鯛のアラ煮 ～どん欲な鯛ほど頬肉が美味しい～

シンプルな白身の鯛の刺身は、脂がのって繊細な味わいだ。お魚屋さんに相談すれば、大抵はアタマ・背骨・皮などを残してあるもので、それ自体をパックに詰めて値付けする手間よりも、鯛の刺身と一緒に抱き合わせでアラもビニール袋に放り込んで販売してしまえば、魚屋さんの手間が省けるってものだ‥‥‥ワシを料理人と勘違いしている魚屋さんは、刺身料金に＋150円でアラ付きと纏めてくれた。





背骨付近のアラはお吸物に、皮の湯引きは柚子胡椒ぽん酢にするとして。さて鯛の頭は兜煮を作るべく縦割りにして、両面を焼き霜（熱湯をかけるのは湯霜で、焼きを入れるのは焼き霜）にしてからは、毎度の煮込みの「さしすせそ」の順に調味料を加え、沸騰したところへ鯛の頭を放り込み、落し蓋をして煮込んでいくことに。ゴボウが無いので白ネギでも放り込んでおこう。





金銭勘定では、刺身として支払った金額よりも、鯛のアラの方が遥かにお安く仕入れた。しかし出来上がってみれば、お刺身よりも「鯛のかぶと煮」が主役になっているなんてことも充分にあり得るお話だ。そうそうエサをどん欲に食べる鯛ほど頬肉が発達していて、当然のごとく珍味として目の裏と共に美味しい珍味だった。

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