思惟石

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『ペドロ・パラモ』 マジックリアリズム!☆5つ!

2025-01-06 16:46:33 | 日記
『ペドロ・パラモ』
フアン・ルルフォ
訳:杉山晃/増田義郎

「ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作」
1955年初版。スペイン語。

作者のフアン・ルルフォはメキシコの作家で、
作品はこの『ペドロ・パラモ』と短編集『燃える平原』の
2冊しかないという超絶寡作な人。
ですがメキシコを代表する作家と呼ばれ、
ガルシア=マルケスも現代メキシコ人も
『ペドロ・パラモ』が大好きなのだそうです。

この小説、マジックリアリズムの名作でもあり、
話者や視点や時間がぽんぽこ飛びまくる短い断片が
小気味よく繋がって読者を翻弄します。

一応、主人公は「おれ」ことフアン・プレシアド。
一度も会ったことのない父ペドロ・パラモに会うために
コマラという名の町を訪ねるところから始まります。

が、いきなり誰かわからない少年の回想に飛ぶ。
そして父はもう死んでいるらしい。
なんならコマラという町もゴーストタウンだし、
一晩泊めてくれたおばさんも死んでいるし
フアンも死んでるよねこれ状態である。

死者たちの回想の物語なのである。

でもあんまり怖くない。
メキシコ(もしくは南米)は死者が地上と行き来しやすいのかな。
生死の境が曖昧というか、連続しているというか。

そして南米文学特有の、熱帯夜の寝苦しくて暑苦しくて
浅い眠りの向こうに見える悪夢みたいな感じ。
死者の世界に迷い込んでしまったような
心許ない風景や会話。
結構好きなのである。

この死者との距離の近さ、静かな怖さみたいなのは
スペイン語圏の特徴なのか、
やはり南米という場所の持つパワーなのか。

『黄色い雨』
『レクイエム』
などを思い出した。

☆5つ!
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