号外07)「学校に行きたい!」

 緑化協力を始めて間もない1993年秋、大同の農村の小学校に案内され、がくぜんとしました。傾いた校舎の屋根は波打ち、零下30度になるのに障子張りの窓は破れ放題。裸電球だけの薄暗い一つの教室で、1年生から3年生までが勉強しています。先生は1人で、4年生以上は遠くの村の学校に行くしかない。
 学校に通える子はそれでも恵まれています。村を歩くと、弟妹の子守をしたり、親について野良で仕事をしたりしている子供に出会います。「どうして学校に行かないの、行きたくないの?」。意地悪な質問だとは知っていますが、聞かないことには確かな回答は得られない。
 「行きたい」とだけ答えて走って逃げる子、何も答えず下を向いて涙を流す子、反応はいろいろですが、やっぱり学校に行きたいのです。
 このような現実を前にして、緑化が看板のNGOに何ができるか、考えました。思いついたのは、小学校に付属果樹園をつくり、そこからの収益を教育支援に回すこと。
 その構想を地元の青年団幹部に話すと、積極的な賛同がありました。校舎だけ建てても後の資金が続きませんが、果樹園だったら毎年の収入を期待できます。植えるのは主にアンズ。
 それまでは山にマツを植えるだけでしたが、学校に絡むことで村人との距離が一挙に縮まりました。日本からのボランティアも参加する起工式にはヨチヨチ歩きの幼児から杖をついたお年寄りまで村中の人が集まり、まるでお祭りのようでした。
【写真】農村の小学校。屋根は波打ち、窓の障子は穴だらけ。小学校にいけないこどももたくさんいた。
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