はじめてのマンドリン

ある日突然、マンドリンの音色に恋をした
初めて手にした時から、ささかやかな感動を綴っています

本「心淋し川」

2021-06-23 16:06:29 | 本・映画・ドラマ
西條奈加さんの「心淋し川(うらさびしかわ)」を読みました。
感想など綴ってみたいと思います。


「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、
そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。
川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、
人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。
その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、
六兵衛が持ち込んだ張形をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。
かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女が
よく口にしていた、珍しい唄だった。
唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。


連作短編集。
最後の、「灰の男」に、それまでの短編に出てきた人たちが、みんな登場する。
心町に住む、ちょっとわけありの人たちの、心に沁みるような、
悲しいような、心温まるような不思議な気持ちになる物語たち、

「灰の男」が、一番心に残った。
息子を殺された敵、、、と思っていた人が、実は、息子を殺された敵をとるつもりで、
殺していたのだとは・・・・事実は、見る方向が違えば、なんて違って見えるのだろうと、
驚いた結末。

江戸時代の町の人々の生活は、こんな様子だったのだろうか?
なんて、思いを馳せてみたり。
コメント
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