宋斤の俳句 「早春」昭和十六年五月 第三巻五号 近詠
梨のはな散る爪さきの潦 にわたずみ
魚棚や水をおぼろに烏賊の墨
水彼方海市は知らず夢の雨
鹿の子の刈生の崖に腰たかく
花過ぎてみなかみ月の涼しけれ
野や水や卯の花腐し霽れにけり
行く春や梢よりでて雲しろし
早春社四月本會 兼題「朧」 席題「花の草」
若草に靄の流れて夕すすむ
夜に染めて燈れり春の草
峰立ちて空の朧に星散れり
匂ふ夜の朧を滑る舟長し
櫻宮例會
あたゝかに乾く落ち葉の手水鉢
白藤例會
水上へ鳥ゆくばかり麓かな
北例會
山の空星浮き来る雲雀なく
梨のはな散る爪さきの潦 にわたずみ
魚棚や水をおぼろに烏賊の墨
水彼方海市は知らず夢の雨
鹿の子の刈生の崖に腰たかく
花過ぎてみなかみ月の涼しけれ
野や水や卯の花腐し霽れにけり
行く春や梢よりでて雲しろし
早春社四月本會 兼題「朧」 席題「花の草」
若草に靄の流れて夕すすむ
夜に染めて燈れり春の草
峰立ちて空の朧に星散れり
匂ふ夜の朧を滑る舟長し
櫻宮例會
あたゝかに乾く落ち葉の手水鉢
白藤例會
水上へ鳥ゆくばかり麓かな
北例會
山の空星浮き来る雲雀なく