思惟石

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『星のあひびき』 アジアでは星も恋する天の川

2025-01-29 15:12:04 | 日記
『星のあひびき』丸谷才一

文庫の初版が没後(2013年)なので
追悼刊行かと勘違いしていたのですが
ご本人による最後の自選エッセイ集だそうです。

冒頭、
「二十世紀は戦争と革命の世紀だと言はれてゐます」
から始まる一冊。
いきなり考えさせられる評論パート。

サントリー学芸賞を打率の高さは考えたことなかった。
というか全然読んでませんでした。
(若桑みどり、藤森照信、塩野七生くらい)
丸谷氏オススメのいくつか、読んでみよう。

男向け女向け小説10選という
今の時代にどうよ的選書をした作家夫婦の話し、
「危険な話題」と題してちゃっかり物申してます。
うまいなあ。

後半生のエッセイが多いので追悼文も多くなる。
井上ひさし、篠田一士、平岩外四。
特に仲が良かった大野晋氏への文章は
あちこちに書かれた数篇が収録されていて、
しんみりします。
個人的には日本語タミル語起源説、ピンと来てないけど。

丸谷さんの本を読むと、大抵、いくつかわからない言葉に出会う。
こういうのも辞書引くきっかけになるので楽しい。

「別乾坤」別天地、別世界。雑誌タイトルでもあったな。

「ホマチ仕事」
帆待(ほまち):船乗りが契約以外で収入を得ること。これは宮古(南部藩)弁との説もあるみたい。
外持・私持(ほまち):臨時収入、役得、へそくり。
「外持仕事(ほまちしごと)」が本業以外での金儲け。密かに受ける仕事。
「外持子(ほまちご)」は本妻以外に産ませた子。関東や東北の方言という説もあるみたいです。

「ホマチ仕事」は丸谷さんお気に入りの表現なのか、
他のエッセイでも使っていたことがありますね。
吉本隆明氏にも用例があるみたいで、
なんとなく文筆家が収入目当てで受けた雑文のことを
こう言いたがるのかも。

この文庫、本扉と目次の間に1ページあって、
丸谷さんの句が書かれています。

  アジアでは星も恋する天の川

タイトルと合わせて、良い感じですね。
コメント
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