神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

No.52  先生からの手紙

2024-01-18 01:52:17 | 勝記日記
 
  尖り石縄文考古館で

 1995年6月に『戦前期皇室財政統計』を法政大学日本統計研究所から刊行しました。〔この統計書は市販されていません。すでに絶版です。〕

 この統計書をある研究会で知り合ったK先生に差し上げました。
 K先生とは専門分野が全く異なっていて、なにか直接に教えを乞うというような関係はありませんでしたが、お贈りしたわけです。
 するとK先生は丁寧にご覧になり、手紙をくださいました。
 私は、通常の挨拶かなと思いながらおもむろに開けました。すると、なんと「前人未踏」と書かれていて、驚き、感動しました。
 
 「私淑」という言葉があります。
 上にも書いたように、K 先生とは専門分野が異なるので、直接何かの教えを乞う関係ではありません。しかし、この時以降、「私淑」するようになりました。
 同じ専門分野でなら多くの尊敬すべき方々がおられますが、異なる分野でありながら、自分の作業を高く評価してくださりました。これ以降、平たく言えば、なんとか納得できる成果を生み出して、K先生の評価をお願いしたいということが、作業に際して心がけることの一つとなりました。

 それが叶って、今回『御料局測量課長 神足勝記日記 ー林野地籍の礎を築くー』を12月15日に日本林業調査会(J-FIC)より刊行していただいてお送りしたところ、26日に次のお手紙をいただくことができました。

 「・・・老生、・・・高著を粗々拝見して、その生涯にわたる足跡を具に理
 解することができると確信致しました。
  それにしても、日記の詳細な読記、関連資料、人名録など、日記を読むに
 当って参考になる厖大な作業を完成されたことに心から敬意を表します。」

 私はこれを読んで嬉しく思いました。
 それは、褒められたところではなく、私が本書の冒頭に書いた「本書をお読みくださるみなさまへ」のことを的確に理解されたことがわかったからです。私は次のように書きました。

 「この日記は60年に及ぶ長大なものです。これは、日記の範囲を御料局測
 量課長の時代に狭めず、神足の全生涯や人となりを知っていただきたいとい 
 う思いで取捨したほか、その理解に役立つことを願って注記や関連資料も多
 く入れた結果です。」

 ご覧になるとわかりますが、『神足勝記日記』には膨大な記録や資料が入っています。どう利用するかは、みなさんまちまちといってよいでしょう。私の思いは「神足を知っていただきたい」ということですが、利用は無限でしょう。

 刊行して1ヶ月が経過しました。年末年始のほか、今年は年頭から大災害や大事件が続きましたから、新刊書どころではないのかもしれません。それもあってか、まだ大学や各図書館でも本書の意義に気が付いていないようです。
 必要とされる方に気がついてもらえればと願うばかりです。
 
 
 
 



 

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