宋斤の俳句 「早春」昭和四年四六月 第七巻六号 近詠 俳句
近詠
蘭湯に海のあかるさ増しにけり
竹の葉を掃くだけ濡れて露涼し
夏の影芭蕉ゆれ葉と張り板と
ひと筋が山めぐるなり夏の川
しら百合を幮の外なる夜更けかな
生節の木目みだしぬ杉の箸
夏の蝶舟いつまでもくだけたる
『生活本然の意識の上にひろがっていく大自然のありがたさを俳句はうたふのである』宋斤
春の闇我にあらねど妓がよべる
牡丹座 五月五日北摂山本牡丹園に遊ぶ
牡丹に空なる雲のおちこちと
黒ぼたに砂のひかりに散りにけり
牡丹や不順の寒さ山にあり
牡丹畑袴の裾をたばね行く
雛
等閑にならむおそれの雛かな
雛の夜の更くろに運ぶ火桶かな
雲雀
摘み艸に帰心いふ子夕ひばり
あけぼのゝ比枝は見へねど鳴く雲雀
蝶空にひらひらとして雲雀啼く
雲のいろ空に變れば落雲雀
早春社五月本句會
雷の二つばかりや水の蝶
雷去て空は鷗の港町
早春社中央句會
山里や畳にさせし風車
早春社大鐘例會
舷に散る花ありて渡舟著く
人酔ふてつれなく雛のぞきけり
早春社浪速例會
藤棚の何時まで冬や水ぬるむ
早春社神戸例會
やどの背や菜種あかりに夜の丘
早春社上町倶楽部例會
塔中や柳の小門春の夕
花寒く雲おのづから流れたり
風はれてたんぽゝにあり鐘霞む
早春社櫻宮例會
階や花の夜を踏む夢の如
滝口長崖氏追悼句會
春寒し一七日のなたね花
春寒し菫は傾しく花のしろ
近詠
蘭湯に海のあかるさ増しにけり
竹の葉を掃くだけ濡れて露涼し
夏の影芭蕉ゆれ葉と張り板と
ひと筋が山めぐるなり夏の川
しら百合を幮の外なる夜更けかな
生節の木目みだしぬ杉の箸
夏の蝶舟いつまでもくだけたる
『生活本然の意識の上にひろがっていく大自然のありがたさを俳句はうたふのである』宋斤
春の闇我にあらねど妓がよべる
牡丹座 五月五日北摂山本牡丹園に遊ぶ
牡丹に空なる雲のおちこちと
黒ぼたに砂のひかりに散りにけり
牡丹や不順の寒さ山にあり
牡丹畑袴の裾をたばね行く
雛
等閑にならむおそれの雛かな
雛の夜の更くろに運ぶ火桶かな
雲雀
摘み艸に帰心いふ子夕ひばり
あけぼのゝ比枝は見へねど鳴く雲雀
蝶空にひらひらとして雲雀啼く
雲のいろ空に變れば落雲雀
早春社五月本句會
雷の二つばかりや水の蝶
雷去て空は鷗の港町
早春社中央句會
山里や畳にさせし風車
早春社大鐘例會
舷に散る花ありて渡舟著く
人酔ふてつれなく雛のぞきけり
早春社浪速例會
藤棚の何時まで冬や水ぬるむ
早春社神戸例會
やどの背や菜種あかりに夜の丘
早春社上町倶楽部例會
塔中や柳の小門春の夕
花寒く雲おのづから流れたり
風はれてたんぽゝにあり鐘霞む
早春社櫻宮例會
階や花の夜を踏む夢の如
滝口長崖氏追悼句會
春寒し一七日のなたね花
春寒し菫は傾しく花のしろ
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