北のパラダイス

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寒さに強いお米

2014年04月21日 | 地域ブランド
今日の札幌はたいへん良い天気です。

雪もすっかり融け(日陰にはまだなごり雪もわずかに見られますが)、やっと春を迎えたという感じです。

ただ、まだまだ風は冷たく、春本番を告げる桜の開花にはあと2週間ほど待たなくてはなりません。

先週、業界団体の研修会で気象協会の方のお話を聞くことができました。

その中で、今夏の北海道は久々の冷夏が予想されるという、少しショッキングな話題が提供されました。

その原因は、今年、南米ペルー沖の海水温が高くなるエルニーニョ現象により、日本列島周辺の海水温が上がらずに国内の気温も低く推移することによるそうです。

ここ10年余り、北海道は比較的暑い夏が常態化しているため、そろそろ冷夏になるというのもある意味自然の流れかもしれないと、気象協会の講師の方は説明されてました。

農業者にとって低温や多雨というのは避けて通れないことで、その対策に万全を期すというのは当たり前の事ですが、何分、お天道様まかせですから対策にも限界があります。

もう20年前になりますが、1993年の夏に全国を襲った低温による米の大不作は、一時的に日本の食卓からお米が消えてしまうという憶測から、タイからインディカ米を緊急輸入するという大パニックを引き起こしました。

お米の開花時期(北海道では7月中旬ころ)に低温が続くと花が咲かずに受粉できず、その結果、穂の中に実が入らない不稔状態となってしまいます。

1993年は全国の水田で不稔米が大量発生し、米どころと言われる新潟県や秋田県などでもほとんどお米の穫れない地域が多発しました。

あの当時のことはいまだに覚えてますが、北海道でもお天道様がほとんど顔を出さない状態が続き、7月なのに海水浴もできないほどの寒さでした。

普通なら半袖シャツで過ごすところを、長袖シャツやジャンパーなどを来て作業していたことを覚えてます。

あの頃からでしょうか、エルニーニョ現象というのが大きくクローズアップされ始めたのは。

あれから20年。

何度か寒い夏を経験しましたが、なんとか不作を免れて来ました。

逆に地球温暖化が進行して結果的に良い方向に行っていると言う人もいますが、それとこれとは別問題のような気もします。

いづれにしても、天気を人間がコントロールできない以上、被害を最小限に食い止めるしかありません。

ところで、北海道のお米はこれまでに幾多の試練を乗り越え、品種改良を重ねることによって低温障害に強い品種を生み出して来ました。

「ゆめぴりか」は良食味米としていまや北海道を代表するブランド米になりましたが、低温障害に強い品種を何代も掛け合わせてますから、寒さに強い遺伝子も持ち合わせており、それが安定多収にもつながってます。

1993年の夏を経験し、それ以降大規模な冷害に見舞われていないのも、このようなたゆまぬ品種改良の成果が現れていると言っても過言ではありません。

その他にも、栽培方法や肥料・農薬の施肥方法などを改善して、様々な障害を克服している事例もあります。

今夏に予想される低温に備えて、我々もこれから準備を進めなければなりません。

稲作りはもうスタートを切りました。

9月下旬の稲刈りまで半年足らずですが、今年は特に気の抜けない半年間になりそうです。