早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句 「早春」昭和三年十月 第六巻四号 近詠 俳句

2021-02-20 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句 「早春」昭和三年十月 第六巻四号 近詠 俳句

   近詠
  旭川木常君と京眞葛ケ原にて
蟲の縁にあしを投げたる3人かな

北摂萩の寺にて
萩の中往きもどりて六日月

  石井露月氏を悼む
みちのくの地のうへのみな露かなし

  和歌山藤雨君の弟まさおの大垣の家に泊まりて感ふかし
教諭にて糸瓜の水を採る妻と

  大垣藩祖戸田氏を祀る常磐神社の祭禮に詣づ
月の輪の大馬印秋うらら
 
  山崎宗鑑出生の地江州志郡を訪ふ
夕月や支那ささ波の古みなと

  源氏早蕨の巻の枕詞を藉りて
しなてるや湖のしら壁夕ざるる

  支那氏の政所跡を推認し得たり
石崖のゆかりの中や秋耕す

  山崎宗鑑隠栖最初の地尼崎に近く一碑を建てる
街中に秋日して土あたたかし

  子規忌 昭和三年九月十六日 大阪市内寺町の寒山寺にて 約百五十名参加
  献句
糸瓜忌やホ句ひとすぢの道邉より

  兼題『露』
濱風や露の沙に魚拾ふ

風露の日出づる丘にたちにけり

草擦つて舳さし入るる露の岸


  早春社九月本句會
石越して魚もいきけり秋の水
かがやかに楓常芽や萩の声
 
  早春社中央句會 船場光西寺 兼題『萩』席題『踊』
踊りはてて山上の月古き哉

峡遠く夜の風おくり踊りの輪

おどり場のはしの茶店の二三人

萩むらに遠明りして暮れの海

萩のはな風に起きつるたわわ哉

朝の緑やさしこぼしたる萩の花

  早春社湊例會
夕あかね曳きて萍きそう哉 

  早春社神戸例會
原あつし蜻蛉すつて来たる哉

とんぼうのくるほど山雨迅し

  早春社尼崎例會
ぎす鳴いてしばらく蚊帳の宵あつし

  早春社妙見句會創立一周年記念大会 白瀧神社 八月十九日 俳話 <俳句の進むべき道 宋斤>
落ち付けば山の涼しさ葛の花

葛の花朝の手洗を谷にゆく

  蜆心亭水曜吟
鐘楼へ松葉牡丹を踏みにけり

  打出句會
蟇座る艸より雨の流れかな

鳥かげに日の沈むなり鱚の汐

  編輯室愚座
蚊火あげて松の間住むを見せにけり

一葉置く露有明の逕哉  

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