漫画制作の仕事を離れてもう半年になろうとしています。
現在は簿記1級の勉強をしながら、次の仕事を探しています。できれば経理の仕事をしたいと思っています。
記憶が薄れないうちに、漫画の現場で経理として必要な仕事や、データとして整理しておきたいものがあって、独自にデータベースを作っていました。
漫画の現場を管理する上で何か参考資料になるものが残せたらと思っています。
自分がやっていた仕事の中から紹介していきます。
★経理(一部人事関連)
・給与計算(締日〜支払日)
給与計算をする上で従業者名簿を作成し、個人情報の整理が役立ちます。
扶養家族によって計算が変わりますし、誕生日を把握しないと厚生年金の介護保険料の計算ができません。
時間管理のためタイムカードが必要ですので、退勤管理アプリを使っていました。
また、出勤簿を付けておくと社会保険や雇用保険の手続きに役立ちます。休日日数や残業時間、有給休暇の管理もします。
給与のデータは賃金台帳に集計しておきます。1月から12月で集計しておくと源泉徴収票の作成ができます。
・有給休暇日数の計算(期末〜期首)
有給休暇日数は、入社から1年ごと、もしくは期首に一括して計算し直します。
勤務日数を把握するため出勤簿を利用します。
・請求書の管理・発行(締日以降)
請求書を正しく発行するために売掛金と買掛金の管理を補助簿で行います。
売上は漫画やイラストの原稿を入稿した時点で発生し、売掛金とします。漫画原稿の場合、入金は雑誌掲載の後となります。数ヶ月後になることもあるので、出版社毎、各原稿毎に売掛帳で集計しておきます。
連載作品のある出版社は請求書を起こす必要がないのですが、単発の仕事の場合、請求書を発行します。
外部発注で作画作業や3Dモデリングを依頼することがあります。原稿やデータが入稿(納品)されたときに、仕入と買掛金が発生しますので、買掛帳で管理します。
在宅勤務のアシスタントの場合、それぞれが個人事業主となりますので所得税の源泉徴収をします。消費税の対象にならない事業者がほとんどかと思いますが、請求書では消費税込みとしておいた方が良いようです。
・源泉徴収票の作成(12月〜1月)
所得税は1月〜12月までの源泉徴収分を集計します。返金等がある場合、12月の給与計算に組み込んでいましたが、給与計算後にしてもかまいません。税務署には1月末までにデータを送る必要があります。
・厚生年金の算定基礎届(7月)
給与台帳と出勤簿を持って、年金事務所に届出をします。1年間の勤務実態の確認が行われます。
・税理士との打ち合わせ(月1回)
実際は税理士事務所の担当者との打ち合わせでした。
担当者がどこまでやるかによって、経理担当者の仕事の内容も変わります。
源泉徴収票や算定基礎届などお任せすることもあります。
私自身はスタジオ内の現金管理と給与計算が主な仕事だったので、会社全体の経理業務は税理士事務所の担当でしたので、試算表は税理士事務所から送られてきます。
★人事
・面接・採用
求人票の作成、面接の段取り、面接後の採用準備など。
採用者の従業員台帳を作成します。
・社会保険・雇用保険の手続き
パートや社員の増減によって、早急に加入や喪失の手続きが必要です。
退職者の再就職や失業保険の手続きに必要な書類は早急な対応が必要です。
・従業者用の住居の手配
社員寮として賃貸住宅の管理をしていました。
対象の物件を選定し、社員と現地を確認した後、会社名義で契約します。管理台帳を作成していました。
★総務
・備品管理
経理として現金を管理しているので、スタジオ内で使用する消耗品の発注や管理をします。
紙、インクなど作業に必要な消耗品だけでなく、清掃道具やお茶などの飲み物も必要です。
作業中に糖分が必要になるのでお菓子も常備していました。
当初、備品の管理台帳も作っていましたが、実務的ではありません。最低限、切らしてはいけない備品のリストを作成し、数量が減ったら購入という手順にしていました。
・清掃業務
従業者全員で毎朝行っていました。室内、トイレ、台所など。
当番表を作成していました。
★データ管理
・原稿の管理
漫画の原稿はデジタル化されていました。
紙の原稿も一部ありましたので、それらは作品毎、話数毎に封筒に入れて仕分けておきます。
デジタル化された原稿は、データ用のサーバに保管し、適時DVDや外部のHDDにバックアップを作成します。クラウドを使うのも良いかと思います。
・契約書の管理
取引先との契約書はファイリングして管理します。
契約期間や契約内容を一覧で管理できる台帳を作成していました。
・作品の管理
作品の履歴を管理するためのデータベースを作っていました。
売掛帳を補助する役割もあります。作品がいつどの雑誌に載ったか確認することで、原稿料の入金時期が確定しるからです。
後にHPなどで作者の履歴を作るときに役立つと思って過去のデータも調べていました。
経理をしていると付属の事務作業もありますが、お金の出し入れに関わる作業もほとんど仕事の範疇となっていきます。
この他に、作画のアシスタントの仕事も手伝っていました。また制作進行としてデータの工程管理もしています。これらのお話もいずれ書けたらと思います。
社内の連絡用にLINEを使っていました。
会社からの連絡も一斉に伝えられますし、体調不良で休みの人もLINEで連絡をします。
現在だと新型コロナウイルスの対策で自宅作業をしているアシスタントの方も多いかと思います。
LINEのようなアプリを使ってチャットもできますし、ビデオ通話もできます。グループ通話もできるので、簡易的な遠隔会議も可能です。
データの共有にはクラウドが一番分かりやすいと思います。ただし、データの上書き順を間違えてしまうといけないので、手順の確認は重要です。
クラウドを使ってデータ共有するときの注意点として主なところは以下の3点です。
・共有のフォルダにデータを放置しない。(データ上書きの防止)
・共有フォルダで送るデータと受け取るデータは明確に分ける。(作業工程を明確にする)
・作業前と作業後のデータは数日残しておく。(それ自体がデータのバックアップとなる)
作業したデータを誤って上書きしないように最大限注意を払います。
また、いずれそれらも詳しくお話しできればと思います。