https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180123-00024209-president-life抜粋
■腸に穴があく人が増えている
それでは、腸内細菌の数も豊かで、腸内フローラのバランスも整っている際の大便とは、どのようなものでしょうか。理想の大便とは、
■腸内細菌が激減すると大便の量も激減する
私たちの腸には、およそ200種類100兆個もの腸内細菌がすんでいます。重さでいえば、およそ2キログラムにもなります。
その腸内細菌は、腸粘膜細胞と協働して、人が生きるために必要な多くの仕事を行っています。主な腸内細菌の働きは、以下のとおりです。
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・食べ物の消化、吸収、便の形成
・免疫機能の維持
・有害物質の排除
・ビタミンの合成
・必須アミノ酸の合成
・ホルモンの合成
・脳内伝達物質の合成
・酵素の合成
・腸の蠕動運動の促進
それは、大便の量を見るとわかります。大便は単なる「食べ物のカス」ではありません。約60パーセントが水分、約20パーセントが腸内細菌とその死がい、約15パーセントが腸からはがれ落ちた粘膜細胞の死がい、約5パーセントが食べたもののカスという具合に構成されています。つまり固形部分の大半は腸内細菌なのです。
ですから、大便が小さいということは、腸内細菌の数が少ないことを表します。色が黒かったり、コロコロだったり、硬すぎたり、水っぽかったりなど、大便の状態がよくない場合は、善玉菌が少なく、悪玉菌が増えすぎているなど、腸内バランスが乱れ、腸内フローラが貧弱化していることを示しています。
それでは、腸内細菌の数も豊かで、腸内フローラのバランスも整っている際の大便とは、どのようなものでしょうか。理想の大便とは、
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・バナナ3本分(約300グラム)
・便切れが爽やか
・練り歯磨きや味噌の硬さ
・黄褐色でにおいはかすか
・ゆっくりと水に沈む
今、腸に細かな穴のあいている人が増えています。
人の体を構成する細胞は、古い細胞が新しい細胞に次々と入れ替わっていくことで、臓器の働きを恒常的に保っています。この新旧の細胞の入れ替わりを「新陳代謝」と呼びます。新陳代謝のスピードは、臓器の働きによって異なります。消化吸収や免疫機能の維持など、生命に直結する働きを持つ腸は、人体のなかでもっとも重労働を強いられている臓器です。そのため、たえず新しい細胞を生み出すことで機能を保つ必要があり、わずか1~3日という短時間で新旧の細胞が入れ替わっています。これは、人体の細胞のなかで、もっとも早いサイクルです。
■直訳すれば「腸もれ症候群」
この腸の粘膜細胞の生まれ変わりにも、腸内細菌は関与しています。腸内細菌は腸壁をびっしりと覆う絨毛の間にいて、粘膜細胞の生まれ変わりを助けているのです。
そのため、腸内細菌の数が減ったり、腸内フローラの多様性が乏しくなったりすると、腸の細胞の新陳代謝がうまくいかなくなります。すると、細胞間の連結がゆるんですき間ができます。これが「腸に細かな穴があく」ということです。
欧米ではこの症状が以前より問題視されていました。「リーキー・ガット・シンドローム」と呼ばれ、「心身にさまざまな不調を引き起こすトラブル」「多くの重大な病気につながる可能性の高いトラブル」ということがわかってきたからです。
ちなみに、「リーキー(Leaky)」とは「もれている」、「ガット(Gut)」とは「腸」という意味。直訳すれば「腸もれ症候群」となります。
腸にあく細かな穴は、非常に小さな目に見えないほどの細胞間のすき間です。しかしその穴は、腸内細菌や未消化の栄養素、毒素、腐敗ガスなどを通してしまうほどの大きさがあります。
そうしたものが腸からもれ出すと、さまざまな病気がつくり出されます。腸からもれ出したものが全身をめぐり、悪さをするからです。それによって起こる代表的な病気が食物アレルギーであり、がんや脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病などです。うつ病や認知症、自閉症の発症にも関与している可能性も明らかになってきました。
腸の不調が起こす病気は、脳から心臓、心まで多岐にわたると以前から知られていましたが、その背景には、腸内細菌の数が減ったことで生じてくる腸もれがあったのです。
その前に手始めとして必要なことがあります。それこそ、手を洗い過ぎないこと、抗菌、殺菌グッズの類を自宅から排除していくことなのです。
ところが最近、各駅停車症候群の裏に腸もれがある可能性が指摘されています。
通常、食べたものは腸で最小の分子に消化されてから、体内に吸収されます。しかし、腸に細かな穴があいていると、消化が不十分なまま栄養素が腸を通過してしまいます。
食物アレルギーは、原因物質となる食べ物をとることで、下痢を含むさまざまな症状が出てくる病気です。アレルギー反応を起こすのは、食べ物に含まれるたんぱく質です。本来ならば、アミノ酸という最小分子に分解されてから吸収されるべきところを、たんぱく質が未消化のまま腸を通過することで、体内でアレルギー反応を起こしてしまうのです。
アレルギーには、原因物質と接触してすぐに症状が現れる「即時型」と、6~24時間たってから現れる「遅延型」があります。
この遅延型というアレルギーがあることを、多くの人は知りません。症状は、下痢や便秘、めまい、倦怠感、吐き気、目の乾き、口内炎、肌荒れ、ニキビ、うつ症状、情緒不安定など多岐にわたり、人によって異なります。原因物質との接触後、しばらくしてから不快症状が現れるため、不調の原因がアレルギーにあるとは、本人も気づかないことがほとんどです。
つまり、ストレスが原因で下痢を起こしていたと思っていたところ、本当は朝食や前の晩に食べたものによるアレルギー反応だった可能性も高いということです。
食物アレルギーを起こす原因は、即時型も遅延型も、腸もれにあります。腸に細かな穴がなければ、腸で消化されない大きな分子のたんぱく質が、腸を通過することなど起こり得ないからです。
日常的に下痢や便秘に悩まされている人が多い日本。その原因には腸もれがあり、それは、腸内細菌を著しく減らしてしまう過度の清潔志向によって起きているものだったのです。