早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十一年一月 第二十一巻一号 十周年記念刊 近詠 俳句

2021-10-22 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十一年一月 第二十一巻一号 十周年記念刊 近詠 俳句



  開歳吟詠
天つ神國つ社と初かすみ

海や雲遠う遠うに初東

しらしらと海くる雲が今年かな

東拜す一億人の大初日

あくる夜ぞ世ぞおほむかし元始祭

御鈴の儀いまも夢聴く元始祭

元始祭衿々たるに眞砂明く

初明り六方巌と定りぬ

たから船雲はろか海遠きより

日のものにあらぬはなけれ掃き始め

ひづひづと今朝の雪ふる臼飾り

たかたかと初雪來つる窗のうへ

大和ぬくしふところにある延壽箸

葉牡丹を三つ寄せ植えて白の大

骨そめ都霞や萬歳扇

   秋の魚
秋の魚霧の水面を沈みけり

柿うつる水にて秋の魚あそぶ

ひとつゞつ數讀めてゐる秋の魚

   乙亥納會
指の傷は印を彫りたり年用意

年木積む馬には赤きかざり哉

霜の苫の船から船をありく人

霜匂ふ屋根は崖より片流れ

   早春社霜月例會
冬日南硯の海のきらゝ哉

てぐさりのなだれ残りに冬日南

山水の障子にひゞき鷹のはれ

朝雲の閃々として鷹迅し

  ゴム薬品創立俳句會

一日の雲をうつして刈田水

大阪の冬定つて神農祭  



武庫早春支社創會
山の女や紅葉の中にまろき顔

時雨來て藪ひとゝころ風見ゆる    

  早春社洲本十月例會
菱の實のぬれいつまでも框かな