先日「書くよ書くよ」と予告したお腹のお話です。
長くなるので今回は「プロバイオティクスとプレバイオティクス」について。
続きは近いうちにアップします。
では、プロバイオティクスから。
ドッグフード原材料シリーズで解説する原材料一覧の最後の方に出てくる
カタカナの難解な謎の名前の一群は大抵いつも「プロバイオティクスです」と
雑な説明をしておりますが、その補足と思っていただければ😅
「そもそもプロバイオティクスって何?」
そうだよね、分かってるようで何?と聞かれると「はて?」となる
生き物の体は様々な細菌の住処でもあります。
生き物はこの世に生まれた直後から様々な細菌を体にくっつけます。
日常的に体に存在して、基本的には害を及ぼさない菌を常在菌と言います。
常在菌は皮膚にも口にも耳の中などにも居ますが
70%以上は腸の粘膜組織の中にいます。
この腸内に棲む何兆もの細菌は俗に善玉菌と悪玉菌と呼ばれる
(大雑把に分けて)2つの異なるグループがあります
善玉菌は腸内で次のような役割を持って働いています。
●栄養素の消化吸収を助ける
●ビタミンやその他微量栄養素の生成と代謝
●免疫機構をサポートして感染を防止するバリア機能
この善玉菌たちがプロバイオティクスです。
感染症に罹った時の強い味方「抗生物質」は英語ではアンチバイオティクスです。
Anti=抗と、Biotics=生物質を組み合わせた言葉ですね。
(つまり抗生物質という言葉は抗生+物質ではなく、抗+生物質。
抗生剤という言い方は正しくなくて、正確に言うなら抗菌剤)
プロバイオティクスはアンチバイオティクスに対して作られた比較的新しい言葉です。
元々はProbiosis(共生)という言葉を語源としているそうですが
「体内で共生して宿主の健康に良い影響を及ぼす微生物」を表しています。
この良い働きをしてくれる細菌(微生物)がプロバイオティクスですが
プロバイオティクスにも色々な種類があります。
例えば、よく知られている乳酸菌もエンテロコッカス属フェカリス種とか
ビフィドバクテリウム属ビフィダム種(いわゆるビフィズス菌ですね)とか
ラクトバチルス属アシドフィルス種など細かく分類されます。
ドッグフードの原材料一覧表にはこの上記の「属」とか「種」とかを
抜いて書いてあるのが一般的です。
あの呪文みたいな難解な名前の正体が少し明らかになったでしょうか。
市販のプロバイオティクスのサプリメントに含まれる菌は製品によって違います。
これが製品によって効き目が違う理由です。
↓犬用で、常温保存可で、高評価だったので買ったサプリ。
でもニコニヤにはピタッと来なかった😢
人でも犬でも自分のお腹の中に元々いる細菌との良い相性を見つけるのは
なかなか難しくサプリメント選びの悩ましいところです。
特に犬は出たモノを観察して人間が判断しないといけないですしね。
サプリよりも手軽なのは食品に含まれるプロバイオティクスです。
代表的なのはヨーグルト、納豆、米麹などの発酵食品です。
犬にとって一番消化しやすいのはグリーントライプ、
牛や羊など反芻動物の第4胃で内容物の牧草も含むものです。
グリーントライプは生のものを取り寄せているという方もいますが
食品として流通しているものではなく、未洗浄の内臓ですから
取り扱いには細心の注意が必要で、臭いも強烈です。
個人的にはフリーズドライで製品化されたものをお勧めします。
最近は市販のヨーグルトも菌株の種類が書かれていますね。
ヨーグルトが嫌いという犬はあまりいませんので
まずはこの辺りから試して相性の合うものを探すと良いかと思います。
犬には人間用のプロバイオティクスではダメという説も見かけますが
人間用の強力わかもとやビオフェルミンで愛犬の調子が良いという方も
たくさん見聞きしますので、一概にダメだとは思いません。
ただ、犬の胃酸は人間のものよりも酸性度が高いので
犬用のプロバイオティクスサプリは胃酸に強い菌が配合されています。
人間用のものであれば食事と一緒に摂取するなど工夫してみてください。
プロバイオティクスとよく似た言葉で紛らわしいのが
プレバイオティクス
「似てるっていうレベルじゃなくて、わざと混乱させてない?」
ホントそう思うよねえ。
Pre プレ=前に、先立って biotics バイオティクス=生物質(微生物)
プロバイオティクスは微生物を表しますが、プレバイオティクスは食品成分です。
具体的には、消化器官で分解・吸収されず、
大腸に共生する有益な細菌の栄養源となり、
有益な細菌の増殖を促進する成分を指します。
各種オリゴ糖、水溶性食物繊維の1つイヌリンなどが代表的です。
ドッグフード原材料一覧で時々見かけるオリゴ糖、チコリルートなどは
プレバイオティクスを摂取する目的で配合されています。
また適量のビートパルプやトマトポマース(ジュースなどの搾りカス)も
プレバイオティクスとしての働きが期待できます。
手作り派の人なら、イヌリンの摂取に手軽なのはゴボウです。
ゴボウは水溶性(イヌリン)不溶性両方の食物繊維を多く含みます。
シニア犬など消化が心配な場合はごぼうを煮出した茹で汁だけ
または薬局などで売っているゴボウ茶も良い素材です。
人間の場合、不溶性の食物繊維を多く含む海藻やキノコ類も
腸内細菌の栄養となるものとして紹介されることが多いですが
犬では不溶性の食物繊維が多すぎるとお腹を下したり
ミネラル類の吸収が妨げられることもあるので
人間と同じ感覚で与え過ぎないよう注意が必要です。
グリーントライプは草食動物が噛み砕いて消化酵素に接触した草を含むので
犬にも消化しやすく、プロ&プレバイオティクスが同時に摂取できます。
犬のおなかの話というより、用語解説みたいになってしまいました。
次回はもう少しおなかの話に触れたいと思います。
用語解説と言えば、微生物のことも含めて役に立つのがこちら
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おかーさんのヤクルトをちょこっとだけ舐めるの大好きだったよね〜。
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それでは続きはまた!