路上にて

　映画「イースター・パレード」に、新しくダンスのパートナーに選んだジュディ・ガーランドをアステアが試験するという場面がありました。
前を歩かせたJ・ガーランドが、幾人くらいの男性を振り返らせる魅力があるか見てみようというのです。
最初何のリアクションもなかったのに、途中からはすれ違う男性がみんな振り返るので、今後のステージの成功へ自信を得たアステアは手を取り合って喜びます。
でも実は、J・ガーランドがヘンな顔をつくって目を引いていただけでした。



ふと気がつくと、前方から知ってる人に似た感じの人がやって来ます。
寄れば寄るほど、よく似ています。
しかし、相手の表情に何の反応も現われません。
やはり他人のそら似かな、それにしてはよく似てるなぁ。
でも、何年も会ってないから変っているだろうし、イマイチ自信がないなぁ。

五分五分だった判定が、否定的な要素がふくらんでマイナスに振れようとする瞬間、距離が縮まって、やっぱり本人に違いないと自分の表情がかってに笑みくずれてゆくのがわかりました。
すると、相手の表情もようやく見知った人に対する表情にかわります。
あぁ、よかった。

てな具合に何年か振りで、ヤスオウ君の奥さんに会いました。
人違いでなくてよかったです。
以前、知人によく似た知らない人にほほ笑みかけて、怪訝な顔されたり警戒されて収拾に困ったことが一度ならずありました。