早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和二年三月 第三巻三号 巻頭<個性> と 近詠 

2020-07-06 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
個性

俳句は作るべきものではない。心境に生まれてくるものが自らの俳句でなくてはならぬ。
作り得るもの、それは人形の首のように、同型のものを幾つでも製造し得る、又作るものが
上手であれば上手同士、下手であれば下手同士の間違に暗合の俳句も出来てくる。
生まれて来るもの、それは如何に類似にしても、似たる兄弟の實は大いに似ていない、
それのように、どれ一つとして内面的に同じものでは在り得ないが、坐れるといふ方の偉大なる表現である。
生れる俳句には個性があるからである。

近詠

蒲公英や松の籟にさそはるゝ

つまゝれてふるふ花なる菫かな

土筆摘み海見て波のやはらかし

人の踏む艸を蓬と知りにけり

花薊くツしやみすれば谺かな