Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

漂流中

2011-07-30 | Others
 電車の中で、たぶんマヌケな顔して「ブクブク頭体操」を解いていました。
続いて何かの宣伝か、衣料品の再生率のグラフが表示されていました。再生率は全体の26%にとどまり、年間69万トンが廃棄されているとあります。
昔にくらべて流行のサイクルが早いというのが、その最大要因だそうです。

長く愛着を持って着ることの可能なスタイルを標榜する、とうたうブランドでさえ、実際の商品はさてどうかなという品が少なくありません。
でもここまで景気が落ち込んで、浮上のツっかけがキかめない現状では、仕方ないかも知れません。杓子定規に突っ込むのも憚られます。



初めて訪ねたメーカーで、知人が倉庫を見せてもらう機会があったとのこと。
「よくまぁ、こんなに.....」なんて口を突いて出そうになったくらい二度と売れなさそうな重衣料が、死屍累々タガワヨースケという感じに並んでいたそうです。

世の中にはサイズが切れて残念がられる服もあれば、馴染みの店員さんに勧められれば買うかどうかという服、そして猫もマタイでいく品など様々なレベルがあります。

ザっと見ただけらしいですが、抜いた生地が今市市なら、型がこれまた同じくイマイチだったそうで、日頃は口の達者な人がフォローの言葉もなかったそうです。
軌道修正しないんですか、なんて在り来たりの疑問をこばむレベルに突入していたらしいです。

いったい誰に着てほしくて、そういう服を作ったか。企画した人もいれば、デザインした人もいて、それにOKを出した人がいる。紛れもなく、複数の人間が関わっています。

こういう場合時代劇だと、砂の山にたてた棒が傾くのも顧みず、好きなだけ砂をもっていくように、藩政をいいようにする者が殿様の側近くに仕えていますが、現代ではどうでしょう。
血液がうまく廻らなくなると、知らないうちに全身が蝕まれてしまいます。

救いは、その会社の管理職でさえ、その事態の深刻さを受け止めていないことだったそうで、製品の優位性をさかんに説いてくれても、傍から見ると相当危うい実態がそこにあるので、言うそばから空しく聴こえて半分も聞いてられなかったと、辛めなコメント。

他社のことですが、帰り唐突に思い出したのが映画のタイトルで「俺たちに明日はない」だったと言います。
「でも俺のところは大丈夫だよね?」
「うん、ちゃんとやってるから大丈夫じゃない。途中から183度変わったりしなけりゃ」
「そうだね。その3度って何?」と、辛い現実を見て日も浅いので神妙です。

もちろん、不良品・不良在庫は避けられません。
昔から焼却処分や、タグをはずして業者に処分を委託するところもありました。
アウトレットという選択肢のある今でも、そう変わらないでしょう。

冒頭のような環境的な観点からも、結局、よく吟味されたものを愛着をもって着るにしくはないようです。

これをご覧いただいているようなテイストの方々には、無縁の話でしたが、電車でながれる情報から、そんなことを思いました。



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