タイムマシンにお願い

　しばらく前のこと、加藤和彦の事ならたいてい知っている常盤さんと飲んだ時のことです。
一般的な日本の軟水では、本当のアルデンテはのぞめないと加藤さんは言っていたと教えてもらいました。
そう言われたらそうかも知れません。
葡萄酒でも、現地で飲むあのフレッシュな味わいが日本で飲むのといかにも違うので、確かにそういう差異があっても不思議ではありません。



繊維関係の人にとっても、軟水・硬水はとても大事な要素です。
毛織物産地として有名な、英国ハダースフィールドやブラッドフォード、イタリアはビエラ周辺やクアローナ等、それらの土地には軟水にめぐまれた河川が寄り添っており、滑らかな毛織物を仕上げるのに不可欠の条件だそうです。
海外のホテルで髪を洗って、日本と違う手触りを感じた経験をお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。

刈られたままの羊毛に付着したつよい油分は、苛性ソーダ等で処理されてもまだ残留していて、さらに石鹸によって洗い落とすそうです。
以前その段階で副産物として作られた、ラノリンの保革油というのを使ったことがあります。
かなり独特の臭いがありました。

ウールの復元力を最大限活用したい製品では、油分をどの程度取り除くかまたは残すか、考慮されているはずです。



先月だったでしょうか、イタリアをほぼ縦断するくらいの距離をつかって行われていた実験により、ニュートリノが光の速度を上回ったとニュースになりました。

「アインシュタインの説はどうなるんだ」「トリノ近くから実験が始まったからニュートリノ？」「ならば理論上タイムマシンが作れるんじゃないか」などと喧しかったです。
歩いていると聴こえてくる曲がありますが、そのニュースの少し前から聴こえてきたものの一つが、なぜか「タイムマシンにお願い」のイントロでした。