また久しぶりになってしまったドッグフード原材料シリーズです。
今回もドイツのフード『ウルフブラット 』です。
ウルフブラット 、英語だとWolf Bloodですよ。ちょっと怖いですね😅
イギリスの古いホラー映画の「狼の血族」を思い出します。
「それ、関係なくない?」
そうですね、全然関係ありません。
関係ないことを言ってないで原材料を見てまいりましょう。
馬肉51%(馬肉23%、乾燥馬肉22%、馬脂6%)、サツマイモ23%
エンドウ豆蛋白、カボチャ、トマト、パースニップ、ジャガイモ蛋白
ヒヨコ豆、ミネラル類、ビタミン類、キクイモ、亜麻仁
タイム、マジョラム、オレガノ、パセリ、セージ
マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖(プレバイオティクス)
ヌクレオチド、ブラックベリー、ラズベリー、ブルーベリー
黒スグリ、エルダーベリー、チョークベリー、イラクサ
サンザシ、タンポポ、高麗人参、ユッカシジゲラ抽出物
※酸化防止剤としてビタミンEを添加
栄養添加物
ビタミンA:25,725 IU、ビタミンD3:1,705 IU、ビタミンE:740 IU
タウリン:1,051mg、ヨウ素:0.965mg、鉄:95mg、亜鉛:150mg
マンガン:36mg、銅:15mg、セレニウム:0.23mg
DL-メチオニン:2.127mg、L-カルニチン:95mg
原材料のトップに馬肉51%というのは高ポイントです。
例によって生の肉は水分を多く含むので、調理後は嵩が減り
実質的に肉のメインは2番目の乾燥馬肉ということになります。
この乾燥馬肉、ドイツ語でも英語でもDried Meatとあるので
ミールではなく肉のみを乾燥したものだと思います。
アミノ酸の損失が少ないという点ではメリットと言えます。
馬肉脂肪は添加したものではなく肉に含まれる分だと思います。
馬肉脂肪はオメガ6脂肪酸の供給源となります。
獣肉としては珍しいオメガ3脂肪酸の1つαリノレン酸を含みますが
これは犬の体内ではほとんど活用されないので、オメガ3供給源にはなりません。
ちょっと気になるのは、このフードはドイツの会社のものですが
フードの原産国はイギリスとなっています。
イギリスには馬肉を食べる文化はないんですよね〜。
ドイツやフランスには馬肉を食べる文化があるから肉は輸入しているのかな。
なぜその肉を食べる文化があるかどうかを気にするかと言いますと
その肉の食文化のない国には、その動物のための適切な場がないからです。
これは家畜の福祉にとってとても重要な問題です。
日本でも犬の手作り食用に馬肉の通販などを見かけますが
コストが高いためヨーロッパからの輸入品はほとんど見られません。
国産やモンゴル産が比較的多いようですが、たまにメキシコ産というのがあります。
メキシコには馬の食肉文化は有りません。
メキシコに食用として売られる馬の扱いの酷さは度々問題になっており
日本の人にも知っておいて欲しい問題です。
こういう背景があるので、イギリスで馬肉を使ったフードを製造しているという点が
ちょっとだけ引っかかります。
サツマイモ23%、炭水化物のパーセンテージを示していうのは珍しいですね。
これも毎度書いていますが、これは日本のサツマイモとはかなり違う
オレンジ色のスイートポテトです。
食物繊維が豊富なので、炭水化物の吸収が緩やかな低GI値の食べ物です。
βカロチンも豊富に含みます。
エンドウ豆蛋白はエンドウ豆の乾燥粉末から炭水化物を取り除いたものです。
アミノ酸の1つメチオニンの含有量は少ないのですが、
大豆よりもアレルギーが起きにくい植物性タンパク質として
最近では人間用の食べ物にも非常によく使われています。
カボチャ、これも日本のカボチャとは種類が違うものだと思います。
多分、ハロウィンに使うあのオレンジ色のペポカボチャでしょう。
水分が多くて、炭水化物、食物繊維、βカロチンを含みます。
パースニップは別名白ニンジンとも呼ばれる、セリ科の根菜です。
その名の通り、見た目は白いニンジンですが甘味が強いのが特徴です。
ビタミンE、B群、Cのほか、食物繊維も豊富です。
ジャガイモ蛋白 ジャガイモと言えば炭水化物源という印象ですね。
普通はその通りです。ジャガイモのタンパク質はデンプンを精製した後の
副産物で、非常に少量しか含まれていません。
しかし従来は捨てられていた副産物のため安価で、消化が良いため
処方食のタンパク源としても使用されます。
でも商品名にオオカミと付けて肉の含有量を売りにしているフードに
ジャガイモのタンパク質を使うのはちょっとどうなの?という気はします。
ヒヨコ豆 一番多い栄養素は炭水化物ですが、タンパク質やビタミン
ミネラルも多く含まれています。穀類の代用の定番でもあります。
ミネラル類、ビタミン類。この書き方はちょっと苦笑いしてしまいますね。
ヨーロッパのフードを読む時の苦手な点でもあります。
原材料一覧とは別に栄養添加物として表示されていますが
それも添加されているビタミンミネラルの全てではないはずです。
と言うのも、一覧のどこを見てもカルシウム源となるものがないんですよ。
ミールではなく乾燥肉を使っているので骨は含まれないはずだし
卵殻などの表記もない。
EUのフードの栄養基準を満たしていると書かれているので
カルシウムもちゃんと添加されているはずですが、ちょっと不安になります😥
キクイモは芋に似た地下茎の野菜ですが、見た目は芋でも
栄養的にはゴボウに近い感じです。
水溶性食物繊維のイヌリンと不溶性食物繊維が成分のほとんどで
ペットフード にはプレバイオティクスとして使用されます。
亜麻仁、毎度おなじみフラックスシード 。胡麻に似た種子です。
ミネラル類、抗酸化物質、食物繊維を多く含みますが
脂質源としての役割がメインです。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸をバランスよく含んでいるのですが
亜麻仁にオメガ3は馬肉と同じくアルファリノレン酸で
犬にとっては体内で活用しにくいため、この点は注意です。
タイム、マジョラム、オレガノ、パセリ、セージはハーブ類です。
殺菌抗菌、消化促進、鎮静、利尿、抗炎症などの効果があるものですが
個人的にはハーブ類が多く入っているフードは使いにくいです。
タイムやセージは長期間継続しないほうが良いハーブです。
フードのローテーションなどで対応する必要があります。
マンナンオリゴ糖とフラクトオリゴ糖はどちらも多糖類で
水溶性の食物繊維でもあります。
腸内細菌の餌となるプレバイオティクスとして働きます。
ヌクレオチド ペットフード の原料としては初めて見ました。
ヌクレオシドにリン酸基が結合した物質と説明されますが
食品添加物としては、デンプンから作った旨味調味料だと思います。
嗜好性のために使用されているのだと思いますが
肉類をこれだけ多めに使っているのに、これ必要?という気はします。
ブラックベリー、ラズベリー、ブルーベリー、黒スグリ、
エルダーベリー、チョークベリー、これらはドライだと思います。
どれもアントシアニンなど抗酸化物質を豊富に含み
果物というよりハーブという使い方で入っている感じです。
イラクサ、サンザシ、タンポポ、高麗人参、再度ハーブ類ですね。
イラクサはネトル、栄養豊富で毎日使いやすいハーブです。
サンザシはホーソンで心臓が悪い時の定番ハーブで利尿作用があります。
タンポポも利尿作用、肝臓のサポートの働きがあります。
高麗人参はジンセンのことで、高麗人参よりは効果がマイルドです。
しかし少量で強壮作用があるので、これも毎日摂るハーブではない。
ユッカシジゲラ抽出物は、野菜として食べられているユッカの根から
抽出した抗炎症作用のある成分です。
関節炎用のサプリメントなどに利用されるものです。
また便のニオイを抑える働きもあります。
栄養添加物として、アミノ酸やビタミンミネラル類が挙がっています。
ミールではない肉がしっかり入っているのだから
タウリンやメチオニンは必要ないような気がするんですけれどねえ。
あと、数値は何グラムあたりか書いてない(笑
「全体的に見てどう思うの?」
ドイツのフードにしては珍しく凝ったフードだなあという印象です。
若くて元気な犬には良いフードだと思います。
馬肉のフードは他にはあまりないので、アレルギー対策にも良さそうです。
ただし上でも書いたように、ハーブ類がかなり複雑に入っているので
他のフードとローテーションをお勧めします。
これらはタンパク質源と野菜類の一部が違う同ブランド製品ですが
ハーブ類はほぼ同じなので、ローテーションには違うメーカーを。
それからコールドリバー以外のフードでは、犬が活用できる
オメガ3脂肪酸(DHA、EPAなど)のソースがありませんので
このフードを利用する場合には、フィッシュオイル などを
プラスする必要があります。
輸入代理店が管理している製品のウェブサイトもしっかりしているし
その点では安心だという印象です。