小室さんは、何かいろいろなことを問題提議してくれたような感じがします。
勉強になる。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180122-00000047-sasahi-life
<生活上の出来事とストレス強度>
配偶者の死 100(最高値)
離婚 73
夫婦の別居 65
結婚 50
夫婦の和解 45
家族が健康を害する 44
妊娠 40
性生活がうまくいかない 39
経済状態の変化 38
優れた業績をあげる 28
妻の就職、復帰、退職 26
生活状況の変化 25
※ホームズとレイの「社会再適応尺度」より一部を抜粋
KEIKOさんの場合は、病気の性質上それが顕著でした。小室さんは記者会見で、「一番ショックを受けたのは、KEIKOは歌手ということで大きな存在だったと思うのですが、残念なことに音楽に興味がなくなってしまって」と語っていましたが、心理的には「いままでのKEIKOさん」がいなくなってしまったという体験だったのでしょう。つまり離婚や別居に近いストレスを小室さんは感じたはずです。
もちろん、その原因が病気だということも、同じ人だということも、頭ではわかります。しかし、自分が今まで愛してきた人とは違う人に「見えてしまう」という現実もあります。これは多くの人に当てはまりますが、仮に今初めてこの人に出会ったのなら、自分はこの人を愛するだろうか?という問題です。
卑近な例でいうと、パートナーの不貞行為でショックを受ける理由の一つは、「自分だけを見てくれている、自分を一番に思ってくれている(と信じていた)パートナーがいなくなってしまった」ということだと考えられます。もちろん、物理的に消えてしまってはいませんが、心理的には突然「違う人」になってしまったわけです。パートナーが違う人になってしまうショックというのはそういうものだと思います。
好きな人を介護をしなければならなくなることも大きなストレスです。介護自体、不幸な事件が多数起こるほど大変なことですが、妻の介護をしなければならないというのは、恋人としての関係と、介護―被介護の関係性との2重の関係性を持つことになります。これは心理学でダブルロール(2重役割)と言われているものの一例です。実際、日本の多くの家庭では子どもができると、両親という関係性ばかりになってしまい、恋人としての関係性が希薄化してしまうことが多いのは、健全に二重の関係性を維持するのは心理的にとても疲れることだからです。
小室さんは、相手の急激な変化によるストレスと恋人としての関係と介護の関係の2重関係の困難さをうまく乗り切れなかったのかもしれません。
強いストレス状態の時には特に、人は自分を守るために支えや慰めを必要とします。こういうときに、世間的には「自分の気持ちが弱かった。反省している」と言うのが正解のようですが、これは危険な考え方です。気持ちを強く持つということは、一般には、自分のニーズに負けず「我慢」することを意味します。
社会的に不適切な行為を擁護・推奨する意図は全くありませんが、仮に一生懸命生きてきたにもかかわらず、不幸が重なって無職のホームレスになってしまった人が、どうしても空腹に耐えかねて食べ物を万引したとします。事情が何であれ、万引が違法であることは間違いのないことですが、その人を捕まえて「自分の気持ちが弱かった」と反省させても、その人がどう努力しても最低限の食べ物を買うお金を稼ぐ道がないのだとしたら、意味のないことです。気持ちを強く持っても、生存に必要な食べ物が不要になるわけではありません。意志の強さで実現できることは、せいぜい数日の絶食であって、ずっと食べないで生きていけるようになるわけではありません。
「人はパンのみにて生きるにあらず」というように、生きて行く上で精神的な充足感が絶対に必要です。ところが、こちらは目に見えないので簡単に無期限の絶食ができるものとみなされてしまいます。これは危険な発想です。
日本の介護問題となると、具体的にどう介護負担を減らすかなど、個人では解決できない部分も出てくると思いますが、小室さんが示した高齢社会の一つの課題を自分の問題として考えておくべきは、そうした人間のありようを前提にした回避方法です。
例えば、日頃から夫婦の愛情関係と親同士としての関係性を両立させて2重の関係への対応力をつけておくとか、精神的な飢餓・充足に意識を向ける習慣などは、いざ介護になった時にも役立ちますが、それ以前に日々の夫婦の関係を豊かにするために役立ちます。
https://dot.asahi.com/wa/2015051300099.html?utm_source=yahoo_rss&utm_medium=referral 愛する妻が若くして認知症に…医師である夫がしたこと
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180122-00106497-nksports-ent ピュアで不器用、小室哲哉24年前のほっこり舞台裏