NPO法人 地域福祉協会

清掃事業  森林事業(植栽・剪定)

Spandau Ballet - Lifeline

2019-01-05 | 音楽
Spandau Ballet - Lifeline

「雪のひとひら」と女性の一生。

2019-01-05 | 書評
ポール・ギャリコ氏の
「雪のひとひら」矢川澄子氏訳、新潮文庫刊を

ついに
ブックオフさまで見つけました(富山市)。




太陽が彼女を頭上の雲の中心にひきずりこむ間際、雪のひとひらの耳にさいごにのこったものは、さながらあたりの天と空いちめんに玲瓏とひびきわたる、なつかしくもやさしいことばでした。―「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。さあ、ようこそお帰り」



女性の一生を雪のひとひらに例え
繊細な筆致で描く傑作でした。


天に召される
最期の描写は
感動的なクライマックスでありました。



ただ
解説の矢川澄子氏は
独自の見解を示されており
興味深いものです。



ギャリコ氏は男子で
雪のひとひらを見守り
天に迎える
大いなる存在は
父なる神、He
男子ではないか
という指摘です。


つまり
女性の一生を
父権社会の檻に
閉じ込めんとする思惑がないか
という疑念です(そこまで直接申しておられませんが、私ならはっきり書きます)。



ギャリコ氏は
プロテスタントであり
カトリック的な聖母マリアの尊崇という点は薄いかも知れません。


ただ
男尊女卑とは思えないですし
素朴で庶民的な人生を
讚美したに過ぎないと思います。



矢川澄子氏や倉橋由美子氏といった
作家のなかに
どこか女性的なるものや
母性的なるものを卑下しているような点があり
残念です。



近しい
父親や夫、男子の特徴は
男子一般や父権社会一般とイコールではないです。


男子や他者に
左右される人生は止めて
独立自存で良いです。


性差は
人間の本質ではなく
二次的、偶有性なるものです。


つまり
性差に殊更こだわる様が
近代そのものの蒙昧であります。


個の力
人間力そのものが全てです。


ただ
現代に必要なのは
柔であり
もふもふした風合いです。

それは母性崇拝、母胎回帰
をせんなんということです。


私は
哲学的に女性的なるものや母性を讚美する老子や
文学的にそれを表現した板東眞砂子氏が
素晴らしいと思います。



何れにせよ
雪のひとひらは傑作であり
世界観を再考する契機にもなりました。



おわり



高橋記