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受賞の深津絵里だけじゃなく、キャスト全員が素晴らしい
芥川賞作家・吉田修一の同名ベストセラーを妻夫木聡&深津絵里主演で映画化。
bloggerさんのお勧めもあったし、話題の作品ということで劇場鑑賞。
長崎の外れの小さな漁村に住む祐一は出会い系サイトを通じて佐賀在住の光代と出会う。
逢瀬を重ねる2人だったが、祐一は世間を騒がせている福岡の女性殺人事件の犯人だった……。
監督は「69」「フラガール」の李相日。
誰が悪人なのかを問う、とある。
本年度最高の感動作とも謳ってる。
モントリオール映画祭で深津絵里が主演女優賞受賞。これは代表してということだろうけど、妻夫木聡も負け劣らずです。
最悪の事が起こる過程には、様々な負の要素の連鎖反応によって起きていると思う。
事が起きてからでは全て後の祭り。
孤独感、劣等感、なじられたと感じる屈辱感、、、生きていくなかでそれぞれが抱えてきた思いがあるとき何かのキッカケでぶち切れる恐ろしさ。
共演の チャラい最低男を演じた岡田将生、被害者、吉乃演じる満島ひかりのいつもながらの自然な演技もすごく良かったし、
柄本明、樹木希林、宮崎美子、井川比佐志、松尾スズキ、光石研、余貴美子、
と素晴らしい名優たちが脇を固める。
観終えたあと、女子高生たちが「すごいリアルだったよね~!」なんて話してた。
うーん、リアルかな?
映画として面白いし、惹き込まれるには惹き込まれたけど、正直一人一人のキャラにはそんなに感情移入というのはなかったな。
色んな部分で、そこまでやる?!な人物の行動とかセリフとか、、、
細かいところで気になった部分が。
どんな理由があっても、人を殺めたらそれでもう罪人。
もし愛する人や家族が、どうしようもない理由から人を殺したとしたら、
世間的には「悪人」だとしても、自分にとっては「悪人」ではない。
土木作業員の清水祐一は、長崎の外れのさびれた漁村で生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。
佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代は、妹と二人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日。
そんな孤独を抱えた二人が、○○○を通して出会う。
6/10(65点)
はじめは、理由なくかっとなって仕返しから殺したのだと思ってた。
でも、いきさつをみると被害者の吉乃自身が 加害者、祐一を罵り、
嘲り、突き放したことへの衝動的な怒りによるもの。
いくら憧れてた人にこっぴどいことされた直後でも、あのシチュエーションだったら突発的に車で現れたあの男を罵るかなぁ。
真っ暗夜道に放り出され帰るあてもなかったんだから、藁をも掴む想いで
とりあえず車に乗せてもらわないかなぁ、何度か会ってる相手なんだし。
とか、
そもそも餃子臭かったり、会話がウザいと思っただけで車から何も
あんな風に蹴り落とさなくても、、、、と思うんだけど
そして祐一と吉乃。
カッとなって。で事件を引き起こしてしまうのは
現代社会でも現実に起こっていることで、、、、
まるでやってないことを自分のせいにされ、「レイプされたとあんたを訴える」
なんて言われたら半分正当防衛じゃないけど、
自分を守るため、頭に血がのぼりやすい人間だったらありえなくもないな
という恐ろしさは感じた。
深津絵里演じる光代は、妹は彼氏がいて幸せそうで 自分は職場と家の往復だけで何も楽しみがなく、、、
本気で誰かと繋がりたいと思ってたのはわかる、
そんな時に知り合った清水祐一という男。お互いが孤独。
一緒にいることで、触れ合うことでその孤独から逃れられるような感覚になる
=恋だと思う というのもわからなくはないんだけど
それが、祐一が事件を起こす前から繋がっている関係だったらまだわかる
どんな人物か、全てはわからないまでも信頼するという意味では。
でも知り合ったのは殺された吉乃よりもあとな上、2回ほどあったくらい。
それでもう殺人を犯したと言う告白にも驚かずに
そちらを信用してむしろ逃亡しようということに至には
真面目な子のわりには軽卒な行動すぎないか、、、、
わたしだったら本当にその話を信じて、好きだと思ったなら
(怖いけど)まず自首を勧めるわ。 それやったらこの話にならないか(笑)
灯台は美しくて良かったけど、あんなところ鍵もあいてて勝手に住めるわけない
とか現実的に思ってしまうのよね。
最後まで祐一と少しでも一緒にいたいと望むその行動。
二人とも寂しかっただけで、実は誰でもよくて、たまたまタイミングがあって
傷を舐め合って、、、、みたいな風にみえてしまった。
光代の人物像が浅かったせいもあるし感情移入は出来ず。
殺された吉乃の父親の行動、ちゃらんぽらんで裕福な家のおぼっちゃまでイケメンくん、
あの言動は極端だったけど、実際あんな若者がいるとしたらあれこそほんとに悪。
自分がした行動の後で人が一人死んだんだから、いくら何でもあんなに無神経でいられるものかな。とか
そこも色々疑問に思うところがあったな。
わたしが一番感情移入してしまったのが、加害者 祐一のたった一人の育ての親であるお婆ちゃん。
樹木希林さんはもう、本当に最高。お婆ちゃんの気持ち、痛い程伝わって来て泣けた。
一生懸命働いてる姿、コツコツ孫のためにためたお金を
怪しすぎる老人狙いの漢方高額売りつけ詐欺にひっかかったり、
孫が消えたあと、病院通いで介護する姿。
くじけそうなお婆ちゃんへのバスの運転手さんの、短いけど力強い励ましに感動。
殺害現場に揺らめいていた祐一にもらったスカーフが切なかった。
祐一も、人殺しをしたことで「悪人」になってしまったのだけど、
みかけはただなんとなく変えたくて金髪にしてみたというだけだったり
もともとは家族想いだし、
車から蹴り落とされた吉乃に純粋に乗せてあげようとしたり、
灯台では光代のかじかんだ足を温めてあげたりと優しい気持ちを持っている子。
だからこそ、ラストでは 光代を共犯にしないためにあんなことに...。
そして本当の気持ちは その手の先に...。
公式サイト
悪人 2010年 日本 139min
9月11日より、公開中~
一喜一憂したくないけどやっぱり気になる
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