ドッグフード原材料シリーズ、今回はスウェーデンのフードHusseです。
「いろんなところからフードが来るのねえ」
ホントだねえ。
このフッセという会社はかなりワールドワイドに展開しているようよ。
過去のドッグフード原材料シリーズはこちら
Amazonでは取り扱っていないため使える画像がありませんので
公式サイトのリンクを貼っておきます。
フードの種類は多いのですが、メインのタンパク質と炭水化物源以外には大きな違いはありません。
なので、今回は高タンパク質でグレインフリーのチキンと、サーモン&米の2種類を取り上げます。
チキン、ジャガイモ、乾燥エンドウ豆、動物性脂肪、亜麻仁
植物性繊維、加水分解動物性タンパク質、酵母、サケ油、食塩
乾燥全卵、フラクトオリゴ糖(0.3%)、レシチン、海藻類、タジェット
栄養添加物:
ビタミンA 17873 IU/kg、ビタミンD3 1624 IU/kg、ビタミンE 500 mg/kg、
鉄201 mg/kg、ヨウ素3.1 mg/kg、銅7.5 mg/kg、マンガン63 mg/kg、
亜鉛120 mg/kg、セレン0.20 mg/kg、ベータ・カロチン1 mg/kg、ビオチン1000 mg/kg
酸化防止剤:トコフェロール
技術的添加物:クリノプチロライト10g/kg
チキン、原材料の時点で生の鶏肉を使っています。
原材料は重量ベースで多い順に記載されるので鶏肉が一番多く使われているのですが
生の肉は水分が多く調理加工して水分が飛ぶと実質的に含まれる量が少なくなります。
この製品は38%というタンパク質含有量の高さが売りで38%のうちチキンのタンパク質は84%と書かれています。
ジャガイモ 炭水化物源となりますが、ジャガイモのでん粉の一部は難消化性で、消化器官内で不溶性食物繊維のような働きをします。
とは言え、他の炭水化物源のオート麦などに比べると含まれる食物繊維は少ないです。
乾燥エンドウ豆 エンドウ豆には「乾燥」と付いているところを見るとジャガイモは原材料の時点では生なんだろうか?という疑問が浮かび上がって来ますね。
乾燥エンドウ豆自体は不溶性食物繊維を含む炭水化物源として優秀なものです。
食物繊維のおかげで血糖値が急激に上昇することを防ぐ低GI値食品です。
炭水化物だけでなくタンパク質や抗酸化物質も多く含みます。
上記で製品のタンパク質38%で、そのうちの84%がチキンとありますが、残り16%にはエンドウ豆とジャガイモのタンパク質も含まれます。
動物性脂肪、これは成分分析の項目で脂質(ポーク・ラード)と書かれているので、豚肉の脂肪であるラードで間違いないと思います。
ラードに含まれる脂肪酸で一番多いのはオレイン酸です。
オレイン酸は鶏脂肪やオリーブ油にも多く含まれ、オメガ9脂肪酸に分類されます。
オレイン酸は人や犬の体内でも合成できるので、必須脂肪酸ではありません。
(必須脂肪酸=体内で合成できないので食物からの摂取が必須の脂肪酸)
必須脂肪酸はオメガ3系とオメガ6系なのですが、ラードにはオメガ3脂肪酸は含まれず、オメガ6脂肪酸であるリノール酸は少量含まれます。
オメガ3系については、原材料にサケ油が含まれているので問題ありません。
原材料の鶏肉に含まれる脂肪分からもリノール酸は摂取できますが、それだけでオメガ6は足りているのだろうか?という疑問は残ります。
成分分析ではオメガ6脂肪酸2.2%とあり、この数値はOKです。
ただしオメガ3が1.3%と書かれており、オメガ6とのバランスが悪い。
オメガ3とオメガ6の摂取割合は諸説ありメーカーによってもまちまちなのですが、オメガ3を1とするとオメガ6は通常3〜10の割合で含まれています。
この製品は1.3対2.2で、原材料一覧にオメガ6脂肪酸の摂取源となるものが少ないです。
ここが原材料の一覧を見ていて引っかかった点です。
もしも動物性脂肪に鶏脂肪も含まれるなら良いのですが、このような疑問を持たせないためにも具体的な原材料名の記載が理想ですね。
亜麻仁 アメリカではフラックスシードと言いますがヨーロッパではリンシードと呼ばれます。
大粒のゴマのような種子で植物性のオメガ3脂肪酸の代表であるアルファリノレン酸を多く含みます。
ただしアルファリノレン酸は体内でEPA~DHAに変換されないと活用されません。
犬はこの変換能力があまり高くないので、オメガ3摂取源としては期待できません。
しかしオメガ6脂肪酸であるリノール酸、不溶性と水溶性両方の食物繊維、抗酸化物質も豊富です。
オイルではなく種子(多分挽いて粉末状になっている)からどのくらいリノール酸が摂れるのかはやや疑問です。
植物性繊維、上記の動物性油脂と同様に具体的な原材料名がないところは不満が残ります。
砂糖大根の繊維であるビートパルプなのかトマト製品の副産物であるトマトポマースなのかで栄養も変わります。
加水分解動物性タンパク質 繰り返しますが「何の」動物性タンパク質なのか?が分かりません。
明記されていないので推測するしかないのですが、多分鶏肉の食用ではない部分を酵素(または酸)で分解したものだと思います。
分解されているので消化しやすく、使用することで風味も増すのですが、チキンが唯一の動物性タンパク質と書いているのにこの表記はちょっと引っかかります。
「動物性」というのがチキンであれば許容範囲ですが、それなら尚更そこを明記して欲しいです。
酵母 ビタミンB群と水溶性食物繊維、各種アミノ酸を豊富に含みます。
この食物繊維は腸内細菌がエサとして利用しやすいもので、プレバイオティクスとしての働きもあります。
サケ油 その名の通り鮭の油でオメガ3脂肪酸の摂取源として理想的です。
魚の油に含まれるオメガ3脂肪酸はエイコサペンタエン酸(EPA)ドコサヘキサエン酸(DHA)です。
アルファリノレン酸と違って体内で変換する必要がないので効率良く活用できます。
食塩 塩はどんな動物も生きるために必要な成分です。
時々、塩を危険な成分と説明しているサイトなどがありますが、塩が不足すると命に関わりますからね。
「犬には塩が必要ない」というのは間違いで「犬は人間よりも少量の塩で大丈夫」というだけです。
乾燥全卵 これは液体状の卵を乾燥させて粉末にしたものです。殻は含まれません。
もちろん良質な動物性タンパク質ですが「チキンが唯一の動物性タンパク質」という表記にまた矛盾していますね。
フラクトオリゴ糖 糖類ではありますが難消化性なので体内での働きは水溶性食物繊維と同様です。
腸内細菌のエサとなり腸内環境を整えます。
レシチン レシチンは化粧品やサプリメントで美肌効果や栄養効果がアピールされていますが、ドッグフードに含まれる量ではそのような効果は期待できません。
製品中の水分と油分を均一に馴染ませるための乳化剤として使用されています。
海藻類 英語のサイトを見るとケルプ(昆布)ではなくアルゲと書かれているのでテングサなど細かく枝分かれした海藻類です。
水溶性と不溶性の食物繊維の他にミネラル類も多く含みます。
タジェット これは花壇の黄色やオレンジの花でお馴染みのマリーゴールドのことです。
ハーブとして使用され、消化促進、食欲増進、ガス排出などの働きがあります。
栄養添加物としてビタミンとミネラルの名前が並んでいますが、ビタミンB群がビオチン以外に見当たらない。
原材料に酵母があるのでそれで十分なのだろうと推測します。
カルシウムも見当たらない。カルシウムはチキンを骨ごと加工しているのであれば摂取できますが、詳細が不明です。
酸化防止剤のトコフェロールというのはビタミンE類のひとつで、天然由来のものです。
クリノプチロライトとは天然ゼオライトの一種です。
鉱石を微細な粉末にしたもので、消化促進や腸内で重金属などを吸着して排出させる効果があると言われています。
科学的な調査検証はいくつか行われており、医薬品ではなくサプリメントとしては一定の効果があるようですが、そのメカニズムまでは分かっていません。
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もう一種類
サーモン、米、米粉、動物性脂肪、亜麻仁、植物性繊維
加水分解動物性タンパク質、酵母、サーモンオイル、食塩
フラクトオリゴ糖(0.3%)、塩化カリウム、レシチン(0.1%)
海藻類、タジェット
栄養添加物: ビタミン A 17500 I.U./kg、ビタミン D3 1600 I.U./kg
ビタミン E 450 mg/kg、鉄 201mg/kg、ヨウ素 3mg/kg、銅 8mg/kg
マンガン 63mg/kg、 亜鉛 120mg/kg、セレン 0.2mg/kg
ベータカロチン 1mg/kg、ビオチン 1mg/kg
酸化防止剤: トコフェロール 代謝エネルギー:396kcal/100g
技術的添加物:クリノプチロライト10g/kg
タンパク質源がチキンからサーモン、炭水化物源がジャガイモと豆から米になっています。
それからこの製品には乾燥全卵が含まれていません。その他は大きな違いはありません。
タンパク質源がサーモンなので、オメガ3脂肪酸の割合が高くなっています。
この製品のオメガ3は1.7%とオメガ6は1.2%。この比率は良くないです。
全卵が使われていればオメガ6脂肪酸の摂取が期待できますが、それもない。
通常のフードでオメガ6脂肪酸の不足を心配することはまずないのですが、オメガ3と6の割合がこんなフードは初めて見ました。
「全体的な感想を発表しまーす」
全体的に見て、決して悪いフードではありません。
原材料がシンプルで使いやすいフードだろうと思います。
でもここまで散々書いてきたように、引っかかる点がいくつかあります。
このフードのメーカーは徹底したフランチャイズ制を採用しているようで、どこの国のhusseも同じデザインのサイトで、書かれている文言も同じです。
フランチャイズ契約をした会社以外での販売は一切されていません。
並行輸入品の心配などがないのはありがたい点ですね。
今まで他のフードで何度か書いたことのある「本国では〇〇と書かれているけれど、日本の代理店はこんなふうに書いている」というようなことはありません。
つまり上記で私が指摘したタンパク質や脂肪が何の原材料から採られたものか書いていないという問題などは大元の製造者であるメーカーの責任です。
今までスウェーデンのフードというのは見てきたことがないので、これが国の制度と関連するのかメーカー特有なのかは分かりません。
私が個人的に持った印象は、メーカーの顔が見えない、製品への思い入れが伝わらないというものです。
フランチャイズ募集のバナーが目について、製造者の意識が動物に向いていないような印象があるからかもしれません。
愛犬に今このフードを与えていて、体調も良いし犬自身も気に入っているという場合は、そのままで良いと思います。
ただし必須脂肪酸の割合が気になるので、皮膚やコートの状態、ちょっとした傷が治りにくいなどは注意して観察してください。
この会社のフード以外は受け付けないというのでなければ、他のメーカーとローテーションするのが良いと思います。