火曜日の暴風雨が去ると、翌朝一気に桜がほころび始めています。
ある日、一週間前から緊急入院しているYさんを帰りに見舞うつもりでいると、ご本人から午前中にメールがありました。
直後に、今度はYさんの後輩のMさんから偶然連絡が入り、見舞いに行くようなら同道したいと言います。
一瞬まよいましたが、待ち合わせました。
到着時刻を知らせたので、見えるところまで迎えに出てくれたYさんは、その日は食堂へ誘いました。
一週間ぶりのMさんと挨拶をかわすと、Yさんは日頃の率直な人柄そのままに、今朝医師から伝えられたという内容を話し始めます。
残念ながらメールで知らせてくれた内容と変らず、余命を告知されたというものです。
突然の話に、Mさんは言葉を失いました。
病院へ着くまでの間、Yさんからあったメールの内容を伝えておこうか逡巡しながら、別の展開もあるかと、そのまま来てしまったことを反芻します。
「もう少し短かったら自分もジタバタしたかも知れないけど、一年あるっていうからありがたいね」という本人の言葉をそのまま受け取るわけではありません。
突然の寂寥にとらえられ、メールを打たずにはおれなかった夜のあったことを思うと言葉につまります。
でも「最初に来た日、一応の覚悟はしておいた」と、今後を淡々と語る様子は普段どおりでした。
洗濯してあげようと思ってたというMさんに.....
「俺だってまだ恥じらいがあるからいいよ。ちゃんと洗濯機あるし。初日に手術したあとがすごく痛くてさ、若い看護師さんが座薬入れましょうって何度も言ってくれるんだけど、そんな事頼むくらいなら痛いの我慢するよ」と次第にいつものサービス精神が頭をもたげます。
Y「よくナースがどうとかHなのあるじゃない。でもさぁ、ここへ来てそんなの嘘だって分かったね」
M「はぁ?」
C「だって、入った途端に病人モードになってそんな気起きないよ、まったく」
A「なるほど」
と語っていましたが、いつもの気遣いも湿りがちです。
いつだったかお誘いが重なった時など、えーい面倒だとYさんと一緒に他の会社の方々も交えて飲んだことがあります。
'70メキシコ・ワールドカップの頃、サルデーニャの太陽・イタリアの太陽と呼ばれたルイジ・リーバ以上に、ある意味太陽っぽいYさんを、初対面の人たちは「あの人は何か違うね」とその後も会うたびに話題にしました。
年上ですが、不明なことが起こる度に問い合わせがあるなど何かと頼ってくれるので、仕事で出会った他社の方の中で最も親しい間柄です。
その日メールを開くと辺りは暗転したようで、昼に食べたはずのものも味がわかりません。
定刻をむかえ、見送ってくれるというYさんの方がエレベーターの扉の向こうで一人になるのを居心地悪く感じながら、病院をあとにします。
帰り道、気持ちを持ち直そうとするMさんに、突然辛い目にあわせてしまったことを謝りました。
別れ際、気立ての良いMさんが「次行くときも誘ってください」と言ったように聞こえました。
ある日、一週間前から緊急入院しているYさんを帰りに見舞うつもりでいると、ご本人から午前中にメールがありました。
直後に、今度はYさんの後輩のMさんから偶然連絡が入り、見舞いに行くようなら同道したいと言います。
一瞬まよいましたが、待ち合わせました。
到着時刻を知らせたので、見えるところまで迎えに出てくれたYさんは、その日は食堂へ誘いました。
一週間ぶりのMさんと挨拶をかわすと、Yさんは日頃の率直な人柄そのままに、今朝医師から伝えられたという内容を話し始めます。
残念ながらメールで知らせてくれた内容と変らず、余命を告知されたというものです。
突然の話に、Mさんは言葉を失いました。
病院へ着くまでの間、Yさんからあったメールの内容を伝えておこうか逡巡しながら、別の展開もあるかと、そのまま来てしまったことを反芻します。
「もう少し短かったら自分もジタバタしたかも知れないけど、一年あるっていうからありがたいね」という本人の言葉をそのまま受け取るわけではありません。
突然の寂寥にとらえられ、メールを打たずにはおれなかった夜のあったことを思うと言葉につまります。
でも「最初に来た日、一応の覚悟はしておいた」と、今後を淡々と語る様子は普段どおりでした。
洗濯してあげようと思ってたというMさんに.....
「俺だってまだ恥じらいがあるからいいよ。ちゃんと洗濯機あるし。初日に手術したあとがすごく痛くてさ、若い看護師さんが座薬入れましょうって何度も言ってくれるんだけど、そんな事頼むくらいなら痛いの我慢するよ」と次第にいつものサービス精神が頭をもたげます。
Y「よくナースがどうとかHなのあるじゃない。でもさぁ、ここへ来てそんなの嘘だって分かったね」
M「はぁ?」
C「だって、入った途端に病人モードになってそんな気起きないよ、まったく」
A「なるほど」
と語っていましたが、いつもの気遣いも湿りがちです。
いつだったかお誘いが重なった時など、えーい面倒だとYさんと一緒に他の会社の方々も交えて飲んだことがあります。
'70メキシコ・ワールドカップの頃、サルデーニャの太陽・イタリアの太陽と呼ばれたルイジ・リーバ以上に、ある意味太陽っぽいYさんを、初対面の人たちは「あの人は何か違うね」とその後も会うたびに話題にしました。
年上ですが、不明なことが起こる度に問い合わせがあるなど何かと頼ってくれるので、仕事で出会った他社の方の中で最も親しい間柄です。
その日メールを開くと辺りは暗転したようで、昼に食べたはずのものも味がわかりません。
定刻をむかえ、見送ってくれるというYさんの方がエレベーターの扉の向こうで一人になるのを居心地悪く感じながら、病院をあとにします。
帰り道、気持ちを持ち直そうとするMさんに、突然辛い目にあわせてしまったことを謝りました。
別れ際、気立ての良いMさんが「次行くときも誘ってください」と言ったように聞こえました。