週に1回日本語学校で日本語を教えています。
今週は初級の教科書「みんなの日本語」21課「~と思います」を担当しました。
「~と思います」。ここでは推量と意見の二つの使い方を教えます。
使う場面、意味、語彙を変えてドリル練習などを経た後、短文づくりをするため簡単な質問をして意見を言ってもらいました。
Q:○○学校(今通っている学校のこと)はいい学校ですか。どうしてですか。
これについての答えはわりとすぐにでてきて、それほどバリエーションは増えません。
「いい学校だと思います。先生が親切ですから。」「わたしもいい学校だと思います。友達が親切ですから。」そうなんです!このクラスは、指名されてわからなかったり、間違えたりする学生がいると、他の学生がすぐ助け舟を出してあげるんですよね。休みの日も一緒に遊ぶ約束をしているようです。
じゃ、次の質問です。
Q:時間とお金とどちらが大事ですか。どうしてですか。
シンプルな問いですが、いろいろ意見が出てきました。
「お金の方が大事だと思います。いろいろなものを買いたいですから。」「時間の方が高い(←価値があると言いたいが、まだ未習語彙なのでこの表現)と思います。」。
ほぼ全員の意見がでそろったかと思ったところで、中国の学生が言いました。「時間が大事だと思います、は、お金がありますから。お金がありません、食べ物を買うことができません」。一言一句この通りではありませんが、一生懸命知っている言葉と文型を使って話してくれました。要するに、彼が言いたいことは、時間が大事だと言えるのは、生活するに足るだけのお金があるからだということですね。
なるほど。彼の言う通り、衣食足りて…ではありませんが、ある程度必要なお金があってこそ時間の方が大事と言えるわけです。目からウロコ。そして深く同感です。
クラスは中国、韓国、台湾、香港、カナダ、アメリカ、シンガポール、ネパール、モンゴルと多国籍です。
彼らの共通語は英語、そして習っている日本語です。
まだまだ拙い日本語ですが、それぞれの感性とお国柄が相まって素敵な使い方を耳にすることがあります。
先日、学校に来る途中でにわか雨が降ったようです。髪の毛を濡らして教室に入ってきた学生は「シャワーでした。これは大変です。」などと報告してくれました。そのうち、「これは神様のシャワーです」という表現が聞こえてきました。うわ~、素敵!すぐに「素敵な表現ですね」とほめてあげました。
表現と言う言葉は未習ですが、褒めるときには使ってしまいます。わからない言葉はあっても、自分は褒められていると感じることはできますし、うれしいという感情がわいて来ればモチベーションアップになるはず。意欲的な学生であれば、その言葉を調べようとするでしょう。褒めて伸ばす、です^^
授業の準備、教案づくりは私にとってはかなり大変です。いくら準備してもとちっちゃうことはありますし(学生にバレないように軌道修正しますが^^;)、出来上がってから見直して「これはいらない」と削除してしまうこともあります。時給換算の考え方ではまったくわりにあわない仕事だと思います。それこそ「時間とお金とどちらが大事ですか」ですね(笑)。じゃ、時給換算ではあわないから日本語教師やめますか、と言われれば、それはできない。やりたくてやっていることですからね。でもそれができるのは、生活するに困らない経済基盤があるからです。
そう。まったく先ほどの学生の言う通りなんです。SNさん、いいこと言うなぁ。。
日本語を教える私は、学生たちから大事なことを教わっています。