ぼくは
この著作により
幾つかの重大な知見を得た。
おんばさまの本質は
やはり
母権社会の女神であった。
「姥は、右手に五穀の種、左手に麻の種(衣と食の原種)を持って、高天原から芦峅に天降り、すべての人に衣食を与え、万物の母となった」という。
すなわち、イザナミ命に近い神格である。
しかし
明治の廃仏毀釈により
姥尊像は芦峅寺から撤去された。
その後
姥尊像は
各地に離散し
魚津市の実相院(越中一国三十三観音寺の一つ。後に小川山千光寺光学坊様が管理)が、六十数体の姥尊像を引き取ったらしい。
さらに
芦峅寺にあった仁王像も
魚津市長教寺が引き取られた。
ぼくは
是に於て
重大な悟りを得た。
すなわち
明治の国家神道と他宗教の弾圧は
間違いであり
むしろ
神仏習合や本地垂迹説が
多様な宗教を共存させ
世界平和の鍵になるタームではないかということだ。
立山権現と山上他界
おんばさまの世界観は
世界文化遺産に相応しいものであろう。
高橋研究員(宗教社会学)