝦夷石躑躅、Ledum palustre L. subsp. diversipilosum var. yesoense、ツツジ科イソツツジ属の常緑小低木)


・ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草、Solidago virgaurea subsp. leiocarpa、キク科アキノキリンソウ属の多年草)


・エゾコザクラ(蝦夷小桜、Primula cuneifolia、サクラソウ科サクラソウ属の多年草)
北海道に分布する。高山の湿った所に生育する。




・コマクサ(駒草、Dicentra peregrina、ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属の多年草)


地獄谷から絶えず噴煙が上がっていたが、風向きの関係で匂いはしなかった。
 

7時22分、姿見の池で旭岳を眺めながら朝食を摂った。


ここまでは遊歩道だが、この先はいよいよ登山道に入る。旭岳には5年前に登っていて、砂礫が多い登山道のことはよく覚えていた。


この先は咲いている花が少なく、ペースを一定にしてゆっくり黙々と登った。六合目までで観られた花はキジムシロの仲間のこの花だけだった。自信がないがエチゴキジムシロのように思えた。
(モウズイカさんよりエチゴキジムシロは大雪山にはないとのご指摘がありました。そこでメアカンキンバイに訂正しました。)
・メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、Sibbaldia miyabei、バラ科タテヤマキンバイ属の小低木)
北海道の硫黄山、羅臼岳、斜里岳、雌阿寒岳、大雪山系、羊蹄山に分布し、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する。北海道以外では千島列島に分布する。


8時2分に六合目に着き、振り返るとまだ姿見駅が見えていた。
 

その後ガスが濃くなってきた。風はそれほど吹いていなかった。8時21分に七合目を通過し、8時43分に八合目に着いた。ここで雨具を着用した。
 

9時8分に九合目に到着した。近くにイワツメクサに似た花が咲いていた。自信はないが生育場所からエゾイワツメクサと思われた(イワツメクサは本州に分布。オオイワツメクサは北海道の日高山系、夕張山系に分布)。


・エゾイワツメクサ(蝦夷岩爪草、 Stellaria pterosperma、ナデシコ科ハコベ属の多年草)
北海道の大雪山系に分布し、高山帯の砂礫地などに生育する。


9時26分に旭岳山頂(標高2291m)に到着した。ガスで展望は全くなかった。十数人が休んでいたように見えたが、ここでは休まず先へ進むことにした。
 

標識とGPSを照合して、慎重に進むべき道を確認した。


表大雪(旭岳→トムラウシ山)縦走 その②(旭岳→白雲岳避難小屋) に続く。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植物クロスワード(49)『白山で観られる植物その②』の答え

2024-07-12 05:30:00 | クロスワードパズル


タテのカギ
1 鹿児島県が発祥の、削りたてのかき氷の上に加糖練乳をかけて缶詰などの果物を盛り付け、その上に小豆餡を載せた氷菓。
2 神を祭る建物。
3 「――の道は蛇」とは、同類のすることは、その方面の者にはすぐわかるというたとえ。
4 竹や針金の枠に袋状の網を張り、柄をつけ、魚をすくうのに使う小形の網。
5 トゲウオ科の魚。全長8cmくらい。背に3本、腹に1本のとげと、体側に幅広い鱗板帯 (りんばんたい) がある。産卵期には雄が糸状の粘液を出して水草をまとめ、水底に巣を作る。
6 メタノール・二硫化炭素・発煙硫酸など、劇薬と同程度の毒性をもつ、医薬品以外の物質。
7 ――科――属の多年草。
  
8 サクラソウ科サクラソウ属の多年草。
  
11 裁縫にも魚釣りにも使用する道具。
12 ラン科――属の多年草。
  
13 コンビニやファミレスで使えるギフトカードといえば――カード。
16 イヌはヒトより百万倍以上優れているとか。
17 物事の状態があとになるほどよくなっていくこと。
19 今とは真逆の季節。
21 髪――。首――。たなばた――。
26 ユリ科バイモ属の多年草。
  
27 二度漬け禁止というのがルール。
29 液体や気体を多孔質の物質に通して固体粒を取り除くこと。
30 キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。
  
31 ヨコ23は――科の多年草。
32 自分が生まれ育った土地。
33 セリ科カワラボウフウ属の多年草。
  
35 悲しい出来事をつづった物語。悲しい歴史。
37 シカ科の哺乳類。体高約40センチ。主に千葉県中南部で定着している。日本では特定外来生物。
39 「――食う虫も好き好き」とは、人の好みはさまざまであるというたとえ。
40 気象用語で、――は視界が1㎞未満、靄(もや)は1㎞~10㎞未満、特に100m以下のものを濃霧という。
ヨコのカギ
1 キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。
  
4 トウダイグサ科トウダイグサ属の多年草
  
8 池上正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』や、テレビ時代劇『必殺仕掛人』での、主人公の裏稼業。
9 事業などを始めるための資金。元手。
10 ミソハギ科の落葉高木。ペルシア地方の原産。別名をセキリュウ(石榴)という。
11 「――の勢い」とは、勢いが激しくてとどめがたいことのたとえ。
14 朝市やイカで有名な長崎県唐津市の地名。
15 現在千葉県と九州にはいないとされている大型動物。
16 山・丘などを切り開いて通した道路。
18 ――と 言えばかあ。
19 「――をひそめる」とは、心配なことがあったり、また他人の嫌な行為に不快を感じて顔をしかめること。
20 「――に冠を正さず」とは、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるということのたとえ。
22 フウロソウ科フウロソウ属の多年草。
  
23 ??科――属の多年草。
  
24 京都の鴨川沿いの茶屋で、座敷から川原へ張り出してつくった納涼用の桟敷。
25 すしに添える甘酢しょうが。
26 八十一。
28 背後に不正や犯罪などが隠されていることのたとえ。松本清張の著作「日本の――」に由来する語で、政財界の不正な行為をいう。
32 物事の構造・内容・仕組みなどの大きさ。
34 プーチン大統領が率いる連邦国。
36 人間の生活に役立たせる目的で飼育される動物。
37 昨日と明日の間にある日。
38 建物の床に張ってある板。
40 京都で作られる麩で、古く中国から伝わったといわれる。怖くはない。
41 志を立て、苦労と努力の末に成功した人の伝記。
42 ――科――属の越年草。
  

過去のクロスワードパズルは、このページ左にあるカテゴリー◆クロスワードパズルからご覧いただけます。

この記事がアップされる7月12日に、shuは大雪山を歩いています。順調なら下山は15日で、コメントにご返事できるようになるのは、早くて16日だと思います。
天候によっては下山が遅れる場合もあります。いただいたコメントのご返事が遅くなっても、遭難ではありませんので心配ご無用です。
また7月25日頃まで、皆さまの記事を拝見できないことが多いと思います。悪しからずご承知おき願います。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シジュウカラの子育て日記⑥ - 巣立ち

2024-07-11 05:30:00 | 
6月25日頃に孵化したシジュウカラの雛たち。子育ての最終幕の様子をご覧いただきたい。
先ずは、7月8日に巣箱から顔を出した元気な雛からどうぞ。






この雛は8日の夕刻に、先だって巣立ったように思われる。
その理由は、巣箱の中で元気に羽ばたいていた雛が、9日には見えなかったからである。あるいは9日の早朝に複数の雛が巣立った可能性もある。
また、後ほどご覧いただくが、同様に巣箱から顔を出した雛が、その後数十分で巣立ったのを観たからである。

さて、7月9日は5時から観察を行った。初めに家の中から巣箱の入口が見えるように、枝葉を少し切った。


親がそれを気にする様子はなく、これまで通り頻繁に巣箱へ餌を運んでいた。


運んでいる餌は日によって異なるようだ。この日は小さな幼虫が多かった。










時折、餌を運んでくる間隔が大きく開くことがあった。先に巣立った雛に、別の場所で餌を与えているのかもしれないと思った。








結局9日には巣立ちを観ることはできなかった。しかしずっとつきっきりで観察していたわけでないので、観ていない時間に巣立った可能性はあると思う。

翌10日はやはり朝5時に観察を開始した。5時15分に最初に親が餌を運んだのを観た。
午前中に親鳥が餌を運ぶ様子を動画に撮った。


午前中、親鳥が餌を運ぶ様子は、前日と変わらないように見えた。




(途中30分ほど巣箱を観ていない時間があった。)
11時10分、雛が巣箱から顔を出した。いったん顔を引っ込めたものの、その後大きく身を乗り出してきた。




大きな口を開けて親を呼んでいる。


今にも巣箱から飛び出しそうな勢いだ。




しかし思いとどまったのか、いったん巣箱の中に姿を消した。
そして4分後に再び顔を出した。近くに親鳥はいない。でも何か決心したかのような顔つきだった。




「お母ちゃん行くよ!」とでも叫んでいるのか。


下へ向かって飛び降りる・・かと思ったが、止めて再び巣箱に姿を消した。


こんなことをさらに3度繰り返した。
そして11時28分、恐る恐る再び顔を出した。


近くに親鳥の姿は見えない。もう30分ほど姿を現していない。


お腹が空いてきたよなあ・・


親を呼んでみても何の返事もない。


どうしようか?


不安そうな雛。


どうするのか?


行った! 11時28分、何羽目かは分からないが、親に呼ばれるでもなく、この子は自分の力で巣立った。


最初に止まった枝は巣箱の真下で、その後少し上の枝に止まった。親鳥を呼ぶがいっこうに来てくれる兆しはなかった。


何度も何度も呼び続けている。


樹木の上の方に移動して、そこでも呼び続けている。巣立ってから14分、最後に餌をもらってから45分は経っていた。


ようやく親鳥(♀)が餌を咥えてやって来てくれた。


親鳥が雛の近くへ寄っていく。


雛はようやく安堵の表情がうかがえた。親子は道を挟んだ向こう側の電線に一旦止まり、その後南へ飛んで姿が見えなくなった。


この後、巣箱はもぬけの殻のようだった。どうやらこの子が最後に巣立った子のようだった。全員が予定日より早い巣立ちであった。
撮影:2024/07/08、2024/07/09、2024/07/10

本日より北海道に出かけています。そのためこの動画のコメント欄は閉じてあります。
明日は『植物クロスワード(49)の答え』をアップします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植物クロスワード(49)『白山で観られる植物(その②)』

2024-07-10 05:30:00 | クロスワードパズル
今回は『白山で観られる植物』の第二弾です。第一弾同様、マスの数を増やしています。
マスの中に『白山』と書いたものが7つ、『深山』と書いたものが2つありますので、それぞれ『ハクサン』、『ミヤマ』の文字を当てはめて読んで下さい。
植物クロスワードは『検索あり』です。どうぞご自身のペースでお楽しみくださいませ。shuの花日記の『白山花紀行』を参考にされるとよいと思います。
解答は7月12日にアップします。それでは、どうぞお楽しみくださいませ。


タテのカギ
1 鹿児島県が発祥の、削りたてのかき氷の上に加糖練乳をかけて缶詰などの果物を盛り付け、その上に小豆餡を載せた氷菓。
2 神を祭る建物。
3 「――の道は蛇」とは、同類のすることは、その方面の者にはすぐわかるというたとえ。
4 竹や針金の枠に袋状の網を張り、柄をつけ、魚をすくうのに使う小形の網。
5 トゲウオ科の魚。全長8cmくらい。背に3本、腹に1本のとげと、体側に幅広い鱗板帯 (りんばんたい) がある。産卵期には雄が糸状の粘液を出して水草をまとめ、水底に巣を作る。
6 メタノール・二硫化炭素・発煙硫酸など、劇薬と同程度の毒性をもつ、医薬品以外の物質。
7 ――科――属の多年草。
  
8 サクラソウ科サクラソウ属の多年草。
  
11 裁縫にも魚釣りにも使用する道具。
12 ラン科――属の多年草。
  
13 コンビニやファミレスで使えるギフトカードといえば――カード。
16 イヌはヒトより百万倍以上優れているとか。
17 物事の状態があとになるほどよくなっていくこと。
19 今とは真逆の季節。
21 髪――。首――。たなばた――。
26 ユリ科バイモ属の多年草。
  
27 二度漬け禁止というのがルール。
29 液体や気体を多孔質の物質に通して固体粒を取り除くこと。
30 キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。
  
31 ヨコ23は――科の多年草。
32 自分が生まれ育った土地。
33 セリ科カワラボウフウ属の多年草。
  
35 悲しい出来事をつづった物語。悲しい歴史。
37 シカ科の哺乳類。体高約40センチ。主に千葉県中南部で定着している。日本では特定外来生物。
39 「――食う虫も好き好き」とは、人の好みはさまざまであるというたとえ。
40 気象用語で、――は視界が1㎞未満、靄(もや)は1㎞~10㎞未満、特に100m以下のものを濃霧という。
ヨコのカギ
1 キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草。
  
4 トウダイグサ科トウダイグサ属の多年草
  
8 池上正太郎の小説『仕掛人・藤枝梅安』や、テレビ時代劇『必殺仕掛人』での、主人公の裏稼業。
9 事業などを始めるための資金。元手。
10 ミソハギ科の落葉高木。ペルシア地方の原産。別名をセキリュウ(石榴)という。
11 「――の勢い」とは、勢いが激しくてとどめがたいことのたとえ。
14 朝市やイカで有名な長崎県唐津市の地名。
15 現在千葉県と九州にはいないとされている大型動物。
16 山・丘などを切り開いて通した道路。
18 ――と 言えばかあ。
19 「――をひそめる」とは、心配なことがあったり、また他人の嫌な行為に不快を感じて顔をしかめること。
20 「――に冠を正さず」とは、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるということのたとえ。
22 フウロソウ科フウロソウ属の多年草。
  
23 ??科――属の多年草。
  
24 京都の鴨川沿いの茶屋で、座敷から川原へ張り出してつくった納涼用の桟敷。
25 すしに添える甘酢しょうが。
26 八十一。
28 背後に不正や犯罪などが隠されていることのたとえ。松本清張の著作「日本の――」に由来する語で、政財界の不正な行為をいう。
32 物事の構造・内容・仕組みなどの大きさ。
34 プーチン大統領が率いる連邦国。
36 人間の生活に役立たせる目的で飼育される動物。
37 昨日と明日の間にある日。
38 建物の床に張ってある板。
40 京都で作られる麩で、古く中国から伝わったといわれる。怖くはない。
41 志を立て、苦労と努力の末に成功した人の伝記。
42 ――科――属の越年草。
  

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シジュウカラの子育て日記⑤ - 巣立ち間近

2024-07-08 10:36:30 | 
6月25日頃に孵化したシジュウカラの雛たちが、まもなく巣立ちの時期を迎えている。
2日前から巣箱の中から雛の声が聞こえだし、昨日はその声が大きくなってきた。今朝も朝早くから鳴いていた。
5時過ぎから観察を続けたところ、9時頃から親が餌を運ばなくなった。
巣箱の中では雛が羽ばたきを繰り返しているのが見えた。

すると1羽の雛が巣箱から顔を出した。2秒ほどのことだが、運良く写真が撮れた。










その後、1時間ほどして再び雛が顔を出した。同じ雛かどうかは分からない。


巣箱から雛が顔を出すと、巣立ちは間近だ。これまでの経験では巣立つのは早朝だった。
運が良ければ旅行に出る前に巣立ちが観られるかもしれない。

気になるのはネコとカラスだ。昨日は黒いネコが近くへ来ていた。今朝はカラスが巣箱のすぐ近くまで来た。
どちらも私が窓から顔を出したら去っていた。ずっと監視しているわけにはいかない。
無事な巣立ちを祈るだけである。

撮影:2024/07/08
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シジュウカラの子育て日記④ - 子育て真っ最中

2024-07-06 21:27:00 | 
6月25日頃に孵化したシジュウカラの子育てが、後半に入ってきた。
朝から晩まで、♂・♀が忙しく餌を運んできている。親鳥が巣箱に入ると、中から雛の声が聞こえてくるようになった。

巣箱を架けているヤマボウシの葉が繁り、観察がしにくくなったが、やむを得ない。
葉の隙間を狙って写真を撮った。




親鳥は餌を咥えて巣箱に入ると、10~15秒ほどして出ていく。
入る前には巣箱の近くの枝に止まって、辺りの様子を伺ってから巣箱に入る。
一方出て行くときは、勢いよく飛び出していく。

ところが珍しいことがあった。
巣箱から出た♀が、巣箱の前でじっとしている。
初めは少し休んでいるのだろうと思った。ところが5分、10分経っても動かない。








そのうち巣箱へ入ったり出たりを繰り返していた。
そうしていると♂がやって来た。大きな虫を咥えていた。




そして巣箱へ入っていった。その時は♂・♀の両方が一緒に巣箱の中に入った。
10~15秒ほどして一羽が飛び出し、すぐにもう一羽が後を追って飛んでいった。
どうやら♀は♂を待っていたような気がした。

雛の巣立ちは7月14日頃だと思われる。
残念ながら旅行に出ていて、巣立ちを観ることはできない。
元気に巣立ってくれることを祈るのみである。

撮影:2024/07/06
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その④・最終回)

2024-07-04 05:30:20 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


昼食が終わり一息ついたところで、ザックにコンロや水筒などを仕舞い、立ち上がった。
今度は頭をぶつけるようなものはない。ゴミを落としていないことを確かめて歩き出した。

地図でお分かりのようにここから数百mの間は急坂が続く。岩や木の枝をつかみながら慎重に下った。
途中ツマトリソウ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、イワカガミを観たが、ほとんど写真を撮る余裕はなかった。
・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


あらかた下り終わった所で、根子岳がきれいに見えていた。


ここが鞍部の底で、ここから170mほど登る。途中見晴が良さそうなピークが見えた。


そのピーク(地図に2039mの記載がある)まで登って来て休憩した。今回行動食に持ってきたハニーバターアーモンドが美味しかった。


ここで20分あまり休憩して、再び根子岳への登りに取りかかった。
歩き出してしばらくしてクロマメノキが観られた。
・クロマメノキ(黒豆の木、Vaccinium uliginosum var. japonicum、ツツジ科スノキ属の落葉低木)


岩の間にハナニガナが咲いていた。
・ハナニガナ(花苦菜、、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)
日本全国に分布する。茎の高さは40~70cmほどになり、茎葉は茎を抱く。茎の上部で枝分かれし、多数の頭花をつける。花期は5〜7月。頭花は舌状花だけで構成されており、ニガナの小花が5個であるのに対し、7~11個程度ある。シロバナニガナ(白花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora)の花が黄色のものをいう。


11時53分に根子岳山頂に到着した。四阿山が少し遠くなっていた。


根子岳の山頂は広く、西を向いて祠が建っていた。


遠足で来ていた50人ほどの小学生が、ばらばらに座って食事を摂っていた。
深田久弥氏は「日本百名山」の中で根子岳についても記しているので、引用しよう。
「菅平へ雲集するスキーヤーで根子岳へ登る人は多いが、四阿山まで足を伸ばす人は千人に一人くらいしかいないという。根子岳なんて四阿山の附録みたいなものである。私たちは附録では満足できない」。
ずいぶんひどい書き方である。

50人ほどの小学生の一行が、そろそろ出発しそうだった。彼らが下りる前に行った方がよいだろうと、先へ進んだ。
先に書いたとおり、根子岳は田中澄江氏が選んだ「花の百名山」の一つである。登山道脇にたくさんの花が観られた。しかしそれらは四阿山で観たものと同じだった。
レンゲツツジも多く観られた。
・レンゲツツジ(蓮華躑躅、Rhododendron molle subsp. japonicum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)




菅平牧場まで下ってきた。


振り返って観る根子岳は、確かにスキーで登るのに良さそうな山に見えた。


ここまで下るとこれまで観た花とは違った花も観られるようになってきた。お花の写真を撮りながら、ゆっくりと下山した。
・ウツボグサ(靫草・空穂草、Prunella vulgaris subsp. asiatica、シソ科ウツボグサ属の多年草)




・グンバイヅル(軍配蔓、Veronica onoei、オオバコ科クワガタソウ属の多年草)




・ハクサンフウロ(白山風露、Geranium yesoense var. nipponicum、フウロソウ科フウロソウ属の多年草)


・アヤメ(菖蒲、文目、綾目、Iris sanguinea、アヤメ科アヤメ属の多年草)


・オオヤマフスマ(大山衾、Arenaria lateriflora、ナデシコ科ノミノツヅリ属の多年草)
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の夏緑樹林内、その林縁または草原に生育する。
茎は細く、高さ10~20cmになり、単一または多少分枝し、下向きの細く短い毛が生える。葉は対生し、葉身は広楕円形から倒披針形で、長さ1~3cm、幅3~10mmになり、先端は鈍頭から円頭で、縁は全縁となり、葉柄は無い。葉の両面に毛が生え、縁と裏面の葉脈上の毛が著しい。
花期は6~8月。花の径は約1cm、1~3個が茎先または葉腋につき、花柄は細く下向きの短毛が生える。萼片は5個、卵形になり長さは2~3mm、背面の中肋に毛が生える。花弁は白色で5個、長倒卵形で長さ5~8mmになり、萼片の2倍の長さとなる。雄蕊は10個あり、花糸の基部に毛がある。子房の上に3個の花柱がある。


13時13分にスタート地点と同じ、菅平牧場の駐車場に戻って来た。牧場で新鮮な牛乳を飲んで帰路についた。

合計時間:7時間6分(うち休憩:1時間19分)、距離:9.6km、累計標高差:974m。

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(完)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)

2024-07-03 05:30:04 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その②)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


中四阿を過ぎると、しばらくオオシラビソの間の道を歩き、やがて新旧二つの道標を見た。
 

地図を照らすと南へ進む道がここで分岐していた。
これまで観られなかったイワカガミ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナが観られるようになった。中でも岩の間に咲いていたゴゼンタチバナがきれいだった。
・イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)




分岐点の標高は2215mほどあり、既に根子岳(標高2207m)の高さを越えていた。眼下に根子岳の緩やかな尾根が見えていた。


さらに15分ほど歩くと根子岳との分岐に着いた。
 

分岐の近くにもたくさんの花が咲いていた。
・コケモモ(苔桃、Vaccinium vitis-idae、ツツジ科スノキ属の常緑小低木)




・ゴゼンタチバナ(御前橘、Cornus canadensis、ミズキ科ミズキ属ゴゼンタチバナ亜属の多年草)


・マイヅルソウ(舞鶴草、Maianthemum dilatatum、キジカクシ科スズラン亜科マイヅルソウ属の多年草)


・イワカガミ(岩鏡、Schizocodon soldanelloides、イワウメ科イワカガミ属の多年草)




ここまで来ると山頂は近い。
あとは深田久弥氏が言う「乳首のような頂上」に向けて「最後の一頑張り」をするだけだった。
5年前に来た時はこの辺りから雪が深くなり、ワカンを装着した。しかし夏道では木段になっているとは意外だった。

木段の途中に右への分岐があり、標柱が立っていた。登る際には見えたのは「植生復元作業をしています。木道から外れた所に踏み込まないで下さい」の表示だったが、下りの際に見ると「鳥居峠7.2km」と記されていた。
この道は「ぐんま県境稜線トレイル」に指定されている、100kmものロングトレイルの一部である。いずれ歩いてみたい道である。
 

さて最後の一頑張りを終えて、9時22分に四阿山の山頂に立った。
手前に信州祠、奥に上州祠の二つの祠があり、その間に山頂の標柱が立っていた。
 

四阿山の名前の由来だが、「日本百名山」には二つの由来が書かれている。
一つは「日本武尊が東征からの帰り、鳥居峠の上に立って東を振り返り、弟橘姫を偲んで「吾妻はや」と嘆かれた。そこで峠のすぐ北にそびえる山を吾妻山と名づけた、と言われる。(中略)上州の吾妻山は信州では四阿山と呼ばれる」。
もう一つは「山の形があずまや(四方の柱だけで、壁がなく、四方葺きおろし屋根の小屋。庭園などの休憩所とする)の屋根に似ているところから、その名が由来したと言われる」と書いている。

天候は下り坂で、先ほどまで見えたいた北アルプスはおろか、戸隠や志賀高原の山々すら見えなくなっていた。
山頂付近ではクロマメノキ、マイヅルソウ、イワカガミ、ツマトリソウが観られた。もう一つたくさん咲いていたのがこの花だった。
・セイヨウタンポポ(西洋蒲公英、、キク科タンポポ属の多年草)
総苞外片は色が淡く、つぼみの時に下方へ反り返る(在来タンポポ類では反り返らない)。


山頂に10分ほどいて、根子岳との分岐まで下って昼食を摂った。この日は保温水筒に入れてきたお湯をガスコンロで沸かして、カップ麺を食べた。
休んでいる間に何組かのハイカーが通過していったが、根子岳から登ってきた人は、概ね疲れた顔に見えた。
先に述べたように、根子岳との間には大隙間(大隙間爆裂火口)と言われる鞍部がある。ここから240mほど下り、170mほど登り直さなければならない。
さあ、頑張ろう。

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その④)に続く。
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その②)

2024-07-02 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は『四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その①)』の続きです。

(地図をクリックすると大きくなります。)


標高が1918mある小四阿を過ぎると、道は陽当りのよい尾根歩きとなり、レンゲツツジの他に見慣れた植物がいくつも観られ出した。
・レンゲツツジ(蓮華躑躅、Rhododendron molle subsp. japonicum、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)




・ニシキウツギ(二色卯木、Weigela decora、スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木)
日本の本州の宮城県以南、四国、九州に分布し、主に太平洋側の山地に多く見られ、日本海側にはない。山地の明るい場所に生える。
花期は5~6月。枝の先端か葉腋に1~3個の花を散房状につける。1本の木に白色とピンク色の2色の花を咲かせる時期があるが、これは咲き始めが白色で、徐々にピンクや紅色へと変化するためである。


・ハクサンチドリ(白山千鳥、Dactylorhiza aristata、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)




・ツマトリソウ(褄取草、Trientalis europaea 、サクラソウ科ツマトリソウ属の多年草)


・ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草、Pyrola asarifolia subsp. incarnata 、ツツジ科イチヤクソウ属の常緑多年草)




・クロウスゴ(黒臼子、 Vaccinium ovalifolium、ツツジ科スノキ属の落葉低木)


途中に見た標識に「四阿高原へ」とあったが、分岐には気づかなかった。また地図にもそのような道は載っておらず不思議だった。
帰宅後調べたら、四阿高原は地図に「真田町長(おさ)別荘地」と記されている辺りのようだった。


・ミヤマニガイチゴ(深山苦苺、Rubus subcrataegifolius、バラ科キイチゴ属の落葉低木)
日本特産で、北海道から本州の近畿地方の山地や高山に分布する。
茎は高さ1mに達し、茎や枝は無毛であるが、全体に小さな刺がまばらにある。葉は長さ3~8cmの葉柄をもって互生する。葉は単葉で3裂するが、しない場合もある。葉身は長卵形で長さ4~10cm、中央の裂片は大きく長く、先端はとがり、基部は切形または心形で、縁は重鋸歯になる。葉の裏面は粉白色を帯び、葉脈と葉柄に刺がある。
花期は5~6月。前年枝の葉脈から長さ7~10cmの花枝を出し、3~4個の小さな葉をつけ、1~4個の花をつける。花は径~2.5cmになる白色の5弁花で、長さ1~4cmの小花柄がある。果実は径1~1.5cmの球形になって赤色に熟す。




8時17分に中四阿に到着した。
先ほどから何度か標柱にあった「ダボス牧場」だが、地図に載っていない地名だった。帰宅後調べたら「有限会社 ダボス牧場」は、市場に流通していない短角牛などの希少な種類の肉牛を育てている牧場らしい。「四阿高原」もそうだが、標柱に記す地名は、地理院地図にあるものを使って欲しいものだ。
ここまで来て、ようやく四阿山の山頂が見えた。
 

四阿山(あずまやさん)・根子岳(ねこだけ)お花見ハイキング(その③)に続く。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする