久しぶりに映画を見てきました。今日から始まった天地明察です。
実は冲方丁の原作を読んでいました。娘も読んでいたので一緒に出かけました。
江戸幕府の初代天文方となった渋川春海の半生記です。元々は将軍に囲碁を教えるのが職務でしたが、趣味で天文学や算術をたしなみます。
その役職のおかげで彼は将軍や藩主など幕府の重鎮とも関わりを持ちます。保科正之や水戸光圀に目を掛けられ、北極出地という天文観測の任務に就きます。
その後、日本の暦を作り直すという大事業を命じられることになるのですが、暦は朝廷(天皇)が定めるものとされていた時代なので、幕府もそう簡単に暦を替えることはできません。渋川春海は、既存の暦の誤りを正し、朝廷をも動かすだけの正確な暦を作るため命がけで難事業に挑みます。
映画では、渋川春海ではなく、安井算哲の名が使われます。
原作とはやや設定を変えて、話を所々で短くして分かりやすくしていたようです。そのため原作を読んで置いた方が、全ての場面に置いて深く意味を知ることができます。
ヒロインえんは、最初は春海を武士と勘違いして強い口調で叱ります。映画ではそんなツンとしたえんはいませんでした。最初から最後まで優しいえんです。宮崎あおいの笑顔は良いけど、最初からずっとではわざとらしいかなと思いました。でも、ワンシーンだけ怒ってましたね。ああいうのが良い。
算術家・関孝和は市川猿之助にぴったりの役でした。もっと激しく怒っても良かったかも知れません。原作では二人が出会ったとき、ずっと怒ってましたし。
もちろん、主演の岡田准一も雰囲気が合ってたと思います。優しそうで、生真面目そうな感じです。
映像的にはそうそう驚くシーンもなかったのは残念です。でも、基本的に地味な主題ですから仕方ないでしょうか。最後の日蝕は見物です。
あと、原作にない襲撃シーンは必要でしょうか?無理矢理時代劇っぽく修羅場を作った感じですが、本筋でも十分に修羅場にあったのですけどね。
最後は原作のように話を進めず、ナレーションで終わらせました。少し残念。でも、静かに涙が出てきます。場内もそういう雰囲気でした。
娘も「いつの間にか泣いてたわ」ってエンディングが終わったときに言いました。
エンドロールで、国立天文台、日本棋院、日本珠算連盟が並んで表示されるなんてのも、この映画ならではでしょうね。